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奢られて当然女 vs 全員キャッシュレス。現金しか使えない店で起きた悲劇

  • 2025.12.29
ハウコレ

学生時代からの付き合いが続く友人グループ。大人になっても定期的に集まれる関係は、かけがえのないものです。けれど、長い付き合いの中で「あれ?」と感じる違和感が少し感じることもあります。今回は、いつも会計時になると姿を消す友人と、ある出来事をきっかけに関係を見つめ直すことになった女性のお話をご紹介します。

いつの間にか当たり前になっていた「奢られ待ち」

大学時代から続く男女4人の友人グループ。社会人になってからも月に一度は集まり、近況報告をするのが楽しみでした。

ただ、ひとつだけ気になることがあったのです。メンバーの中のひとり、美咲だけがいつも会計を払わないこと。

「財布忘れちゃった」

「今月ピンチで……」

「あとで絶対返すね」

そんな言葉が続き、気づけば数年間、彼女がお金を出した記憶がほとんどありません。

他のメンバーも薄々気づいていたようですが、長い付き合いだからと誰も口に出せずにいました。「まあ、いつか返してくれるよね」。そう思いながらも、モヤモヤした気持ちは静かに膨らんでいったのです。

「現金のみ」の隠れ家レストランへ

ある日、私たちは雑誌で見つけた人気の隠れ家レストランを予約しました。雰囲気のいいお店で、ずっと行きたいと話していた場所です。

予約の際に「現金のみ」と書いてあることに気づき、グループLINEで共有しておきました。正直に言うと、私を含む3人は完全なキャッシュレス派。普段から現金を持ち歩く習慣がありません。

「現金かぁ、ATM寄らなきゃ」と思いながらも、当日はバタバタしていてすっかり忘れてしまいました。

美味しい料理と楽しい会話で時間は過ぎていきましたが、私たちの頭の片隅には会計のことがちらついていました。

会計で起きた小さな事件

食事を終え、会計の時間になりました。ひとり5,000円ほど、4人で約2万円。私たちがそれぞれ財布を開いたとき、顔を見合わせました。私の財布には小銭が数百円。他の2人も同様でした。

「ごめん、現金持ってきてなくて……」

「俺も完全に忘れてた……」

そのとき、美咲がいつものように言いかけました。

「あ、私も現金なく――」

しかし、その言葉は途中で止まりました。私たち3人の視線が、静かに美咲に集まっていたからです。 「美咲、お願いできる? あとで絶対振り込むから」

いつも美咲が言っていたセリフを、今度は私たちが言う番でした。

美咲は観念したように財布を開きました。いつも「持ってない」と言っていたのは何だったのか。私たちは何も言いませんでしたが、美咲は気まずそうに全員分の会計を済ませました。

そして…

店を出た瞬間、私たちは約束通りすぐにスマホを取り出しました。

「はい、振り込んだよ」

「私も送ったよ」

1分も経たないうちに、全員が自分の分を送金し終えていました。美咲はしばらくスマホの画面を見つめていました。そして、ぽつりと呟いたのです。

「私、今まで何回『あとで返す』って言って、返してなかったんだろう」

誰も何も言いませんでした。美咲は続けました。

「立て替えてもらうのが当たり前になってた。みんな、嫌だったよね。ごめん」

その言葉を聞いて、私たちの中で何かがほどけた気がしました。長い間言えなかったモヤモヤが、ようやく消化されたような感覚でした。

それからの食事会では、美咲は誰よりも先に財布を出すようになりました。今も私たちは月に一度集まっています。あの日のことを蒸し返すことはありません。ただ、少しだけ風通しがよくなった関係で、これからも友情を大切にしていきたいと思っています。

(20代女性・販売職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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