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少しずつ心の距離が近づいていく、正反対の性格を持つふたりの男子高校生。ただのクラスメイトでも友だちでもない、この気持ちの正体は?【書評】

  • 2026.2.18

【漫画】本編を読む

『あらしといぶき』(あおの晴/KADOKAWA)は、男子高校生ふたりの、クラスメイトとも友達とも言い切れない関係が、少しずつ形を変えていく過程を描いた青春BLだ。

比嘉嵐士は、誰とでも自然に打ち解けられる明るい性格で、困っている人を見ると放っておけない世話焼きタイプ。一方の早坂伊吹は、「顔はいいけど性格は悪い」と噂される無愛想な一匹狼。そんな正反対のふたりが同じ時間を過ごすようになったことから、物語は静かに動き始める。

高校3年生の新学期。前の席に座る伊吹は、朝はいないことが多く、気がつくといつの間にか教室にいる。そんな不思議な存在感に嵐士はなぜか目を奪われるようになる。ふたりが近づくきっかけとなるのは嵐士が体操服を忘れた日の出来事。体育の見学届を取りに行く途中、嵐士は遅刻して登校したばかりの伊吹を見つけて声をかける。そのとき、ふたりで授業をサボっていると勘違いした教師から怒鳴られると、伊吹は恐怖で体を震わせるのだった。そんな姿を見た嵐士は、伊吹の第一印象が「近寄りがたい」から「可愛い?」に変化し、伊吹のことをもっと知りたいと思うようになるのだ。いつもひとりでいた伊吹を昼食に誘い、ふたりの時間は次第に増えていく。

伊吹は口が悪く、態度もぶっきらぼうだ。しかし、嵐士と一緒にいるときに見せる表情には、噂とは違う一面が確かにある。学校行事を一緒に楽しむ姿や、ふとした瞬間に見せる照れた反応には愛嬌があり、嵐士だけでなく読者の心も掴んで離さない。ふたりは友達として距離を縮めていくが、その過程で嵐士の胸には「まだ名前のつかない感情」が少しずつ芽生え始める。

ライトな読み口ながら、青春のきらめきと感情の揺らぎをしっかりと味わわせてくれる本作。大切な存在として互いを思い始める、ふたりの変化していく関係から目が離せなくなるだろう。

文=ゆくり

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