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「星3評価の本」の文学的価値は侮れないと判明

  • 2026.1.9
星3の本でも、文学的価値の高いものはある / Credit:Canva

世の中には大量の本が存在するため、何を読むか決めるときに「読者の評価」をチェックする人は少なくないでしょう。

とくにオンライン書店や読書プラットフォームでは、平均評価が「星1~5」で分かるため、「星が低い本は避ける」という判断を無意識にしてしまいがちです。

しかし、こうした判断基準に疑問を投げかける研究結果が報告されました。

デンマークのオーフス大学(Aarhus University)の研究チームは、読書プラットフォーム「Goodreads」における平均星評価が、必ずしも文学的価値を正確に反映していないことを明らかにしたのです。

この研究は、Goodreadsで「中間的な評価」を受けている本の中に、文学史的・文化的に重要な作品が数多く含まれている可能性を示しました。

研究成果は、2025年11月20日付の『Zeitschrift für digitale Geisteswissenschaften』に掲載されています。

目次

  • 「星3後半」評価の本、30%は文学的価値が高かった
  • なぜ星3でも価値が高いのか?評価が割れる理由とは?

「星3後半」評価の本、30%は文学的価値が高かった

Goodreadsは、世界中の読者が本を星1から星5で評価する大規模な読書プラットフォームです。

平均星評価は「その本がどれほど良いと感じられているか」を示す指標として広く使われており、読者だけでなく、出版社や研究者も参考にしています。

しかし研究チームが問題視したのは、平均評価がおおよそ3.7〜3.9あたりに集まる「中間ゾーン」です。

星4以上の高評価本や、明確に低評価の本とは異なり、この「3点台後半」の本は「良くも悪くもない」と受け取られやすく、その評価の意味が曖昧です。

研究者たちは、この中間評価が本当に「平凡さ」を示しているのか、それとも別の要因によるものなのかを検証しようと考えました。

そこで彼らは、1880年から2000年にアメリカで出版された約9,000冊の小説を集めた、大規模なデータ集を分析対象としました。

この中から、Goodreadsの平均星評価が中間に位置する約2,150冊を抽出し、詳細な分析を行っています。

重要なのは、Goodreadsの星評価だけで判断しなかった点です。

研究では、文学賞の受賞歴、大学の授業シラバスへの掲載、古典シリーズへの収録、翻訳数、図書館所蔵数といった、文学的・文化的価値を示す複数の指標と照合しました。

これにより、「読者評価」と「文学的評価」がどのように関係しているのかを多角的に検証したのです。

その結果、中間評価に分類された本のうち、約30%が他の基準では文学的に重要とされていることが分かりました。

つまり、平均星評価だけを見ると目立たない本の中に、実は高く評価されるべき作品が相当数含まれていたのです。

「なぜ中間評価になるのか」という点について、研究はさらに踏み込んだ分析を行っています。次項で見てみましょう。

なぜ星3でも価値が高いのか?評価が割れる理由とは?

研究チームが注目したのは、「評価の平均」ではなく「評価の分布」です。

平均値が同じであっても、その内訳は大きく異なる可能性があります。

たとえば、多くの読者が星3を付けた結果としての3点台と、星5と星1が入り混じった結果としての3点台では、意味がまったく違います。

分析の結果、とくに読者数が多く「文学的に重要な作品」の一部では評価者の数が増えるほど意見のばらつきが大きくなる傾向が確認されました。

高く評価する読者と厳しく評価する読者が同時に増え、その綱引きの結果として平均値が中間に落ち着いてしまうのです。

すべての重要作品がこのパターンに当てはまるわけではありませんが、「強く好き/強く嫌い」が共存するタイプの作品ほど、この傾向がはっきりと見られました。

一方、文学的に重要でない作品では、評価者が増えても意見はあまり割れず、評価は比較的まとまったままでした。

多くの人が似たような評価を下すため、平均値も読みやすくなります。

研究者たちは、この「評価の分裂」は偶然やノイズではないと結論づけています。

むしろ、強い賛否を引き起こすこと自体が、その作品が読者に深い印象や問題意識を与えている証拠だと考えられます。

平均星評価だけを見ると平凡に見える作品が、実際には読者を強く惹きつけ、議論を生む力を持っている可能性があるのです。

ただし、この研究にも限界があります。

分析対象は1880〜2000年にアメリカで出版された英語の小説に限られており、さらにGoodreadsという特定のプラットフォームの利用者層に依存しています。

また、星評価は読書体験の一部しか反映しない単純化された指標でもあります。

研究チームは今後、レビュー本文に対してトピックごとの賛否を拾うテキスト分析など、より精緻な方法を用いて読者の評価構造を詳しく調べる必要があると指摘しています。

それでもこの研究は、「平均星評価=価値」という単純な見方に疑問を投げかけました。

星3評価の本は、必ずしも無難で退屈な作品ではなく、むしろ読む人を分断するほどの強い力を持った本である可能性もあるのです。

もしあなたが刺激的な読書体験を求めているなら、ぜひ星3評価の本も探ってみてください。

参考文献

The book only gets 3 stars… but is considered great literature
https://phys.org/news/2026-01-stars-great-literature.html

元論文

The Goodreads’ ›Mediocre‹: Assessing a Grey Area of Literary Judgements
https://doi.org/10.17175/sb006_002

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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