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「座席を潰して荷物を…」電車で目撃された『スーツケース占領』に物議も←実は“マナー違反”じゃありません

  • 2026.2.18
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

鉄道には、大きなスーツケースを持った旅行者から毎日の通勤客まで、さまざまな人が乗り合わせています。そのニーズに応えるため、車両のつくりも少しずつ進化してきているのです。

そんな中、SNS上で「電車の座席を上げて、そこに大きなスーツケースを置いている人がいて、座れない人がたくさんいる」といった趣旨の投稿が話題となりました。

一見すると非常識な行為に見えますが、実はこの座席使い方は、鉄道会社公認の「正しい使い方」なのです。

実は「正しい使い方」なんです

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

話題になった車両は、2019年10月にデビューした京成電鉄の新型車両「3100形」です。成田スカイアクセス線(成田空港線)で運用されており、空港アクセス専用車両として開発されました。

成田スカイアクセス線は、都心と成田空港を短時間で結ぶ路線です。3100形は、特急料金が必要な座席指定制の「スカイライナー」とは異なり、特急料金不要で全席自由席のロングシート車両としてアクセス特急などに使用されています。料金の安さと気軽に乗れる利便性から、大きな荷物を持った旅行客や訪日外国人観光客が多く利用する路線です。

この3100形の最大の特徴は、座席の一部を折り畳んでスーツケース置場として使える点です。

座席の一部をスーツケース置場等にも使用できる折り畳み式とし、1両に4箇所(先頭車は3箇所)設置します。
出典:新型車両「3100形」について(京成電鉄)

具体的には、8人掛けのロングシートの中央2席分が折り畳み式になっており、座席を上げるとスーツケースなどの大型手荷物を置けるスペースが現れます。空港を利用する旅行客が大きな荷物を持ち込むことを想定し、こうした設計にしたそうです。

京成電鉄の鉄道本部副本部長兼安全推進部長は、車両開発時のインタビューで「空港輸送を担う車両として、大きな荷物を持ったお客様にも快適にご利用いただくため、座席を一部折り畳み式とした荷物スペースや、フリースペースを設けました」と語っています。つまり、座席を上げて荷物を置く行為は、まさに鉄道会社が意図した「本来の使い方」なのです。

バリアフリー対応のスペースは別に確保

「スーツケース置場に使われてしまうと、車椅子やベビーカーを利用する人が困るのでは?」という疑問も浮かびますが、その点もしっかり配慮されています。

京成電鉄の3100形は、「バリアフリー整備ガイドライン(望ましい整備内容)」等を踏まえた仕様になっており、車椅子やベビーカーのお客様が利用できる専用のフリースペースを中間車両に設置しています。また、先頭車両には従来と同等の車椅子スペースも設けられています。

つまり、スーツケース置場とフリースペースは完全に別々に確保されており、荷物を置く乗客がバリアフリースペースを圧迫することはない設計になっているのです。

「マナー違反」と思われがちな行為も、実は公式機能

今回のケースのように、一見「マナー違反では?」と感じる行為でも、実は車両の公式機能として設計されているケースがあります。特に空港アクセス路線では、利用者の特性に合わせた独自の設備が導入されていることが多く、一般的な通勤路線とは異なる使い方が想定されています。

大きな荷物を持って移動する際は、こうした「専用スペース」を積極的に活用することが、かえって他の乗客への配慮につながることもあるでしょう。また、自分の荷物が通路をふさいでいないか、他の乗客に当たりそうになっていないかなど、大きな荷物とともに移動する時は、気配りが必要です。

このように、一見「マナー違反」に見える行為も、背景を知ることで、それが空港利用者の利便性を考えた鉄道会社の工夫であるという側面が見えてきますね。


参考:
新型車両「3100形」について(京成電鉄)
新型車両 インタビュー記事「受け継ぐもの、変えていくもの 3100形で実現しました」(京成電鉄)