1. トップ
  2. お仕事
  3. 「期待してるからね」と数時間はかかる資料作成を丸投げする先輩。だが、私の勇気ある発言で状況が一変

「期待してるからね」と数時間はかかる資料作成を丸投げする先輩。だが、私の勇気ある発言で状況が一変

  • 2026.3.6

降り積もる「お願い」の裏側

かつて勤めていた職場でのこと。

今でも思い出すのは、重く沈んだオフィスの空気と、デスクに積み上がる真っ白な資料の山だ。

当時の私は、いわゆる「新人」という立場に甘んじていた。

そこに付け入るように、一人の先輩がいつも甘い声をかけてくる。

「ねえ、ごめーん!これ、ちょっとだけお願いしてもいいかな?」

先輩が差し出してきたのは、明らかに数時間は要するボリュームの業務だった。

私のデスクには、すでに自分の担当業務が山積みになっている。

「あの、私の本来の業務がかなり立て込んでいまして……」

「大丈夫、大丈夫!あなたならすぐ終わるでしょ?期待してるからね」

断る隙も与えず、彼女はひらりと手を振って自分の席に戻っていく。

「新人なんだから、これも勉強のうち。いつか自分の力になるはず……」

そう自分に言い聞かせ、奥歯を噛み締めてキーボードを叩く毎日。

しかし、私の善意を裏切るように、先輩の「ちょっとお願い」は日に日にエスカレートしていった。

さらに私の心を削ったのは、その後の光景だ。

「課長、お疲れ様です!例の資料、仕上げておきました」

「お、早いね。いつも助かるよ、ありがとう」

「いえいえ、チームのためですから。これくらい当然です!」

課長のデスクで、先輩はさも自分が苦労して作り上げたかのような顔をして、満面の笑みを浮かべている。

私が睡眠時間を削って、細部までこだわって作った資料。その手柄はすべて、彼女の「功績」として上書きされていく。

利用されているのは分かっていた。けれど、職場の平穏を壊すのが怖くて、私はずっと「透明なゴーストライター」を演じ続けていた。

静寂を破った一歩

転機は、ある日の午後に訪れた。

その日も、先輩から丸投げされた急ぎの資料を仕上げ、彼女に手渡した直後のことだった。

資料に目を通していた課長が、ふと手を止め、顔を上げた。

「……この資料、誰が作ったんだ?」

その声には、いつもと違う鋭い響きがあった。

隣で余裕の表情を浮かべていた先輩の肩が、びくりと跳ねる。彼女は動揺を隠すように、引きつった作り笑いを浮かべた。

「あ、はい! それは、もちろん私が……」

言い淀む先輩の言葉が、私の耳を通り過ぎていく。その瞬間、胸の奥で何かが弾ける音がした。

気がつくと、私は自分でも驚くほどの速さで一歩前へ踏み出していた。

「失礼いたします。そちらの資料を作成したのは、私です」

その一言が、静まり返ったフロアに凛と響いた。

先輩は目を見開き、金魚のように口をパクパクさせて絶句している。課長は驚いた様子で、眼鏡の奥の瞳を私と先輩の間に往復させた。

しかし、課長の表情はすぐに和らぎ、柔らかな笑みがこぼれた。

「そうだったのか。今回の資料、データがすごく整理されていて、使い手のことを考えて作られていると感じたんだ。本当に助かった、ありがとう」

「……っ、ありがとうございます!」

こみ上げる熱いものを必死でこらえながら、私は深く頭を下げた。

ふと横を見ると、先ほどまでの余裕を失い、顔を真っ赤にして俯く先輩の姿があった。その後ろ姿は、以前よりもずっと小さく見えた。

あの日以来、先輩が理不尽な仕事を私に押し付けてくることは二度となかった。

自分を殺して波風を立てないことが「正解」だと思っていたけれど、それは間違いだったのだ。

勇気を持って上げた声は、奪われていた自信と、淀んでいた私の毎日を一瞬で塗り替えてくれた。

あの時の、胸の奥がすっと軽くなったような晴れやかな感覚は、今も私の中で大切な糧となっている。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる