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「認知症の母に父が暴力をふっていることを知り、施設へ」親の【高齢者施設入居】体験談

  • 2025.12.21

「認知症の母に父が暴力をふっていることを知り、施設へ」親の【高齢者施設入居】体験談

老いていく親の「少しでも長く家にいたい」という願いをうち消し、施設に入れることは親不孝なのでしょうか? ここでは、読者の体験談をご紹介します。

親の施設入居体験、我が家の場合

住宅型有料老人ホーム

住み慣れた街を離れるときの父の顔が忘れられません

KKさん(60歳・東京都)
父(86歳)は要介護1、母(88歳)は要介護2で、認知症初期との診断。長く住んだ地元を離れ、現在は他県の住宅型有料老人ホームに二人で暮らしている。

母に認知症の症状が出たのは2022年の春のこと。そんな母を支えていた父だったが、その年の夏に前立腺肥大の手術のために入院。退院後は錯乱状態となって週に数回救急車を呼んだり、現役時代の仕事相手に電話をしたりなど問題行動が頻発した。「これはマズイ」と妹と二人で施設探しを開始。

実家近くのホームは年金と預貯金で暮らせそうだったが、いかんせん建物が古くて暗い。ショートステイもしてみたが、妹が「専業主婦だし、自分の家の近くに入居したらサポートできる」と言ってくれたので、22年12月に神奈川にある住宅型有料老人ホームに入居することになった。こちらのホームは大手のきれいな施設。松戸の自宅を売って費用にあてることになった。住み慣れた家を離れる父はとてもさびしそうで、江戸川を渡るとき「60年住んだ松戸と、これでさよならだ」と言って黙り込んだ。その顔が忘れられない。

義母の方は足腰が弱っているものの自分で施設入居を決め、3カ所見学に行き、今の施設を選んだ。子どもの手を借りてはいるが、すべて自分で決断。私もそうありたいと心から思った。というわけで、自分が入居する施設の目星はもうつけている。

老健→グループホーム

くも膜下出血で障害がでた母に、父が手をあげていると知って施設へ

マイコさん(50歳・東京都)
両親は北海道で夫婦二人暮らしだったが、母(79歳)がくも膜下出血で倒れる。退院後は在宅介護から老健を経て、現在はグループホームへ。父は23年に72歳で逝去。

持病をもつ父を献身的に支えていた母が、2022年、くも膜下出血で倒れた。救急搬送されて一命はとりとめたものの、高次脳機能障害と血管性認知症を発症し、母は要介護3に。しかし、父は母を施設に入れることに大反対。当初はデイサービスなども含め、介護サービス全般を拒絶していた。母の介護は基本的に父が担い、私は1〜2カ月に一度帰省しての遠距離介護となった。

認知症となった母を、父は受け止められなかったのだと思う。しばらくして「父が母に暴力をふるっている」ことに、母が利用するショートステイの担当者が気づいた。市の調査も入り「これ以上、母を家に置いておけない」と、すぐに空いている介護老人保健施設(老健)へ。偶然にもその老健の認知症フロア担当がお隣さん。母にとっても安心できたと思う。

老健のケアマネさんから「お母さんは体が元気なので、老健よりグループホームが向いている」と言われた。2カ所見学し、職員の感じがよかったホームに移すことに。場合によって、外出なども認めてくれる自由度が決め手だった。母は今、そこで静かに暮らしているが、父は母が老健に入って間もなくこの世を去った。

※この記事は「ゆうゆう」2026年1月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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