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遠距離介護はもう無理! イラストレーター【上大岡トメさん】の 実録「親が高齢者施設に入るまで」

  • 2025.12.18

遠距離介護はもう無理! イラストレーター【上大岡トメさん】の 実録「親が高齢者施設に入るまで」

老いていく親の「少しでも長く家にいたい」という願いをうち消し、施設に入れることは親不孝なのでしょうか? ここでは、イラストレーター上大岡トメさんの体験をご紹介します。

実録・親が施設に入るまで〜上大岡トメさんの場合〜

じわじわと、確実に老いていく親。なんとか続けた遠距離介護が限界を迎えたとき、どう動きどう判断すべきか。トメさんの体験から考えてみて。

登場人物

トメ
イラストレーター。横浜育ち、現在は山口県在住。一級建築士、ヨガインストラクターでもある。

アネ
トメの3歳上で京都府在住。研究職。介護に関してはトメに一任しているがよき相談相手。


神奈川県在住。元技術者。パーキンソン病をわずらい突然倒れることがあり、認知症の症状も。


料理上手の専業主婦。父と力を合わせ生活してきたが、体調を崩してから認知機能が急低下。

遠距離在宅介護はもう無理!

在宅介護は急な坂道を転がるがごとく悪化する

病気などがあるものの、ふたりで支え合い、なんとか生活をしていた父と母。トメも1カ月に一度は様子を見に行っていたが、コロナ禍で半年ぶりに行ってみると父に認知症の初期症状が。つじつまの合わないことを言い出し、持病のパーキンソン病で突然意識を失うことも。母は骨盤臓器脱が原因で発熱をくり返し、ほぼ寝たきりに。

要介護の区分変更をしてもらい、フルで介護サービスを受けるも、土日は京都のアネか山口のトメのどちらかが帰省して介護。姉妹とヘルパーさんの誰一人欠けても成り立たない、在宅介護の限界状態に。もう無理!と、高齢者施設への入居を決断する。

親にぴったりの施設は?

パンフレットだけではわからない実情も調べて

高齢者施設といっても、公的な施設と民間施設があり、要介護度や状態により入れる施設も違う。資産、病状、夫婦部屋があるか別部屋かなどと優先することを書き出し、条件に合う施設を見学する。そこで感じたのは、呼べば誰かが来てサポートしてくれる安心感だった。

母の骨盤臓器脱が悪化し、手術をすることに。幸いにも術後の経過がよく、認知機能も回復した母に相談をすると、母は驚くこともなく、安堵した表情で「施設の方が安心」と入居をOKしてくれた。

母の承認をもらい施設をしぼっていくトメとアネ。アネは市のウェブサイトからパンフレットには載っていない施設の実像や、経営母体などをチェック。ついにぴったりと思える施設を決定する。

最大の難関は父の説得

かたくなな父の心をほぐした百戦錬磨のプロのテク

入居する施設が決まってもまだ終わりではない。契約までには「かかりつけ医の健康診断」「入院中の母の転院手続き」「施設への入居手続き」「引っ越し」……とやることは山積み。そして最大の難関は、「絶対に施設になど入らぬ!」と言い続けてきた父の説得だった。

「ホームのケアマネさんから話だけでも」と面談をしてもらうことに。てきぱきと施設について説明し、質問や心配事にもていねいに答えてくれるケアマネさんに、父のかたくなな心もほぐれていった。

心配だった入居当日もケアマネさんのリードで難なく終了。最後にかけられた「よくがんばりましたね。でもこれで終わりじゃないから。無理せずがんばって」という言葉に、涙が止まらないトメ。こうして遠距離在宅介護は終わりをむかえた。

※この記事は「ゆうゆう」2026年1月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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