1. トップ
  2. お仕事
  3. 「誰がミスした?」課長からの犯人探しのLINE。だが、作業記録を遡ると原因は課長だと判明【短編小説】

「誰がミスした?」課長からの犯人探しのLINE。だが、作業記録を遡ると原因は課長だと判明【短編小説】

  • 2025.12.12
「誰がミスした?」課長からの犯人探しのLINE。だが、作業記録を遡ると原因は課長だと判明【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

犯人探しする課長

金曜日の午後16時。
週末を目前に控え、オフィス内はラストスパートをかける社員たちのタイピング音だけが響いていました。 その静寂を破ったのは、部署全員の社用スマホが一斉に震えたブブブ……という着信音でした。

デスクの上のスマホに目をやると、通知の主は斜め向かいの席に座っている課長です。
「共有フォルダの顧客リスト、並び替えがおかしくなってるぞ。誰が最後に触った? 誰がミスしたんだ?」

オフィスに緊張が走りました。
口頭で聞けばいいものを、あえてグループLINEで「犯人探し」をするのが、この課長の悪い癖です。
課長は自身のデスクで不機嫌そうに腕を組み、誰かが名乗り出るのを待っています。
「私じゃありません」「午前中しか触っていません」 同僚たちが次々と怯えた様子で返信を始めました。
このままでは、誰かがスケープゴートにされて、週末の予定が説教で潰れてしまいます。

「……また始まった」 私は心の中でため息をつきつつ、手元のパソコンで該当ファイルを開きました。
幸い、私たちが導入しているシステムには「いつ」「誰が」変更を加えたか分かる「操作ログ」という機能があります。
誰かを血眼になって探すより、履歴を見たほうが早いのです。

犯人は…

「えっと、リストが崩れたのは……」 履歴を確認すると、フォーマットがおかしくなったのはついさっき、15時45分のことでした。
そして、そこに記されていた編集者の名前を見た瞬間、私は思わず二度見してしまいました。

更新者:課長

間違いない、課長本人です。
おそらく自分の作業中に、手元が狂って並び替えボタンを押してしまったのでしょう。
私は思わず吹き出しそうになるのをこらえ、その証拠画面をスクリーンショットに撮りました。
そして、罪のなすりつけ合いになりかけているグループLINEに、画像を投下しました。

「課長、お疲れ様です。システムの履歴を確認しました。15時45分の操作で並び替えが行われたようですが、その時間の編集者は課長のアカウントになっています。誤操作かもしれないので、元に戻しておきますね」

送信ボタンを押した直後、オフィスに耐え難い沈黙が訪れました。
斜め向かいの席で、課長がスマホを覗き込み、動きを止めます。

数秒後。
「……あー、俺か。了解」 課長はボソッとそれだけ呟くと、バツが悪そうに視線をパソコン画面に戻しました。「ごめん」の一言はありません。

オフィスには、必死に笑いをこらえる同僚たちの咳払いが響きました。
その後、個別に「ナイス!」「助かった」という感謝のスタンプが私の元に殺到したのは言うまでもありません。

部下を疑ってスマホで犯人探しをする前に、まずは自分の操作を振り返ってほしいものですね。 ログは決して嘘をつきませんから。

******************

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

元記事で読む
の記事をもっとみる