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「もう入居者が決まっていて…」おとり物件は違法? 時間&交通費を無駄にした時の「賠償可否」を弁護士解説

  • 2026.2.19
おとり物件は違法?(画像はイメージ)
おとり物件は違法?(画像はイメージ)

転勤や就職、進学などを理由に、賃貸物件を探している人は多いと思います。その際、賃貸物件のサイトで相場より安く、自分にとって条件が合う物件を見つけた経験はありませんか。ただ、中には「実際には存在しない物件」「実際に存在していても部屋は埋まっていて取引の対象となり得ない物件」など、架空の広告が掲載されているケースがあるといわれており、注意が必要です。こうした物件はいわゆる「おとり物件」と呼ばれています。

実際におとり物件の広告を見て不動産会社に行ったところ、担当者から「もう入居者が決まっていて…」といわれ、別の物件を紹介されるケースもあるようです。おとり物件は法的に問題ないのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

おとり広告は違法

Q.「実際には存在しない物件」「実際に存在していても部屋は埋まっていて取引の対象となり得ない物件」などの物件は「おとり物件」といわれています。不動産会社がこうしたおとり物件を紹介する行為は法的に問題ないのでしょうか。

牧野さん「おとり物件は『物件はすでに決まってしまったが、似た物件がある』といった言葉で他の物件を勧める手法です。不動産会社による『おとり物件(架空の物件や、すでに成約済みなのに集客目的で掲載し続ける物件)』は、日本の法律で明確に禁止されており、宅地建物取引業法(宅建業法)および景品表示法に違反し、不動産会社は行政処分や罰則の対象となります。不動産会社に科される可能性のある行政処分や罰則は次の通りです」

■宅地建物取引業法(宅建業法)違反実際には存在しない、あるいは取引できない物件を広告することは、宅地建物取引業法32条で「誇大広告」として禁止しています。

・行政処分国土交通省や自治体からの指示処分、業務停止命令、最悪の場合は免許取り消し処分があります(宅地建物取引業法65条、66条)。

・刑事罰6か月以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金(宅地建物取引業法81条1号)。

景品表示法(景表法)5条3号の不当表示(おとり広告)として消費者庁により、次のおとり広告が禁止されています。

(1)実在しない住所、地番を掲載した物件など、取引の申し出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産に関する表示。

(2)売約済みの物件のように取引の申し出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示。

(3)希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じないといったように、取引の申し出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示。

不当表示(おとり広告)違反に対しては、表示の差し止めや再発防止策などの消費者庁の措置命令に従わない場合に「個人に対しては2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、法人に対しては最大3億円以下の罰金」という罰則が規定されています。

Q.もしおとり物件により、何らかの損害を被った場合、不動産会社に賠償を請求できるのでしょうか。

牧野さん「おとり物件が原因で『時間や交通費を無駄にした』『本来得られたはずの他の物件を逃した』などの具体的な損害が出た場合には、因果関係と具体的な損害の証明が難しいですが、理論的には、被害者は、民法上の不法行為として不動産会社に対して損害賠償請求を行うことができます」

Q.おとり物件による被害を防ぐ方法はありますか。

牧野さん「おとり物件に関する広告のチェックポイントとして、次のような物件に気を付けるべきです」

【おとり物件を見分ける際のポイント】・家賃が周辺相場より極端に安い・「すぐ決まる」「内見できない」といわれる・物件情報が長期間、複数サイトに掲載されている

被害に遭ったり、おとり物件にだまされたり、あるいは疑わしい広告を見つけたりした場合は、悪質な不動産業者に対して業務停止処分などを実施する管轄の都道府県の不動産業課(宅建業法担当部局)や消費者庁(景品表示法違反被疑情報提供フォーム)、広告の表示規約に違反した疑いがある不動産業者に対して調査、指導を行う不動産公正取引協議会連合会に通報してください。

オトナンサー編集部

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