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【コラム】音楽とサッカー、FIFAワールドカップ・イヤーに「世界は変わる」

  • 2026.1.8

2026年はFIFAワールドカップ・イヤー。4年に一度、サッカー界はあらゆる技術、パッション、ノウハウを世界の隅々にまで届ける。日本のサッカー・カルチャーは4年ごとに大きな影響を受けてきた。

時代は変化しサッカー界は移り変わる。近年、FIFAやUEFA主催大会の会場に足を運んだ人から「会場の雰囲気が日本国内で開催される試合と大きく違っていることに驚いた」という声をよく耳にする。その要因のひとつが音だ。

まず音量が大きい。スタジアムの開門から、まるでフェスのような音量で音楽が流れる。そして選曲。大会の性質や来場者、さらには開催都市やホームチームに合わせた音楽が流れ続ける。音楽はキックオフの直前に終わり、ハーフタイムに流れ、また、後半のキックオフで止まる。ファン・サポーターはスタジアムにいる間、無音の状態を感じることがない。

FIFAは2022年に公式サイトで「音楽とサッカーは1958年のペレとガリンシャ、1982年のブルーノ・コンティとパオロ・ロッシ、そして2010年のシャビとイニエスタのように調和して響き合います」と表現した。FIFAワールドカップの開催に合わせ公式サウンドトラックをリリースすることが恒例となっており、近年は Spotifyで『FIFA+ワールドカップアンセム全曲プレイリスト』を公開している。

今大会は決勝で史上初のハーフタイムショーを開催する。また、カナダ、メキシコ、米国の16の開催都市から、才能と影響力のあるプロデューサーが集まり、開催都市の各コミュニティをユニークで思い出に残る音で結びつける「ソニックIDプロジェクト」をスタートしている。こうしたアクションは音楽とサッカーが融合する場所『FIFAサウンド』のサイトで公開されている。

スポーツと音楽の関係を大きく変えたのはロンドン五輪の成功といわれる。世界屈指のカルチャー発信都市は、音楽をただ時間の穴埋めに使わなかった。期待、緊張、祝福、高揚……スタジアムのあらゆる感情を多種多様な音楽が増幅した。例えば、女子サッカー決勝は試合終了のホイッスルが流れると、すぐさま『GOLD(スパンダー・バレエによる1983年の大ヒット曲)』のメロディに包まれた。アメリカ女子代表のGOLDメダル獲得を音楽で称えたのだ。

アディダス ジャパンの高橋慶多氏は「音楽は気持ちを高める」と話す。

「日本では、サッカーのスタジアムに行く目的を聞けば『勝ち負け』『チームを応援する』『サッカーを見に行く』と答える人が大半だと思います。UEFAネーションズリーグを見に行ったときに日本との違いを強く感じました。オン・ザ・ピッチではサッカーが魅力ですが、キックオフ前、ハーフタイム、試合終了後には『サッカー・スタジアムではあるけれどもサッカーではない空間』があった。音、光…… それこそ音楽ライブのような盛り上がりで、サッカーにとどまらないエンターテイメント。刺激をもらえる空間がすごく素敵だと思いました。」

画像: 高橋 慶多さん(アディダス ジャパン アディダスマーケティング事業本部 ブランドアクティベーション ブランドコミュニケーションズ Sports & Sportswear シニアマネージャー)
高橋 慶多さん(アディダス ジャパン アディダスマーケティング事業本部 ブランドアクティベーション ブランドコミュニケーションズ Sports & Sportswear シニアマネージャー)

アディダスは音楽と近い距離にあるブランドだ。古くはRUN D.M.C、最近来日したオアシスに至るまで、スリーラインのアイテムを身につけるアーティストは多い。アディダスは商品発表イベントにDJを起用することもある。音楽が、アディダスの世界観やメッセージを届ける手助けとなる。

画像: adidas Football “TERRACE ICONS PARTY “ with SOCCER SHOP KAMO
adidas Football “TERRACE ICONS PARTY “ with SOCCER SHOP KAMO

日本でも、音楽とサッカーの関わりに変化の兆しが現れている。RB大宮アルディージャのホームゲームには、JリーグでもWEリーグでもDJが入る。より良い音をファン・サポーターに届けるため、ゴール裏スタンドの前にはスピーカーが追加設置されている。

サポーター側にも新たなアクションを起こす集団が出現している。『STEP ON -party-』は横浜F・マリノスのサポーターが始めたDJイベント。vol.5を1月24日(土)に中目黒solfaで開催する。

「音楽が生む熱狂は、サッカーの本質的な魅力と共鳴します。私たち『STEP ON -party-』はその力を信じ、新たなサッカーカルチャーをサポーター自らが体現することを目指して活動しています。私たちが将来のスタジアムで実現したいのは『試合日のDJイベント開催』です。音楽とサッカーが交差する瞬間、スタジアムは単なる競技場を超え、誰もが一体感を感じられる場所になる。そんな光景を、音楽を通じて創り出したいと考えています」

画像: STEP ON -party-
STEP ON -party-

おそらく、こうしたサッカー・カルチャーの動きは、FIFAワールドカップ2026の刺激を受け著しく加速を増す。国境を越えた新たな動きも起こるだろう。FIFAワールドカップ・イヤーに世界は変わる。変化の範囲はオン・ザ・ピッチに限らないのだ。

筆者:石井和裕

WEリーグ・女子サッカー界唯一の業界誌『 WE Love 女子サッカーマガジン』主筆。女子W杯2007,2011,2019,2023を現地観戦。著書:横浜F・マリノスあるある等。

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