1. トップ
  2. ファッション
  3. 「世界は変わるんです。しかもよりよい方向に」──リンダ・エヴァンジェリスタ、伝統と美の矜持

「世界は変わるんです。しかもよりよい方向に」──リンダ・エヴァンジェリスタ、伝統と美の矜持

  • 2026.1.23

スマートフォンさえ入らない小さなバッグに、何を入れるのか。その問いにブルガリBVLGARI)は「文化」と応答する。ブルガリ アイコンズ ミノディエール コレクションは、女性が受け継いできた文化や知恵、美の精神そのものを“携える”ために誕生。モネーテ、セルペンティ、トゥボガス、ディーヴァ ドリーム、ブルガリ・ブルガリ──。メゾンを象徴する5つのシンボルをミニバッグとして再構築し、ジュエリーとアクセサリーの狭間に佇むアートピースへと昇華させている。

手がけたのは、レザーグッズ&アクセサリー クリエイティブ ディレクターのメアリー・カトランズ。鋳造や手作業の装飾、宝石の象嵌など、ハイジュエリーの技法をアクセサリー全体へ応用している。アメジストやタイガーアイ、マザーオブパール、マラカイトなどがあしらわれた精巧なつくりで、チェーンは繊細なジュエリーそのもの。まさに“持ち歩く宝石”と呼ぶにふさわしい。そこに収められるのが、5人の女性が書き下ろしたミニチュアブック。そのひとり、リンダ・エヴァンジェリスタが綴ったのは「伝統を尊重するノート」である。伝統と美に対し揺るぎない解釈を持つ彼女は、静かな確信を帯びた声で語った。

ブルガリ アイコンズ ミノディエール コレクション 2026年1月下旬発売予定/左「セルペンティ ミノディエール」(真鍮、アルミニウム、エナメル、クリスタル/エメラルドグリーンカラー) ¥1,991,000 右「セルペンティ ミノディエール」(真鍮、アルミニウム、クリスタル/ゴールドカラー) ¥1,199,000/BVLGARI(ブルガリ・ジャパン)
ブルガリ アイコンズ ミノディエール コレクション 2026年1月下旬発売予定/左「セルペンティ ミノディエール」(真鍮、アルミニウム、エナメル、クリスタル/エメラルドグリーンカラー) ¥1,991,000 右「セルペンティ ミノディエール」(真鍮、アルミニウム、クリスタル/ゴールドカラー) ¥1,199,000/BVLGARI(ブルガリ・ジャパン)

「ありがたいことに、このバッグにはスマートフォンが入りません。忘れがちだけれど、インスピレーションは自然界や日常の細部に宿っています」。自身を“スマートフォンの被害者”と冗談めかしつつ、自然とのつながりこそが創造力の源だと言うエヴァンジェリスタ。「好きなことはハイキング。それから、庭で採れたものや市場で買った新鮮な食材を使った料理」。とくに夢中なのは「野菜を均一にきっちり刻む作業」で、愛用する日本製の包丁を誰にも触れさせないほどだ。言葉の節々から、道具や手仕事への敬意を感じる。

今回彼女が手にするのは蛇のヘッドを模したセルペンティのミノディエール。内側に鏡があしらわれ、彼女らしいエレガンスと親密に呼応する。「いつも鏡を持ち歩いています。見ると自信が湧くから。でもこのバッグには鏡がついているので、もう必要ありません」。中のブックには、彼女が育んできた家族との結びつきや受け継いできた歴史が記される。「いまだにメモも手紙も書きます。特別なことになってしまったけれど、メールや電子招待状ではなく手書きのカードを郵送で受け取ると、相手が自分のために時間を割いてくれたことに心から感動しませんか」。ミニチュアブックがバッグに収まる仕様は、原点に立ち返り、紙文化を守る尊さを表している。

80年代から今日まで、エヴァンジェリスタは一貫してプロフェッショナリズムを体現する存在だ。彼女にとって「強さ」とは、「お互いに責任を持つこと」。この姿勢は、工場で働いていた父から受け継いだものだという。「父は家に仕事の愚痴を持ち帰らず、いつも前向きでした。だから私も不平は言いません。時間を守ること、誰に対しても敬意を持って接すること。それが礼儀であり、世界をよくする力だと信じています」。長年のキャリアを通じて彼女の考えは変わらないのだろうか。「変わるはずがありません。私は今も夢を生きているのですから」。2度のがんを乗り越え、毎朝目覚めるたびに生きていることへ感謝の気持ちを抱くという。「夢に描いた仕事を続けられていることに感謝しています。まるで、夢を何度も生き直しているようです」。だからこそ、今もなお自身の美と矜持を持って世界の舞台に立ち続けるのだろう。

彼女の輝かしいキャリアとともに、業界も世界も大きく変化した。美の概念が多様化した現代について「これこそが本来あるべき姿だ」と話す。「あらゆる民族、体型、年齢の人が美しいと、やっと受け入れられるようになりました。美の定義はひとつではないのです」。時代を席巻し、業界を象徴する存在である彼女の言葉は、大きな説得力をもたらす。

「世界は変わるんです。しかもよりよい方向に」──、前向きな姿勢を崩さない彼女はどんな世界を望むのか。「すべての人、すべての女性に平等を。そして、すべてのがんの治療法が見つかる未来を願っています」。これまで社会的な活動にも積極的に声をあげ、関わってきたエヴァンジェリスタ。そのモチベーションを尋ねると、「生きたいから」と即答する。「息子が大人になっていく姿を見たいですし、もし彼が子どもを持ったらその顔も見たい」。そして、女性たちとLGBTQ + コミュニティへの感謝も述べた。「かれらなしでは、今の私はいなかったでしょう。ファッション業界全体を支えるかれらこそがカルチャーの中核を担う存在です」。文化、美、伝統そして未来を優雅かつ逞しく体現するリンダ・エヴァンジェリスタ。その姿は、ブルガリ アイコンズ ミノディエール コレクションが掲げる「文化を携える女性像」そのものといえるはずだ。

ブルガリ アイコンズ ミノディエール コレクション

URL/https://www.bulgari.com/ja-jp/

問い合わせ/ブルガリ・ジャパン 0120-030-142

Photos: Ethan James Green Text: Nanami Kobayashi

READ MORE

元記事で読む
の記事をもっとみる