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100本の「あたしなりのアンサー」女装家・満島てる子が読者と一緒に悩んで見つけて来たもの

  • 2025.12.28

はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。

普段は「満島てる子のお悩み相談ルーム」というタイトルで、このSitakke上でお悩み相談コラムの連載を担当しています。

Sitakkeの立ち上げからはや4年。スタートのときからずっと書かせてもらってきたこの連載。
なんと2025年の12月で、掲載本数100本を突破することに!
これも読者の皆様あってこそ。深く感謝申し上げます。

記念して、前回はみなさまからこれまで寄せていただいたお悩み以外の質問に一挙アンサーしてきました!

Sitakke
ライター・満島てる子

今回はさらに「100回記念に、もう1本特別コラムを書きませんか?」と、Sitakke編集部からお声がけをいただいたの。
題して「お悩み相談、いつもこんな風に導き出してます!」編!

普段のあたしの執筆について、編集部の設定してくれたいくつかのポイントから。
その様子を赤裸々(?)に、ちょっとだけご紹介させていただこうと思います。

(別のコラムでは、これまで応募フォームから送ってもらっていたいろんな質問に応えたりしてるよ!そちらもぜひ読んでみてくださいね)

たくさんいただくお悩み、どんな思いでピックアップしている?

まず最初はこちらから。
これまでの4年間、年齢や性別はもちろん、バックグラウンドも様々な方から、多種多様な内容のお手紙を送っていただきました。

コラム化できないでいるお悩みが、まだまだたっくさん!

ユニークなところで言うと「釣りが大好き!釣りでお金持ちになりたい!どうしたらいいですか?」なんてものも、これまで送ってもらったことあったっけね。
(こればっかりは……てめぇの頭で考えなさいッ!笑)

文章化して取り上げさせてもらったものも、分野は多岐にわたっているなぁと思います。

恋愛・仕事・家族・生死に関わること。ジェンダーやセクシュアリティについても、たくさん執筆をさせていただきました。

Sitakke
2025年はリアルイベントで本当の「生」お悩み相談も!

お悩みは"なまもの"です。

リアルタイムで送られてくるお便りの中身に、どうしても依存しがち。
ではありながら、それでも意識としては、できる限りまんべんなく様々なトピックについて触れられるよう、選ぶときには気をつけているつもり。

でも、不思議なのよね。

なぜか「偏りなく・幅広く」と考えながら、できる限り多くの読者のニーズに合わせられることを優先しながら、選んでいるつもりなのに。
いざ書き始めると毎度気づくの。「あ、これって実は、自分も悩んでいることじゃない…?」って。

そう、よく「自分に引きつけて書けそうなトピック、選んでいるの?」と聞かれたりするのですが。どっちかというとその逆。

選んだお悩みが、あたしのことをそちら側に引き寄せて、思考を巡らさせてくれるんです。

なんなら、「じぶんごと」になるぐらいで済んでくれれば、正直御の字。
ひどいときはお手紙の内容がそっくりそのまま、その月の「自分の悩み」になっちゃったりすんのよね。笑

これ、とっても不思議な現象ではあるのですが。
もしかしたらあたしのこころってば、たくさんのお手紙の中からその月のお悩みを選ぶときに、「これは自分のためにも書くべきだ」と、どっかこっかで嗅ぎ分けちゃっているのかも。
あたしの悩みを浮かび上がらせる鏡のような存在として、皆さんのお悩みが機能しているところがあります。笑

アンサーを考えて文章に…いつもどれくらいの時間をかけている?

Sitakke

というわけで、皆さんのお悩みはもはやあたしのお悩み。
なので、そのお悩みにアンサーを出すというのは、ほぼ自分自身の内面のごちゃごちゃに整理をつけ、ひとつの決断を下すことに等しい所業。

そうなるとさすがに毎度のコラム、そんなにさっさと書けるわけではないことは、もしかしたら察していただけたりするかしら。

内容によっては、涙を流しながら執筆したものも(例えばあたし自身の失恋報告をしちゃった回とか、大切な人の死と向き合う回とかね)。
あまりに感情が昂ってしまい、自分自身を落ち着かせるために、タイピングする手を止めざるをえなくなったこともありました。

そんなこんなをしながら紡いでいる、あたしの連載ですが。
平均的には5日間ほどをかけながら、1本1本を生み出しているんじゃないかなぁ。
配分としては以下の通り。

準備期間……2〜3日。

この間に散歩したり、掃除したりしながら、「どんなことを自分がお手紙を読んで感じたか」「相談者はどんな人物だと推測できるか」「このお悩みはどんなトピックとつながっているのか」ということをポワポワと考え続けます。

ときには書くためにいろんな調べ物をしたり、関連しそうな感情を自分に思い起こさせてくれる、様々な映像作品や書籍を味わい直してみたり。
この期間中に「これだけははっきり載せたい」というフレーズを思いついたりしたら、積極的にメモをとったりもしています。

執筆期間……前半で1日、後半で1日。

大体ハードグミをちみちみ噛みつつ、二日酔いを流すためにと水をがぶ飲みしながら、かつての最愛の男性が誕生日プレゼントに買ってくれたキーボードに向かって(あいつへの想いをきっちり断ち切るためにも、そろそろ買い替えようかしら…でも打ち心地半端なくいいのよね。さすが3万円)、パソコン(スクリーン2つ)とタブレットからなる3画面をそれぞれ使い分けるかたちで、文章をしたためていきます。

初日は、相談者さんに寄り添うつもりで歩き始め、結局同じ悩みに頭を抱え始めることになって終了。寝て翌日に解決編。

大体この解決編の最中に感情の大波をサーフィンすることになるので、波に飲まれちゃった!くそ!となると、もう1日余計にかかったりすることもあります。笑

アンサーを導き出すときに心がけていること

Sitakke
お花シリーズ お客様からのブーケ

こんな風に、割とひとつひとつにしっかりと時間をかけながら、これまでつむいできたお悩み相談コラム100本。

なのですが、最近は強力なライバルも登場。今やプライベートなことも含めて、なんでもChatGPTに気軽に相談する時代に。

自分のやっていることは、もしかしていつかニーズとしては無くなっていくのかなぁと、ごく稀にですが不安になったりすることも最近あったりします。

すごいですよね、ChatGPTって。

あたしも現在その使い方を勉強中なのですが、聞き方のコツさえ心得ておけば、何を聞いてもほしい情報や言葉を即座に与えてくれる。
お悩み相談となれば、相手に寄り添う姿勢だって見せ、解決方法までをも与えてくれる。
ChatGPTをこころの支えにしている人も、どうやら増えてきている様子。

応募フォームに投稿して取り上げられるかどうかを待つなんて手間も、あたしの連載を当てにするのと違ってかからないわけです。

でもずっと思ってるの。ChatGPTにはできなくてあたしにはできること、確実に1個あるなぁって。
それはね。

相談者さんと一緒に、自分たちにかけられた世の呪い(常識や偏見、ステレオタイプな考え方といった悩みの源泉)を言葉を使って書き換え、その身をもって共に乗り越えていくこと。

これをあたしは、これまで「あたしなりのアンサー」の部分を書くときに、連載開始の頃からとりわけ意識してきました。
そして、自分で言うのもなんなのですが、これがこの連載の特色とも言いうるのではないかなぁと、ずっとそう考えてきたんです。

ChatGPTは、傾聴し、共感し、必要な情報の開示であるとか、時には取るべき選択肢の提案も行ってくれます。

ですがChatGPTは、私たちのように"人生"を送っているわけではありません。

様々な制限のある身体を持ち、いつか終わりを迎える時間を歩み。
他者とのすれ違いや社会構造のひずみなどから生まれる、様々な煩悶や懊悩を味わったりなどは、AIはしません。

その点あたしはやっぱり人間なんだなぁと、この連載を担当していても感じます。

読者の方々と同じで、あたしにも人生がある。お手紙の内容と似たような煩悶や懊悩と直面し、それらを取り除こうと日々もがき、あがき続けている。
なんならお手紙との出会いが、あたし自身を悩ませることもある。

そして、生身でもってその悩みを味わっているからこそ。
経験を言葉に落とし込み、同じ悩みを抱える画面越しの相手に伝えることができる。
こころの中でではあるけれど、言語を通じて投稿者と手と手を取り合い、自分たちを苦しめる様々な縛りを一緒にほどいていくことができるように思うのです。

人間であることは、大変です。
当たり前とされている価値観や、身に染み込んだ習慣。理解できそうにない他者との避けられない繋がりなど、いろんな呪縛に振り回されてしまう。

だからこそ。
人間であることから生じてくる悩み。それらを受け止め、別のかたち(呪(のろ)いではなく、幸せをもたらす"呪(まじな)い")につむぎなおす役割を担う「人間」が、このAI全盛時代にもひとりぐらいいたっていいんじゃないか。

4年間書き重ねてきた、コラムという名の呪文たちを読み返すたび、あたしはそんなことを思ったりしています。

ま・と・め♡

というわけで、少し手の内を明かすような感じになりながらですが、あたしの執筆の裏舞台を皆さんにお届けさせていただきました。どうだったかしら?

「相談乗る側のくせに、こいつこんなに悩んでるの!?」って思われちゃったかな?

でも、これからも。
皆さんのお悩みに、皆さんと一緒に頭を抱え続けながら。
人生をのらりくらりと乗り越えていくために、新しいコラムをまだまだ書き続けていきたい。

100本目を迎えるタイミングでもそんなことを考えている、一種強欲なあたし。笑
そんな満島の文章を、これからもどうぞ、愛していただければこれ幸いです。

次回はいよいよ100回目のお悩み。ではでは皆さん、コンゴトモヨロシク。
Sitakkeね〜!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部あい
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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