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「あまりに際どい」「地上波とは思えない」“過激シーン”に衝撃…「攻めてるなぁ」深夜帯だからこそ描けた至高ドラマ

  • 2026.3.30

ドラマや映画の中には、予想外の展開や強烈な題材を通して、観る人の感情を大きく揺さぶる作品があります。今回は、そんな中から“衝撃的な展開と過激描写で視聴者を翻弄した作品”をテーマに5本セレクトしました。本記事ではその第3弾として、ドラマ『黒い十人の女』(読売テレビ制作・日本テレビ系)をご紹介します。

不倫劇のどろどろした感情を笑いへ転化しながら、人間の身勝手さと寂しさまで浮かび上がらせる本作の魅力とはーー?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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スマートフォン「Galaxy S7 edge」の発売トークショー トリンドル玲奈   (C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『黒い十人の女』(読売テレビ制作・日本テレビ系)
  • 放送期間:2016年9月29日〜2016年12月1日
  • 出演:船越英一郎(風松吉 役)、成海璃子(神田久未 役)、トリンドル玲奈(相葉志乃 役)ほか

ドラマ『黒い十人の女』は、テレビ局のドラマプロデューサーである風松吉(船越英一郎)をめぐり、妻を含む10人の女たちの愛憎が絡み合っていくブラックコメディです。風は仕事ができる顔をしながら、実際には妻のほかに9人の愛人を抱えており、その事実が少しずつ表に出ることで物語が動き始めます。

テレビ局の受付嬢である神田久未(成海璃子)は、風が既婚者だと知らずに関係を持ちました。彼女はほかの愛人たちの存在を知り、怒りや呆れを感じると同時に、抜け出せない状況に苦しんでいきます。

集まってくる女たちは、若手女優や脚本家、マネージャーなど誰一人として一筋縄ではいきません。彼女たちは風に振り回される被害者でありながら、同時にしたたかで、並大抵のことでは動じない人たちでもあります。

本作のエッジが効いている点は、不倫という重たい題材を、会話劇の妙と皮肉で押し切っていくところにあります。風を取り巻く関係は十分に異常なのに、登場人物たちは妙に現実的な温度で言い争い、ときに笑える方向へ突っ走ります。視聴者はいつの間にか会話の応酬に引き込まれてしまいます。

愛憎が連鎖する会話劇の中毒性

本作の見どころのひとつは、10人のゲス女たちが遠慮なく本音をぶつけ合うところです。本作は不倫劇でありながら、恋愛の切なさよりも感情の見苦しさを徹底して描いた点に特徴があります。

彼女たちは誰もかわいそうな被害者で終わりません。久未は常識人のように見えて感情に流されますし、佳代や美羽のような古株の愛人たちは嫉妬や独占欲を隠そうともしません。

それぞれが自分の立場を守ろうとして言い合ううちに、連帯と対立が目まぐるしく入れ替わっていきます。きれいごとでは済まないぶつかり合いが続くため、視聴者はあきれる一方で、次に誰がどのような失言や暴走を見せるのか気になってしまいます。

失言や暴走が単なる悪趣味で終わらないところに、脚本の巧さがありました。口げんかのなかに、それぞれの寂しさや承認欲求がにじむことで、笑っていたはずなのに急に痛々しさが顔をのぞかせるのです。

人を好きになる気持ちが、ここまでみっともなく転がっていくのかと思わされるからこそ、10人の女たちの戦いは妙にリアルです。見苦しいのに目が離せない深夜ドラマらしい中毒性があります。

深夜帯らしい毒舌ときわどさ…過激さが魅せた名ドラマ

本作を攻めているドラマとして印象づけたのは、会話の端々に差し込まれる下ネタの多さです。SNSでは「あまりに際どい」「地上波とは思えない」「攻めてるなぁ」という声も見られ、本作は不倫のスキャンダラスさだけでなく、品のなさをあえて武器にして、地上波ドラマの安全圏から半歩踏み出していました。

風の10股設定自体が十分に異常ですが、登場人物たちの物言いが重なることで、場面の空気はいっそうねじれていきます。下品な単語やきわどいニュアンスが飛び交っても、ただのサービスショットに見えないのは、全員が真剣だからです。本人たちは必死なのに、傍から見るとおかしいというギャップが、本作特有の笑いを生んでいました。

バカリズム作品らしい言葉選びのうまさも効いています。過激な内容でも、言い回しのテンポがよいため、嫌悪感が先に立ちません。よくここまで堂々と会話に混ぜ込んだものだと感心してしまうほどです。

深夜枠だからこそ成立した自由さが、作品全体の毒気を支えていたのでしょう。刺激は強いのに、見終わると妙な可笑しさが残るので、単なる不倫ドラマとは違う後味を生んでいました。

したたかさと危うさがにじむ存在感

トリンドル玲奈さんが演じた相葉志乃は、本作のなかでも特にバランスが難しい役でした。人気上昇中の若手女優という華やかな肩書きを持ちながら笑顔の裏で打算や迷いも抱える人物なので、かわいらしさだけでも、したたかさだけでも成立しません。

実際の演技では、かわいらしさとしたたかさの危うい二面性がうまく表れていました。志乃は一見すると、風のような年上の業界人に近づかれて戸惑う若い女性に見えます。

しかし場面が進むにつれて、相手に合わせて立ち回る器用さや感情を見せすぎないしたたかさも見えてきます。その切り替えが大げさではないため、志乃がただの若い愛人枠に収まらない存在として映りました。

特に印象的だった点は、かわいげを残したまま空気を濁せるところです。やわらかな雰囲気で場に入ってきても、視線や間の取り方ひとつで、何を考えているのか読み切れない不穏さをにじませます。ほかの愛人たちとの場面でも埋もれず、ドラマの群像劇に必要な役割をしっかり担っていました。

SNSでは「すっごい面白かった」「楽しく見れるどろどろ」「女優陣がすごかった」「バカリズムの脚本が抜群」「たくさん笑った」「最後のスッキリ感異常」「シュールさが堪らない」といった声が広がりました。

過激な設定を笑いへ変えながら、登場人物それぞれの欲望やみっともなさまで見せ切った本作は、まさに“衝撃的な展開と過激描写で視聴者を翻弄した作品”と呼ぶにふさわしい一作です。毒の強い会話劇と女たちのむき出しの感情を味わいながら、ぜひ一度ドラマ『黒い十人の女』の怪しい魅力を確かめてみてください。

※記事は執筆時点の情報です