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2026年最新ミシュラン星付きからベスト50まで。食べて見つけたドバイのおすすめレストラン4軒

  • 2026.2.12

スターシェフの店から、エミラティたちが集まるローカルの店まで、さまざまなレストランがひしめくドバイ。ドバイがグルメシティとして進化し、一気に加速したのは最近のこと。

背景にはドバイが観光地やビジネスの場所として積極的に他国の人を受け入れてきたことがある。現在、ドバイで働くのは約200の国籍の人々。ゆえに、もともとあったアラビア料理に加え、世界から集まる観光客やビジネスパーソンのためにさまざまな国のレストランが発展してきた。

近年、ますますドバイにビジネスチャンスを求める国外のシェフたちも多く集まり、その結果、舌の肥えた観光客がドバイを目指して訪れるという循環が生まれ、短期間で美食のレベルが驚くほど跳ね上がったのだ。

レストランシーンの盛り上がりに合わせるように、2022年、ミシュラン ガイドが発刊。2026年2月に発表になった、「MENA’s 50 Best Restaurant(中東・北アフリカのベストレストラン)」では、上位50軒のうち21軒をドバイが占めていることからも、“美食のデスティネーション”として定着していることが伺えるだろう。

そして近年注目されているのは、ほぼ無名でドバイにやってきて、キャリアを積み、成功したシェフのレストランやローカル食材を使った地産地消に取り組むレストランだ。

トレシンドのホタテの料理。
トレシンドのホタテの料理。

もともと砂漠だった土地につくられた都市ドバイは豊かな食材にも恵まれていない。けれど交易の場所として実に多様な人種が行き来していることがここだけの食文化を形造った。そんな世界中の食材が集まる物流のハブ、多様な文化が交差する寛容な土壌、そして本物を見抜く厳しい目を持つゲストたちに磨かれ、ドバイならではの料理を生み出しているのだ。

今、ドバイのレストランシーンは、世界の食文化の最前線として、新しい物語を紡ぎ始めている。著者が食べに食べて、心に残ったレストラン4軒を紹介したい。

1. Trèsind(トレシンド)

トレシンドのダイニング。
トレシンドのダイニング。

2025年、世界で初めて、インド料理店としてミシュラン三つ星を獲得した「Trèsind Studio」。シェフを務めるのは、ドバイで一番ホットな料理人として耳目を集めるヒマンシュ・サイニだ。そんな彼の原点とも言えるレストランが「Trèsind」である。大きな木の鉢植えがアクセントとなっている広い店内には、ドレスアップして料理を楽しむ人たちの心地よいさざめきに満ちている。

この店を現場で仕切るのは、インド北部・ラクナウ出身のエグゼクティブ・シェフ、モハンマド・ジーシャン。ムガル文化の影響を受けたケバブとカレー、ストリートフードで知られる美食の街で育った彼は、「インドは100kmごとに言語も料理も変わる。その多様性を一皿の中にどう編集するか」に心を砕く。一品を完成させるのにもじっくりと時間をかけ、何回も試作。緻密に調整し、研ぎ澄まされた世界観を作っている。

シェフのモハンマド・ジーシャン。
シェフのモハンマド・ジーシャン。

例えば最初に登場するスペシャリテの一つ「Arugula Pani Puri」。パニプリといえば、インドでは一般的なストリートフードだが、ここでは可愛い一口サイズで登場。パニプリの空洞に、コリアンダー、ミント、レモンウォーターを注ぎ、一気に口に運ぶ。弾ける食感、瞬時に広がる香草の爽やかさ、そして後を引く酸味。進化したパニプリにすっかり心を掴まれる。

スペシャリテのパニプリ。
スペシャリテのパニプリ。

「ドバイは中東のハブなので、インドより数段いい食材が手に入ります。インドよりももっとインドらしく、かつ洗練された世界を突き詰めていけるのがドバイの面白さ」と語るジーシャン。その言葉通り、世界から厳選して集められた食材を自身のルーツと記憶に根差したスパイスで豊かに表現するコース料理は、いわゆるイノベーティブではなく、インド料理の真髄をしっかりと感じる。

コース最後に登場するカレーはさすが本格的な味わい。
コース最後に登場するカレーはさすが本格的な味わい。

ちなみに20席の「Trèsind Studio」はドバイ有数の予約困難店だが、こちらの「Trèsind」は席数も多く、直前でも予約が取りやすい。しかもコースも楽しく、なにより美味しい。ドバイらしい食事をするスポットとして覚えておいて損はない一軒だ。

Trèsind(トレシンド)

https://tresind.com/dubai/

2. Three Bros(スリー・ブロス)

ランチはハンバーガーなど軽やかな逸品も。夜はシックな雰囲気に。
ランチはハンバーガーなど軽やかな逸品も。夜はシックな雰囲気に。

「中東・北アフリカのベストレストラン50(MENA'S BEST 50)」で2023年から3年連続一位に輝いた「Orfali Bros Bistro」。ミシュランの一つ星にも輝くこちらは、ドバイでも1、2を争う人気店だ。シェフのモハマド、マネージャー兼ペイストリー担当のオマール、そしてペストリー担当のワシムのオーファリ3兄弟がその目の前に新しく「Three Bros」をオープン。早くも2025年のMENA's 50 Best Restaurantでは29位にランクインし、あっというまに地元のおしゃれなドバイッ子たちが集まる人気店となった。

ガラス張りの店内にはピッツァ窯がドンと構え、赤を基調とした内装は軽やかな品をたたえている。モハマドによれば「『Three Bros』は、自分たちの実験と探究のための自由なキッチン。僕達が重ねてきた記憶に基づき、型にはまらずに試作、思考できる"プレイグラウンド"のような場所」だそう。「Orfali Bros Bistro」よりも、リラックスして食事をできる場所という位置付けらしい。

オーファリ三兄弟。左からオマール、モハマド、ワシム。
オーファリ三兄弟。左からオマール、モハマド、ワシム。

彼らの料理は大好きな旅が源泉。今回味わったコースには、彼らが旅した日本、イタリア、スペインをはじめとする世界中の記憶、そしてもちろん故郷であるシリアへの愛がさまざまな形で現れていた。

例えば、「Potato au caviar」という料理は世界各地でキャビアを食べてきた体験――ファインダイニング、カジュアルな場、自宅――そのときの感覚が着想源なのだとか。つまり、シェフが惹かれたのは高級食材としての象徴性ではなく、塩味、テクスチャー、温度という"美味なる食材"としての要素。「贅沢さ」を削ぎ落とし、純粋な味の魅力を素朴なじゃがいもと合わせることで、引き立てている。

「Potato au caviar」。ベビーポテトは細かく包丁で切れ目をいれているため、表面はカリッと中はほっくり。
「Potato au caviar」。ベビーポテトは細かく包丁で切れ目をいれているため、表面はカリッと中はほっくり。

「come with me to Aleppo」(アレッポに一緒に来て)と名付けられたユニークな料理は、シリアの伝統料理「Laham Bil Karaz」をモダンにランジ。従来はラムやミートボールをサワーチェリーのソースで煮込む料理だが、ここでは串刺しにしたミートボールに、燻製したチェリーを添えて風味に奥行きを加えた上で軽やかに表現。焼きたての肉の香りに、爽やかなチェリーの酸味がとてもよく合う。元のシリア料理も食べてみたくなった。

スペシャリテの「come with me to Aleppo」
スペシャリテの「come with me to Aleppo」

ここでは可能な限りローカルおよび近隣地域から調達。特に野菜、乳製品、小規模生産のプロダクトは、ドバイ周辺の生産者との関係性を大切にしている。そんなところからも、ドバイを愛する三人の思いが伝わる。

Three Bros(スリーブロス)

https://threebros.ae/

3. 11 Woodfire(11ウッドファイア)

「11 Woodfire」のモダンな店内。エリアによって雰囲気の違うのも魅力。
「11 Woodfire」のモダンな店内。エリアによって雰囲気の違うのも魅力。

閑静な住宅街に突如現れるゴージャスな店構えの一軒家レストランの扉を開けると、ふんわりと薪火の香りが鼻をくすぐる。手前にはバー、右奥には赤々と火が燃える薪窯を中心としたキッチン。ダークトーンのクールな店内には、地元のエミラティの人々で賑わっている。

入ってすぐに、薪の焼き台が。
入ってすぐに、薪の焼き台が。

ミシュラン一つ星、そしてMENA's 50 Best Restaurantsにもランクインするこの店では、原始的な「薪火」を使った、世界中の人々が交錯する街そのもののような料理が登場する。シェフのブランド・モロスはコロンビア出身。料理学校時代のインターン先、コロンビアの田舎はガスも電気もない環境。そこではウサギ、鶏などを直火で調理するのが日常だった。薪火を使うスタイルはこの体験から生まれた。

シェフのブランド・モロス。
シェフのブランド・モロス。

11 Woodfireの料理は、ボーダレスだ。コロンビアの食材、日本や韓国などアジアのフレーバー、南米や地中海の料理、中東のスパイス――世界のさまざまな食文化を薪火という軸で編集し直している。例えば「ブッラータ」は、シェフの故郷、コロンビア原産の木になるトマトを使用。普通のトマトとは違う酸味と旨みが濃いトマトは、どこかエキゾチックなフレーバーが漂う。そのトマトと薪火で燻製したブッラータに甘みのあるバルサミコをかけている。

ブッラータも、コロンビアのトマトや薪のエッセンスを使うことで一味違うここならではの味わいに。
ブッラータも、コロンビアのトマトや薪のエッセンスを使うことで一味違うここならではの味わいに。

「日常食べている普通の野菜こそ、薪火で調理することで魔法をかけたようにその魅力が輝き出す」というシェフの思いを感じるのが、この「グリル・アボカド」という料理だ。上にはターメリックとチリスパイスを加えたラブネ(塩味のヨーグルト)、そしてアラビック菓子に使われる「カダイフ」をケイジャン風味で仕上げて添えている。クリーミーなアボカドに、サクサクとしたカダイフの食感のコントラストと、幾重にも重なるスパイスや野菜の香りがにぎやかだ。いろんな文化が混じり合うドバイそのものが料理になったかのような一皿だ。

「グリルアボカド」。下には地中海と南米の要素を掛け合わせたコーン、玉ねぎ、パプリカによる燻製ピクルス風ソフリート、アジアの旨味を加える“桃屋のにんにく”(!)、クリスピーエシャロット、そしてアボカドクリームを。
「グリルアボカド」。下には地中海と南米の要素を掛け合わせたコーン、玉ねぎ、パプリカによる燻製ピクルス風ソフリート、アジアの旨味を加える“桃屋のにんにく”(!)、クリスピーエシャロット、そしてアボカドクリームを。

こうしたクリエーションを楽しみたいならばコースをチョイスするのが正解。薪火ならではのがっつりトマホークやバーガーを味わいたいならアラカルトでチョイスを。お腹の量や気分に合わせて選べるのは、旅人にはうれしいポイントだ。ちなみにお酒は提供していないので、お料理は、モクテルを合わせてどうぞ。

11 Woodfire(11ウッドファイア)

https://11woodfire.com/

4. Boca(ボカ)

店内にはバーカウンターもあるので一人でも使い勝手がいい。気持ちのいいテラス席もあり。
店内にはバーカウンターもあるので一人でも使い勝手がいい。気持ちのいいテラス席もあり。

「BOCA」はミシュラン・グリーンスター、そしてMENA's 50 Best Restaurantサステナブル賞を獲得しているレストラン。フードロス、フードマイレージ、廃棄物の削減などに意識高く取り組み、サステナブルな分野でドバイのレストラン業界を牽引する。使う食材はできるだけUAEのローカルなもの。例えばオイスターはディバ・ベイの綺麗な海で養殖されたもの。朝どれのオイスターにシンプルにレモンをキュッと絞って食べると、ほんのりとした甘みを感じる。その後に続く透明感のある濃い旨みに驚く。

クリーンな海で育つオイスターは、小ぶりでとても美味しい。シンプルに食べるのが正解。
クリーンな海で育つオイスターは、小ぶりでとても美味しい。シンプルに食べるのが正解。

実はドバイではその昔、真珠の養殖が主産業だった歴史があり、二枚貝の養殖技術は高いのだそう。「オイスターを食べるときに、そんな歴史にも思いを馳せてもらえれば」と語るのは、オーナーのオマール・シハブ。ドバイは豊かな森も川もなく、ローカルな食材を手に入れるには非常に難しい場所だ。シハブは「だからこそすべてを長距離空輸される輸入品で賄うことに疑問を感じ、ローカルの食べられる食材に目が向いた」と話す。

ディバ・ベイのオイスターの養殖場。
ディバ・ベイのオイスターの養殖場。

しかし、掘り下げてみても、古くからUAEで賄える食べ物は非常に少ない。エグゼクティブシェフのパトリシア・ロイグは、そのなかから昔ながらの食材を掘り下げたり、“見つけたり”して、メニューに取り入れていく。象徴的なのが「トマトといちご」だ。ドバイのバーティカル・ファームで育てられたトマト3種に同じ農園のストロベリー、ドバイを象徴する食材・デーツの小片、トマトの皮を乾燥させたパウダーとサリコルニア(耐塩性植物)を組み合わせている。

酸味のあるトマト、甘いいちご、サリコルニアの塩味が渾然一体となってちょうどいい味に。
酸味のあるトマト、甘いいちご、サリコルニアの塩味が渾然一体となってちょうどいい味に。

サリコルニアとは、海辺で育つほんのりと塩味を感じる植物。もともと食材としてはマイナーだったものだが、水があまりない海岸線でも育つ"砂漠らしい"食材だとロイグは話す。

ロイグがドバイ産の食材の一つとして広めたいというサリコルニア。
ロイグがドバイ産の食材の一つとして広めたいというサリコルニア。

スペイン人のロイグが作るのは、スペイン料理の考え方や技法を使った地中海料理がベースだ。しかし、そこにこうした土地に結びついた食材を積極的に使うことで、それが自ずと"ドバイ"で生まれる料理になると考える。ロイグは、仲間のシェフたちとこのサリコルニアを普及させる活動も行っているのだそうだ。

シェフのパトリシア・ロイグ。
シェフのパトリシア・ロイグ。

「ローカル魚“キングフィッシュ”+ガスパチョ」は、近海で獲れるキングフィッシュと、ローカルのトマトときゅうりで作るスペインを代表するガスパチョを合わせた一皿。これもそんな考えが伝わる料理だった。そのほか、デザートのプリンにはラクダのミルクが使われているなど、コースの端々からドバイの古き良き景色が見えてくるのが楽しい。

ラクダのミルクで作ったプリンは濃厚でクリーミー。
ラクダのミルクで作ったプリンは濃厚でクリーミー。

デンマークの「NOMA」が“何もない”と言われていた北欧の地において、既成概念にとらわれず新たな食文化を創造したように、ドバイでも、食の大きなムーブメントが起きるのではないかと予感させる店だった。

BOCA(ボカ)

https://boca.ae/

今回ご紹介したレストランを見ても、インド、シリア、コロンビア、スペインとシェフたちの国籍も本当に多様なことがわかるだろう。ドバイは世界のさまざまな場所も時間もギュッと凝縮し、混じり合い、化学反応を起こしているユニークな都市。コンパクトな街ゆえ、レストランへの移動もウーバーなどを使えば楽々。世界のダイナミズムを感じる美味を味わいたいなら、今すぐドバイを訪れてほしい。

Text: Misa Yamaji Editor: Sakura Karugane

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