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ロバと元新聞記者の全国旅 「黙々と働く姿が愛おしい」クマ出没で相棒に危機も

  • 2026.1.5

意外な相棒と旅を続ける男性がいます。
その相棒とは1頭のロバ。なぜ一緒に旅をするのか。
北海道南部の日本海沿いのマチで密着しました。

ロバと旅へ…元新聞記者の旅

『どこかへ旅に出たい…』

その衝動に従ってみたのは26歳のときでした。
元新聞記者、高田晃太郎さん、35歳。

Sitakke

相棒はオスのロバ「クサツネ」です。
栃木から鹿児島へ…。そして鹿児島から北海道へ続く、延べ数千キロの旅です。

「素朴にロバがいる生活っていいなっていうことを、少しずつ広めていけたらいい」

高田さんはそう話します。

5月にたどり着いた先は、北海道南部の八雲町熊石地区。
高田さんは、ある作業を進めていました。

Sitakke

釜を満たす日本海の海水。これで天然の塩を作るのです。
そしてその塩を携えて、まもなくクサツネと共に行商の旅に出ます。

なぜ、ここで塩を作るのでしょうか。

330キロのリヤカー

八雲町熊石地区には、海深くから「海洋深層水」を汲み上げる施設があります。
この海水で作ると、ミネラル分が豊かで、塩にコクが生まれるといいます。

タンクに入っている海水は300キロを超え、リヤカーとあわせると重量は330キロくらいあるそう。

Sitakke

塩作りの作業小屋までは片道3キロほど。リヤカーを引くクサツネの足取りは、軽やかです。

その道すがらに立ち寄った先が、地元の豆腐店―。

「こんにちは…おからってありますか?」

おからは、クサツネの大好物。ひと仕事を終えたごほうびです。

Sitakke

作業小屋に戻ると、クサツネから高田さんにバトンタッチ。海洋深層水で釜を満たし、これを3日間、火にかけます。

「最初に硫酸カルシウムが結晶化し、それを取り除くうちに塩が結晶化します。どんどん煮詰めるまで、見た目はほとんど変わらないんです」## 説明しがたい「旅に出たい」衝動

Sitakke

京都で生まれ育った高田晃太郎さん。
北海道大学を卒業後は、新聞社で記者として働き始めます。

ただ「旅に出たい」という説明しがたい衝動が、人生の形を変えることになりました。
新聞社を辞め、放浪の旅へ出たのです。
その旅先で出会ったのが、ロバでした。

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モロッコ(2018年)

「どれだけ重い荷物を背負っても涼し気な目で、つらそうな姿を見せない。いつも笑っているような、微笑んでいるような顔をしながら黙々と働く姿に、自分は心を打たれる」

黙々と働く姿がたまらなく愛おしく、それから必ずロバを旅の相棒にしてきました。

ただ、海外で時間を共にしたロバたちは検疫の壁に阻まれ、現地で手放すしかありませんでした。

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「ブォーブォーブォー」

日本海に面した八雲町熊石地区。放牧地でクサツネが大きな鳴き声をあげます。

『もっとロバと一緒にいたい…』

2年前、栃木県の牧場で出会ったのがクサツネ。
50万円で譲り受けた、高田さんの大切な相棒です。

高田さんとクサツネは、日本各地を訪ねる旅を重ね、心を通わせていきました。
それでも気まぐれな一面を見せることも…。

Sitakke
ガブっ!

「いたっ!」

高田さんの腕を、クサツネがガブッとかじりました。
そんなクサツネは、生まれ故郷の牧場を離れ、旅に出たことで身体もたくましくなりました。

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「旅の間は毎日たくさん歩いて、たくさん草を食べて、その繰り返しで、どんどん健康的になっていくのを目の当たりにした。ロバにとって働くことはいいことなんだと、ロバと人間が一緒に働くような形ができたらいいなと思って」

愛おしいロバと働き合う。それが高田さんの”旅のカタチ”です。

もし襲われていたら…

Sitakke

そして、騒動が起きました。
放牧地のすぐそばに、ヒグマが現れたのです。
すぐさま高田さんが、追い払おうと爆竹に火をつけ、大きな音を鳴らします。

ヒグマは爆竹の音に怯みその場を離れたものの、数分後に再び姿を見せました。
高田さんはヒグマに向けて、大声を上げます。

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「ほーほーほーほー」

クサツネがもし襲われたら…その不安が、高田さんの頭によぎります。

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「クマが消えていったところは、クサツネがよく草を食べているところ。クサツネはクマなんて知らないから、怖さを知らない…。いや~ショックや」

相棒と作った「ロバ塩」新たな旅へ

Sitakke

海洋深層水を釜で煮立て、塩を作る作業は3日目を迎えました。
ついに、水面に塩が浮かび上がりました。

「"ロバ塩"の誕生です。ここから2時間半位、塩の結晶化が続くのでひたすら収穫します」

300リットルの海水から、わずか5~6キロ。
それでも、クサツネと共に働いた、かけがえのない結晶です。

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「煙たい塩小屋から出たら、新鮮な空気と草をはむクサツネがいる。それが最高なんです。クサツネがいなかったら、ただ苦しいだけ…煙を吸って」

完成した塩を積み、高田さんとクサツネの旅が始まりました。
峠道に苦戦する場面もあります。

いったい、どんな旅が待ち受けているのでしょうか。

元新聞記者の高田晃太郎さんと、相棒のロバ「クサツネ」は、11月11日、八雲町熊石地区を出発しました。

Sitakke

手作りの「ロバ塩」を売りながらの行商の旅は、千葉県を目指して進行中。
熊石地区ではたくさんの人の協力を受けながら、クサツネと手作り塩の「ロバ塩」を完成させました。

実は以前、旅の途中に熊本の塩工房に立ち寄った際、「これならクサツネと働ける」とひらめいたことが、塩作りを始めるきっかけとなったそうです。

Sitakke

『旅をしながらロバと働き合う』

その真っ直ぐな思いが、高田さんからは伝わってきます。
出発したばかりの旅では、どんな展開が待っているのか。そして、あの「ロバ塩」は売れるのでしょうか。

後編の記事でお伝えします。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年11月25日)の情報に基づきます。

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