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家康も秀吉も経験した「籠城戦」。餓死者や城下町の悲劇を伴った、力攻めではない戦術の実態とは【NHK大河『豊臣兄弟!』17話】

  • 2026.5.8

*TOP画像/長政(中島歩) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』17話(5月3日放送)より(C)NHK

 

『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は戦国時代における「籠城(ろうじょう)」について見ていきましょう。

 

 

◆戦国時代の籠城戦は、どんな戦術だったのか

「籠城戦」における備え・耐え方とは?

『豊臣兄弟!』の17話では、織田信長(小栗旬)に攻められ、進退極まった浅井長政(中島歩)は小谷城に籠城し、自ら命を絶ちました。 史実においても、籠城は多くの戦で取り入れられた戦術。その字のとおり、“城”に立て“籠”もり、敵の攻撃に耐えながら防戦し、勝利を目指す戦術のことです。

 

籠城で勝利するには、主に以下の2つの方法があります。

・敵が撤退するまで待つ

・味方の後詰(ごづめ)に敵を殲滅(せんめつ)してもらう

 

戦国時代前半は兵農未分離の時代でした。小一郎(仲野太賀)の故郷・中村の男たちがそうであったように、多くが百姓と兵役を兼務していました。農繁期には兵士らは戦場から自国へ引き返す必要があったため、籠城戦においては閑農期を乗り切れば勝利が見えてきたのです。また、包囲された城に救援の援軍(後詰)が包囲軍を撃退できれば、勝利をおさめることができました。

 

◆水や食糧の問題、城下町の様子、籠城戦の前に行われたこととは

籠城のための貯え

戦国時代は敵がいつ攻め込んでくるか分からない時代。城に長期にわたって籠城できるよう、水や食糧(米、乾魚、大豆、味噌、塩)、軍需品(矢石、玉薬)、燃料(薪、藁)を十分に確保しておくのが常でした。多くの城は城内に井戸を掘り、飲料水を確保するだけでなく、万一の火災に備える重要な用水源としても重宝されていました。加えて、城内に木を植えておき、食糧が不足した際には木の葉を食べられるように備えていました。

 

籠城戦における兵の数は戦いによって大きく異なります。人数は一概にはいえませんが、少ない場合は500〜1,000人程度、多い場合は1万人から10万人規模に達することもありました。これだけの人数が1カ月前後から数年にもわたり、城内で耐え抜かなければならなかったのです。籠城中は質素な食生活が基本で、食事は一汁一菜。加えて、大声を上げたり、小唄を歌ったりすることも禁じられていました。敵がいつ攻め込んでくるか、火を放ってくるか分からない緊張状況の中、食事を満足に摂れず、慎重な行動を強いられるのは、さぞかし苦しかったでしょう。

 

籠城前に城下町は焼き払われる

城の周辺は城下町として賑わっていました。店や民家が建ち並び、国内でも指折りの繁華な場所でした。籠城前、城下町やその周辺の建物をことごとく焼き払い、竹を伐採しました。食糧や攻城具の材料が敵の手に渡るのを防ぐためです。敵が活用できそうなものは根こそぎに排除されました。もちろん、城下町で暮らしているのも商いを営んでいるのも一般の人びとです。戦の備えのためとはいえ、自分の家や店を焼き払われるなど、現代人の感覚では到底許せるものではありません。

 

◆秀吉と家康が経験した籠城戦の様子は……

豊臣秀吉も徳川家康も籠城戦を経験

豊臣秀吉と徳川家康はともに籠城戦において攻城側を経験しています。1580年、豊臣秀吉は鳥取城に籠城する吉川経家を攻めました。籠兵数は約1400人(雑兵 約4000人)。この戦いでは餓死者が多く出たといわれています。男女ともに餓鬼のように痩せ衰え、「引き出し助け給へ(城から出して、助けてください)」という叫び声が響いていたと伝わっています。

 

1614年秋、徳川家康が秀吉の息子・秀頼の大坂城を取り囲んだ冬の陣は約1カ月と短期間であったものの、10万人以上の兵が城内に籠りました。家康は坑道掘りや砲撃などを駆使し、心理的にも強く圧力をかけ、城内に籠城する秀頼側に多大な苦しみを与えたと伝えられています。秀頼は家康の圧力に負け、家康の和睦を受け入れました。大坂城の堀の大部分を埋め、真田丸も破却しました。

 

本記事では、戦国時代における「籠城(ろうじょう)」についてお伝えしました。

 

<参考資料>

稲垣史生『戦国時代大全』 ロングセラーズ 、2016年

川口素生『戦国時代なるほど事典』PHP研究所、2001年 

工藤章興『<豊臣秀吉と戦国時代>数字で分析! 豊臣秀吉の三大必勝戦法』学研プラス 、2015年

二木謙一 『図解戦国合戦がよくわかる本 武具・組織・戦術から論功行賞まで』PHP研究所、2013年

 

 

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