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満員電車でバランス崩し、他人の足踏んでしまった…相手がけがしたら「治療費」支払わなきゃダメ?弁護士が解説

  • 2025.12.15

通勤時間帯は電車が混雑し、つり革にうまくつかまることができないケースもあります。そのため、電車が揺れたときにバランスを崩し、周囲の人にぶつかってしまったり、足を踏んだりしてしまうことがあります。もし電車に乗っているときに周囲の人の足を踏んでけがをさせてしまった場合、治療費を支払う義務は発生するのでしょうか。弁護士の永島徹さんに聞きました。

「不法行為の責任が発生するか」がポイント

満員電車で近くの人の足を踏み、けがをさせてしまった場合、治療費を支払わないとダメ?(画像はイメージ)
満員電車で近くの人の足を踏み、けがをさせてしまった場合、治療費を支払わないとダメ?(画像はイメージ)

Q.満員電車に乗っている際、電車が揺れたはずみで近くにいる人の足を踏んでしまったとします。もし相手がけがをした場合、治療費を支払わなければならないのでしょうか。

永島さん「法律的には、交通事故などもこれに含まれるのですが、『不法行為の責任が発生するか』という点が重要ですね。不法行為責任は、故意または過失による加害行為により損害が発生した場合に発生する責任ですので、足を踏んでしまったことに対して過失が認められるかというところがまず争点になってくると思います。

例えば、満員電車に乗っている状況で、電車が突然急ブレーキをした場合というのは、バランスを崩しても仕方がない状況だと思います。このような場合は過失の認定というのは難しいと思いますね。

一方で、座席が空いているにもかかわらず立っている状態や、スマホの操作に夢中になっていてつり革につかまっていない状態などでけがをさせてしまった場合、過失として認定される可能性があります。このようなケースで相手にけがをさせてしまって過失が認められる場合は、治療費や慰謝料などの損害賠償を負うケースがあります」

Q.では、足を踏んでしまった人に対する治療費の支払い義務がない場合にもかかわらず、足を踏んだ相手から治療費を支払うよう求められ、応じてしまったとします。この場合、必ず支払わなければならないのでしょうか。

永島さん「不法行為には該当せず、法律上の支払い義務がない場合、法律上では治療費や慰謝料などの損害賠償を支払う必要性はないということになります。ただし、支払いの義務はないものの、被害者の方から強く迫られたため支払ってしまったという場合は、『不当利得』として返還請求ができる可能性はありますね。

一方、被害者から迫られたからつい支払ってしまったというよりも、『これ以上大ごとになってほしくない』『お金を支払うことで解決するのなら』という気持ちで支払ってしまうというケースも考えられますよね。この場合、その場で、和解契約を当事者間が納得した上で成立させることで、結果的に不法行為に基づく損害賠償という形ではなく、和解契約上の義務としてお金を支払ったとなるような法律構成もあると思います」

Q.もし満員電車に乗っている際に他人の足を踏んでしまった後、隙を見て電車から降りたとします。この場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。

永島さん「先ほど、法律上の支払い義務が発生するかどうかという点がポイントと話しました。過失が認められない状態で誰かの足を踏んでしまった後、その状態でそのまま電車を降りた場合は、法的義務は発生していないため、法律上は問題になる可能性は低いと思います。

一方で、過失が認められる状態であれば、先述の不法行為が成立しているため、損害賠償の支払い義務が発生することになりますね。その上で被害者を置き去りにしてしまったということになると、民事責任が問われることになると思います」

* * *

治療費の支払い義務は、過失として認められるかどうかが判断基準となることが分かりました。電車が比較的空いているときにつり革をつかまず、バランスを崩して近くの人の足を踏んでけがをさせてしまった場合、過失として認められる可能性があるということです。電車に乗る際は気を付けましょう。

オトナンサー編集部

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