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【手記】ジェフユナイテッド千葉J1復帰!元日本代表MF水野晃樹いわてグルージャ盛岡GM兼強化部長「戻るべき場所に戻ってきた」

  • 2025.12.13

ジェフユナイテッド千葉がJ1昇格プレーオフを制し、17季ぶりのJ1復帰を果たした。

クラブOBでもあり、元日本代表MFである水野晃樹いわてグルージャ盛岡GM兼強化部長がQolyに手記を寄せた。プロデビューを果たした古巣千葉のJ1復帰について心境を語った。

戻るべき場所へ

戻るべき場所に戻ってきた。ただ、その時間は長くかかってしまったと思います。歴代の選手、監督、コーチングスタッフ、チーム関係者の人たちの気持ちが絶対に大きく働いています。だからといって選手たちは過去にとらわれない。ジェフと言うとオシムさんの名前が出てきますけど、いまのジェフにはいまのジェフの選手、スタッフがいるわけであって、過去にとらわれないでJ1でまた新たなジェフを見出して、定着してほしいと思います。

昔から応援してくれているサポーターの方、J1にいたジェフを知らないサポーターの方と様々いると思いますけど、本当におめでとうございます。自分もプレーオフを観に行って、サポーターの力をまじまじと感じた部分が大きかったので、あれだけの声援を送られて頑張らない選手はいないと思う。今後も選手、クラブだけではなく、サポーターもファミリーの一員として共に戦ってもらって、時には叱咤激励もあっていいと思います。それがチームだと思うので、(サポーターの)皆さんと共に(クラブが)成長していくために、力を分けてあげてほしいと思っています。

ジェフは応援していたクラブの一つでもありますし、自分がプロ1年目からお世話になっていたチームということもあり、選べる番号は常に29番を選んでいました。千葉への感謝の気持ち、サッカーをリスペクトする上での行動だったので、自分がクラブから離れてからも常に応援しています。

画像: フクダ電子アリーナ(写真:縄手猟)
フクダ電子アリーナ(写真:縄手猟)

僕がいたときの選手がフロント内、コーチングスタッフにもなっているので、その方々とは常にコミュニケーションを取っています。

開幕のスタートダッシュが成功し、今年こそはというところでしたけど、シーズン中盤のところで勝ち切れない試合があって、勝ち星を落としてしまう試合もあり、もったいなかったですね。水戸、長崎が中盤戦以降勢い良く来ていたので、すごくエキサイティングなシーズンだったと思っています。

ただ、ジェフも小林慶行(よしゆき)さんが監督になってから3年目というところもあり、成熟してきている部分があります。プレーオフの1戦目は、ベテランの米倉が途中から出てより勢いをつけたと思います。決勝点を挙げた選手がデビュー戦の姫野(誠)選手というところで、ベテランを使いつつ、若手を育成して起用して、あの場面でその選択をすることは、大胆というか。慶行さんも、多分覚悟と気持ちがあっての戦術交代だと思うし、そこを含めて今年1年で成熟したチームになっていたんじゃないかと思いました。

選手たち個々の能力の高さや、今年の方が責任感を持っている選手が多いように見えました。強い気持ちに加え、慶行さんが3年目というところで、このサッカーが浸透してきていることが大きい。小森選手が(クラブから)出てどうなるかと言われた中でも、結果を出せる選手たちが出てきたことが大きいと思います。

ジェフは自分を作ってくれたクラブ

ジェフは愛すべきクラブですし、プロという洗礼も受けた中で、クラブとしての初タイトルであるナビスコカップを連覇できました。自分を作ってくれたクラブでもありますし、自分がいたときはJ1だったので、J1にいるべきクラブだと思っています。

2015年のときはジェフより年俸が高いチームからオファーもありましたけど、やはりジェフでJ1に昇格したいという気持ちが強かったので戻りました。その年で上がれなかったので、悔しい年にはなりましたね。今年だけじゃなくて、毎年ジェフには頑張って上がってほしいという気持ちが強かったので、常に応援しています。

米(倉)は1年だけ一緒にプレーしていましたね。米もそのときはJ1でプレーしていたので、やっと上がれたことで、多分本人だけではなく、ファン、サポーターの皆さんも、米に対する思いはとても大きいものがあると思う。まずはおめでとうというところで、 J1という舞台でもう一度輝かしいプレーを存分に見せてほしいと思っています。

坂本(將貴、現トップチームヘッドコーチ)さん、いつも坂ちゃんと呼んでいるので、坂ちゃんと呼ばせてもらいます。普段から坂ちゃんとは連絡を取っています。今年のはじめも「調子がいいね」という話をしましたし、 「ただ継続できるかどうかが問題」という話もよくしていました。

本人もコーチとして、指導者としてジェフでやっていく中で、なかなか昇格まで届かなかった時期が長かった。本当に苦労したうちの一人だと思うので、お疲れ様というところ。 坂ちゃん自身の野心、野望だとか、今後の展望というものもあると思います。それをジェフでしっかりと表現してほしいと思います。彼もオシムチルドレンの一人であるので、オシムさんに影響を受けた部分というものも大きいと思う。そういうものも自分の財産になっていると思う。その財産を生かしながら、ジェフをステップアップさせていってほしいと思っています。

画像: イビチャ・オシム前監督(C)Getty Images
イビチャ・オシム前監督(C)Getty Images

オシムさんもジェフのことは、オーストリアに戻ってからもずっと気にされていたので、(天国にいるオシムさんも)率直にうれしいと思いますよ。ただオシムさん的に言うと、J1に上がって終わりじゃないと。上がって次の目標をしっかりと見据えて戦っていく。 そのためのビジョン、クラブとしての新たな目標をしっかりと確立していかないといけないと思うので、それに向かって選手たちもそうだけど、クラブ運営の方もそこに相応しい成長を望んでいるんじゃないかなと思います。

そしてJ2が長かったことで、カテゴリーの差ではないですけど、サッカーの質の違いは必ずあると思います。ただ一番大事になってくることは、自分たちのサッカーのスタイルを貫く部分。相手に合わせてやるというより、自分たちのスタイルをより極めていくということがより重要になってくると思う。そのために一人、一人が個人の能力のところをもっと成長させていかなければいけないと思います。

そして(選手たちが)個々として、クラブ、チーム運営として、より大きく成長していくことを願っています。

(水野晃樹 いわてグルージャ盛岡GM兼強化部長)

水野晃樹(みずの・こうき)1985年9月6日生まれ、静岡県清水市(現静岡市清水区)出身。40歳。2004年に清水商高から当時J1ジェフユナイテッド千葉へ入団し、同年にプロデビューを飾った。2007年には日本代表に選出され、翌年はスコットランドの強豪セルティックへ加入した。その後は柏レイソルなどでプレーし、2015年に千葉へ復帰。2024年に当時J3いわてグルージャ盛岡で現役を引退した。日本代表通算4試合、J1通算157試合16得点、J2通算32試合1得点、J3 通算31試合。現在は盛岡でGM兼強化部長としてチームの運営に尽力している。

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