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『お母さんは?』入園式で園児にかけてしまった言葉に後悔。元バス運転士が気づいた“言葉の重み”

  • 2026.3.23
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

今では園児の父母や祖父母を指すとき、「保護者」という言葉を使うことが多いですよね。しかし、13年ほど前はまだ「お父さん」「お母さん」といった表現で園児に話しかけることが多くありました。

今回は、そんな言葉の使い方で気まずい雰囲気を招いてしまった私の経験談を紹介します。何気なく使った言葉でも、一度口から出てしまうと取り消すことはできません。

だからこそ、言葉を発するときは、十分に注意しなければならないものです。

バスの運転士も幼稚園の入園式で「おめでとう」の声掛け

当時、バスの運行委託会社で営業として働いていた私は、専属運転士とともに幼稚園へ出勤しました。入園式の日は、園児が保護者同伴で幼稚園へ来るため、バスの運行はありません。

しかし、入園式では門の前に立ち、幼稚園の教員とともに運転士も入園してきた園児に「おめでとう」と声をかけます。これから入園してきた園児とこれから多く関わる専属運転士だからこそ、声掛けは安心感を与えるために必要です。

やむを得ない理由で運転士が休んだときは、私が幼稚園バスの運行代務に入ることになっていました。そのため、幼稚園から運転士と一緒に出勤して欲しいと依頼され、喜んでお引き受けしました。

入園式に登園してくる子どもの笑顔は、何とも言えないほど幸せな気持ちにさせてくれます。そんな晴れやかな入園式の声掛けで、私はとんでもない言動をしてしまったのです。

ある園児にかけてしまった言葉

専属運転士とともに、幼稚園前の門付近で園児に挨拶をしていたとき、女の子が私に近づき「こんにちは」と声をかけてきました。「こんにちは」と返しながら「入園おめでとう!幼稚園が楽しみやね。」と伝えました。

嬉しそうに「うん!」と答えながら、女の子は私の隣に立ち、動こうとしません。そんな女の子を見て、ふと親が見当たらないことに気づきました。

手を繋いでいる親子連れが多いなか、親はどこにいるんだろうと見まわしましたが、見当たりません。幼稚園の中で手続きか何かしているのだろうかと思い、私は女の子にこんな質問をしました。

「お母さんと一緒に来たの?どこにいるのかなぁ?」

そのとき、近くにいた教員が私の腕を引き、小声で話しかけてきました。

「家庭の事情があって…今日はおじいちゃんと来られているんですよ。今は幼稚園の中にいらっしゃいます。」

入園式には母親が来るだろうという私の勝手な思い込みで、女の子に酷な質問を投げかけてしまったのです。女の子の方へ視線を移すと、返事に困った表情をさせてしまったのです。

楽しい思い出となるはずの幼稚園入園の日に、私はとんでもないことをしてしまったと、今でも後悔しています。

幼い女の子からの思わぬ返事に涙が…

13年前は、今ほど「保護者」という言葉は使われておらず、「お父さん・お母さん」といった表現が多く用いられていました。

女の子と同世代の子どもを持つ私も、何も意識することなく「お父さん・お母さん」という言葉を使っていました。しかし、多様な家族のあり方が尊重される現代において、家庭の形はそれぞれ異なります。

「保護者」という言葉が世の中で使われ出す、ほんの少し前の出来事でした。そのため、私は女の子に悩ましい表情をさせてしまったのです。

しかし、女の子は気丈にも「今日は大好きなおじいちゃんと来た!」と元気な声で答えてくれました。年中として入園する幼い子どもの配慮に、涙が溢れそうになったのを覚えています。

言葉の重さに気づかされた出来事だった

ほんの少しの言葉の違いですが、受け取る相手の立場に立てば、心に傷を負わせる言葉となってしまいます。「お父さん・お母さん」と「保護者」の違いですが、使うタイミングによっては、大きな後悔につながります。

この出来事は、私に言葉の重さを気づかせる機会となりました。入園式が終わったあと、祖父と手を繋いでいた女の子に、「幼稚園、楽しんでね」と伝えました。

再び「お父さん・お母さん」という言葉を使うことをためらい、あえて触れるべきではないと思ったからです。

今では「保護者」という言葉が多く使われるようになりましたが、気づいていないだけで、他にも注意したい言葉はあることでしょう。これからも私は言葉の使い方に注意しつつ、人の気持ちを思いやれる人を目指したいと思っています。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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