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スタートは“神”なのに、面白さが続かない!?「後半失速型」韓国ドラマが増えているワケ

  • 2026.2.14

かつて「韓国ドラマは、面白くなるまで3話は我慢」といわれたほど、序盤は、世界観や人物関係を丁寧に積み上げていく作品が多かった。ところがNetflixをはじめとするOTT(映像配信サービス)時代の今、昔の常識が逆転している。いまの韓国ドラマは、最初の数話で一気に視聴者の心をつかむ“スタートダッシュ型”が主流だ。そのぶん、序盤の勢いが中盤以降まで持続しない作品も増えたといわれている。「後半失速型」韓国ドラマはなぜ増えたのか、筆者なりの視点でその背景を探ってみた。

韓国ドラマに今、何が起きているのか

最近の韓国ドラマを見ていると、「最後まで完璧であること」よりも、「最初の数話でどれだけ視聴者の心を掴めるか」に全振りしている作品が増えたと感じる。設定やジャンルミックスの新鮮さ、話題性のあるキャスティング、スピード感のある演出など、序盤の完成度が明らかに進化している。たとえば『恋の通訳、できますか?』のように、1話目から映画級のスケールと密度を見せる作品が増えているのだ。

その一方で、中盤以降にトーンが揺らぐケースも目立つ。コメディ過多になったり、マクチャン化(過激な展開)が暴走したり、伏線が整理されないまま終盤へ駆け込んだり…。登場人物やサブストーリーを広げすぎた結果、物語の焦点がぼやけて右往左往するケースも少なくない。

背景にあるのは、配信時代の視聴環境が大きいと考えられる。視聴者は面白くなければ1話で離脱する。韓国ドラマの視聴が日々のライフワークとなり、作品が大量に消費される中で、制作側は「1~2話でつかむ」ことを最優先にせざるを得なくなった。結果として、企画のインパクトは強いが、終盤まで見据えた脚本設計が弱くなる現象が起きてしまう。

また、かつては韓国ドラマといえば20~24話が主流で、時代劇やホームドラマともなると50~100話超の長編作品も多く存在した。近年の話数短縮の流れも重なり、物語は広がるのに、人物の内面変化や物語の積み上げが不足したまま、あるいは積み上げっぱなしのまま「時間切れ」のように大急ぎで回収する現象が見られるようになった。

さらに、1話ごとにクライマックスを置く設計も増えている。これは離脱防止には有効だけれど、前半で見せ場を使い切ってしまい、中盤以降のスタミナが弱まるリスクもある。

「スタートは良かったのに…」の代表作

たとえば『テプン商事』(2025年/全16話)は、IMF世代のノスタルジーと企業再建を掛け合わせた導入が秀逸だ。主演のジュノとヒロイン役のキム・ミンハの好演もあり、序盤は一気に引き込まれる。けれども中盤以降は、危機や事件を盛り込みすぎて“お腹いっぱい”状態に。ライバルの突飛な行動などが、物語の流れというより「脚本の都合」に見え始め、社会派ドラマとしての芯が揺らいだ。

『テプン商事』(画像=tvN)

『ダイナマイト・キス』(2025年/全14話)では、恋愛×サスペンス×トラウマという強い設定と、チャン・ギヨン、アン・ウンジンの中毒性のあるケミで、スタートダッシュは完璧。ただ、物語が進むにつれ、謎や伏線が恋愛に回収されすぎて、ジャンルの輪郭がぼやけてしまった。さらに財閥家の確執、陰謀、事故や記憶喪失といった王道展開が重なり、既視感が強まった。

『ダイナマイト・キス』(画像=SBS)

『暴君のシェフ』(2025年/全12話)では、料理×タイムスリップという斬新なコンセプトと、イ・チェミンの若き暴君としての存在感、ユナのまぶしく軽やかな魅力が序盤では鮮やかに機能した。ところが終盤にかけて宮廷政治やロマンスの比重が増し、料理が物語を動かす力を失っていく。コンセプトに惹かれた視聴者ほど、方向転換を強く感じたのではないだろうか。

『暴君のシェフ』(画像=tvN)

そして『恋の通訳、できますか?』(2026年/全12話)もまた、キム・ソンホとコ・ユンジョンというキャラクターの魅力とケミ、洗練された映像美で前半は高評価を獲得。ところが中盤以降、終盤の伏線の扱いや、ヒロインの両親の設定などが唐突に映ったとする声も上がっている。

『恋の通訳、できますか?』(画像=Netflix)
「後半失速型」時代、韓国ドラマの賢い楽しみ方

後半に勢いが落ちる現象は、作品の質が低いからとは限らない。むしろ、序盤の完成度とインパクトが強いからこそ、後半の揺らぎが目立ってしまうのだ。
とはいえ、いまの韓国ドラマは、序盤の加速力や世界観に触れた瞬間の高揚感を味わうだけでも、十分に価値があるのではないだろうか。すべてを「完走」基準で測る必要はないはずだ。「このシーンが強烈に心に残った」――そんな出会いが一つでもあれば、それはもう豊かな視聴体験であり、忙しい大人にとってちょうどいい娯楽になのかもしれない。

(文=田名部 知子/Xで気ままなソウルの日常を発信中:@t7joshi)

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