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【宮田愛萌】「今の私にちょうどいい」と語る、2冊の愛読書を公開

  • 2025.12.9

InRed世代に読んでほしい本をご紹介!今回は、『おいしいはやさしい』(PHP研究所)を発売した、作家・タレントの宮田愛萌さん推薦の2冊です。

今の私にちょうどいい 静かに心を満たしてくれる本

大人になってやっと、私は派手な作品よりも繊細で淡々とした作品を好んで読むことに気がついた。淡々と、というか、こう、彩度の低い雰囲気の物語。おしゃれなインスタグラムのような雰囲気に近いかもしれない。 彩瀬まるさんの『神様のケーキを頰ばるまで』もそんな物語である。とある雑居ビルの中で生きている人々の生活を描いた短編集だ。人生の中にある小さな変化、けれどそれが自分の意思で変えたことならば、ゆっくりとでも人生はよい方向に変わっていくだろうと希望をくれる。明るさと静けさが両立するこの本は、幸せな午後も憂鬱な夜中も隣で寄り添ってくれるだろう。 江國香織さんの『抱擁、あるいはライスには塩を』は、よそから見たら「普通」ではない家族三世代の物語だ。江國香織さんの描く家族の物語は「普通」でないことの方が多いが、その中でも特に、この本の主人公たちは変わっている。それなのに、読んでいくといつの間にかこの「普通」じゃない、というところを当たり前のように受け入れているのだからすごいと思う。上下巻にわたる濃密な一家の歴史を辿れる物語は、読んだ人をここじゃないどこかへ連れて行ってくれる。 読書は一人でするものだから、その時に合った本を読みたいと思う。 文=宮田愛萌

紹介した本はこちら

『神様のケーキを頰ばるまで』

雑居ビルで繰り広げられるいくつもの人間模様。思うようにいかないことばかりだけれど、かすかな光を求めてまた立ち上がる。もがき、傷つき、それでも前を向く人々の切実な思いが胸を震わせる、五編の短編集。

『抱擁、あるいはライスには塩を 上』

神谷町の洋館に三世代で暮らす柳島家。子どもたちを学校にやらないという教育方針だが、四人の子どものうち二人が、父か母が違うなど、さまざまな事情を抱えていた。風変わりな一族の愛と秘密を描く傑作長編。

今回、おすすめ書籍を教えてくれたのは…

撮影/⼩石謙太

宮田愛萌さん(作家・タレント)

1998年生まれ、東京都出⾝。2023年アイドル卒業時にデビュー作『きらきらし』を上梓。現在は文筆家として⼩説、エッセイ、短歌などジャンルを問わず活躍。本に関連するTV、トークイベント、対談などにも出演。


『おいしいはやさしい』

どうしても料理をしたくない新婚のアラサー、過度なダイエットに励む姉を見守る受験生、東京に家出し、一人時間を満喫する主婦……。偏食なオーナーが開いた「カフェ・オヴィ」には食と人生に悩む人が訪れ、自分の心と向き合う。女性の内面を繊細に捉えた、温かな連作短編集。

※InRed2025年12月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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