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「自分がおかしくなった?」友だちとソリが合わずギスギス…価値観と関係性の変化に戸惑い【お悩み#100】

  • 2025.12.29

はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。

なんとなんと!
こちらのお悩み相談コラムなのですが、今回で連載100本目を迎えることに。
これもひとえに画面の向こうの皆様のおかげ。本当にありがとうございます!

記念して前回まで特別コラムをお送りしてきましたが、今回はいよいよ100本目のお悩み。

にしても、自分で読み返して思うのですが、初回のころの書き様からあたしもずいぶん変化したものです。
文字数はもちろんのこと、句読点の打ち方をはじめとする文体の癖も、実は時期によってずいぶん変わっているのよね。
無意識のうちのことだから、本人としてはびっくりだわぁ。

文章の書き方ですら変化するわけですが。

人との関係性であったり、その関係性の只中にいる自分自身も、やっぱり知らない間に変わっていったりしますよね。

今回はそんな、自身のこころの変容に戸惑っている方からのお手紙のようです。

読者からのお悩み「仲の良かった友だちと価値観がすれ違うようになった気がして…自分がおかしくなっちゃったの?」

Sitakke
Sitakke
Sitakke

あらぁ、これまた独特なペンネーム。

天然記念物といえば、北海道だとタンチョウとかマリモ、野幌の原始林とかもそうだったかしらね。「国指定天然記念物」さん。お手紙送ってくださり、心より感謝!

あなたのおかげで、記念すべき100本目のコラムを、無事こうして書き始めることができます。

にしてもそうねぇ。

正直この4年間で一番、衝撃的な書き出しのお悩みだったわ。笑

「『自分は何かおかしいんじゃないか』という不安」というフレーズをみたときに、芥川龍之介の書き遺した「ぼんやりとした不安」を思い起こし、「国指定天然記念物」さんのことを一瞬本気で案じたのは、ここだけの話。

でも、悩んでる中身はとってもよくわかる。
何を隠そうあたし自身、同じようなことで最近も頭を抱えたりしていたところなんです。

生き方は多種多様だからこそ、避けられないものも

Sitakke
HBCテレビ「今日ドキッ!」2025年ラスト出演!

関係がギスギスするというところまでは、あたしの場合はまだ、表面上は至っていないんだけれど。

友人関係や恋愛関係、仕事上のつながりも全てひっくるめて、付き合いが長くなってきた人たちとの、段々と生じてきてしまう価値観の差というか。
生活のペースや働き方、人生の進め方の差や変化というか。

そういうのを2025年は、折につけて自分自身にも、周囲の関係性の中にもしばしば見出すタイミングがありました。

生き方は多種多様。
とはいえ、その違いから来る関係性のひずみやきしみというのは、どうにも避けようがないみたいですね。

しかも、そのひずみやきしみというのは、あたしの場合も大抵「国指定天然記念物」さんと同様、「あれ、なんか自分おかしいかも…?」という自分自身への疑念から始まるようで。

それまで相手と、ノリよく馬が合うかたちでコミュニケーションが成立していた分。
それがある日ひょんな拍子に上手くいかなくなると、その原因あるいは責任を最も手近なところ、つまりおのれに求めちゃうんだよね。

いわゆる自責思考というか…これってクセなのかなぁ(認知的バイアスぅ〜)。

加えて、ご相談いただいた事例の場合は、すでに相手と揉める段まで事が進んでいるみたいね。
それぞれの伝えたいことがなぜかそれまでと違って噛み合わず、なんなら軋轢にまで発展。そりゃ確実にショックなはず。

「国指定天然記念物」さんの心中、お察し申し上げるわ。

どうなんでしょう。
あたしの場合は、お手紙に書かれていた「違和感を覚えても押し黙っていたり、その場では周りに合わせ」るということ自体が、どうやら大きなストレスになってしまうみたいで。

なので「それ、どない?」と、他人の発言や行為に関して疑念を抱くようなことがあれば、自責思考に侵される前に、比較的すぐ周りに伝えるようにしてしまっているし。

それによって、いろんな人との関係性をなんとか円滑にしていこうと、今までの人生の中で意識的に試みてきたんだけれど。

おのれの気持ちを言葉に変えて正確に伝えたり(流行りの"言語化"ってやつ?)や、その言葉をまっすぐキャッチしたりって、そうしなければならない場面がくるたびにかなりのエネルギーを使いますよね。

その上、いつもそんなやり取りが成功するとは限らない。いやはや、生きるって大変。

だから今回の件、ご友人との衝突によって「国指定天然記念物」さんが落ち込んだり混乱したりしていらっしゃることには、「そりゃ、無理ないわよね」と率直に共感するというか。
今もそうした状況の只中に置かれ、おそらくしっかり戸惑っているであろうということを、似たような事柄でモヤモヤしがちな人間としては、素直に心配に思ったりしています。

あたしなりのAnswer

Sitakke

さて、「国指定天然記念物」さん。
ここからあなたのお悩みに応えていくにあたり、まずはひとつシンプルにお伝えしておきたいんだけれど。

あなたはちっとも、おかしくなんてありません。
それは、今も今までも、なんならこれからだってそう。

人間は周囲の影響を受けながら、本人なりの変化を日々積み重ねつつ、それぞれの人生を歩んでいきます。
しかもこれ、誰しもに言えること。

あなたはもちろんのこと、今回揉めてしまったご友人だって、学生時代から時を経て、当時から考えればずいぶん別の価値観や、生き方の指針を手に入れているのかもしれません。

(あたし自身も、これまでのコラム100本を読み返してみて自覚したのですが、冒頭に述べた書き方のクセだけにとどまらず、ものの見方や考え方についても、どうやらこの4年間で様々な変遷を遂げてきたみたい。不思議よねぇ)

だからこそ、「国指定天然記念物」さんたちのように、ある時にぴったりとした波長を奏でていた関係性も、別の時には折り合わないものに変質していたりする。

互いに違う価値観を持ってしまうこと、その価値観にぶつかりが生じてしまうことというのは、ある意味当然の流れ。

あなたのこころの中に、相手に対して「どうしても曲げたくない箇所」が出てきてしまうのは、極々自然な話なのです。

今回は不幸なことに、その曲げたくない箇所のすり合わせが、上手くいかなかったのよね。
その経験から、今の自分が「周りを傷つけ」てしまいかねないのではないかと恐れる気持ち、とってもよくわかります。
「自分の中の変化を受け止めきれ」ないという素直な感想にも、大いに頷くところがあります。

だけどね、「国指定天然記念物」さん。どうか恐れないで。

お手紙を読んだとき、一点あなたのことをとってもすばらしいなと思ったんだけれど、それは、相手の言葉に違和感を抱いたあとも「新たな関係性」を作っていこうとして「対話を試みた」というところ。

あなたには、そのトライする気持ちを、可能であればこれからも忘れないでほしい。
今は折り合うことがなかったとしても、その友人とのつながりをあきらめないでいるという姿勢だけは、これからも変わることなく保ち続けていてほしいんです。

何度でも出会い直せばいい

Sitakke
お花シリーズ「ヒペリカム」花言葉は「悲しみは続かない」

ひとつ、あたしの大好きな短歌を、あなたに贈りたいと思います。

さようなら さようなら また会いましょう また別れたら また会いましょう (枡野浩一(2022)『枡野浩一全短歌集』左右社, p. 328)

「国指定天然記念物」さん。
あなたと、あなたの友だちについては、目下のところそれぞれの譲れない部分が、互いにとって良くないハレーションを起こしてしまっているかもしれません。

けれど、あたし思うの。
そのお互いの光が、今後人生の更なる変化を経験することで、また綺麗に重なって素敵な虹に変わることもあるかもしれない。

そう。人間は複雑で、ミステリアスで、面白い生き物です。
ひとたび離れてしまった人とも、ライフステージが進んでいくなかで、ひょんなきっかけでもう一度出会うことができる。

あなたはきっとその友人と、今回はたもとをわかつことになっても、また会うことができるはずって、あたしはそう思うのよ。この短歌が詠っているように。

もちろん、無理に出会い直す必要はありません。

どこまでも見るもの、大切にするものが異なってしまう相手というのはいます。
そういう人と、自分を殺してまで一緒にいる必要はない。

だけど、一度仲良くなった同士です。
きっとこれまでの思い出が、また2人を引き寄せてくれるんじゃないかしら。
きっとまた一日中爆笑しちゃうような、そんな素敵な時間が戻ってくるって、あなた信じてみてもいいんじゃないかしら。

「国指定天然記念物」さん、大丈夫、あなたは全然おかしくない。

そして大丈夫、あなたは何度でも、その友だちと出会い直せばいい。

そのためにまずは、これから歩んでいく人生という旅路を、存分に楽しんでください。
いろんな変化をして、いろんな成長をして、すてきな人間になっていこうじゃないのよ、あたしたち。

いつかまた、あなたがその友だちと手と手を取り合う瞬間が来ることを祈りつつ。
あたしの100本目のコラムを、人生を寿ぐひとつの讃歌として書き上げられたことを、「国指定天然記念物」さんに心から感謝しようと思います。

ま・と・め♡

というわけで今回は、友情関係の問題と向き合いつつ、大きなテーマとしては人間の変化について考えてみました。

あたし自身もこのコラムを書くことを通じて、様々な種類のこころの旅を、相談者さんたちと一緒にさせてもらってきたのよね。

そこから得た実に多様な変化が、「今の自分」という存在を作ってくれているのだなぁと、この記念すべき回の執筆によってはっきりと認識させてもらえた気がするわ。
今までお手紙をくださった全ての方々に、改めて心から感謝を申し上げたいと思います。

これからも、いろんなテーマについて書き続けていきたいわ。
みなさんどうぞ、101回目以降の「満島てる子のお悩み相談ルーム」も、引き続き応援よろしくお願いいたしますね!

ではでは皆さん、また2026年にお会いしましょう。
どうか良いお年を!Sitakkeね〜!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部あい
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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