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「名作になる」「とんだダークホース」視聴すべき大作の予感…“1月ドラマ”に絶賛の声が続出【ドラマストリーム】

  • 2026.1.26

TBS系ドラマストリーム『終のひと』は、命の終わりや葬儀といったセンシティブなテーマを扱いながらも、不思議なほどあたたかい余韻を残す作品だ。SNSには「愛を感じるドラマ」「この人のために観てる」「もっと知ってほしい」「名作になる、とんだダークホース」という声が並び、その中心にいるのが、柿澤勇人演じる破天荒な葬儀屋・嗣江宗助である。弔いとは何か、生きるとは何か。令和だからこそ刺さる、“別れの先”を描いた物語について考えたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

葬儀は、残された人のための時間

『終のひと』は、命の終わりを扱うドラマでありながら、決してそれだけを中心に描いているわけではない。むしろこの物語が真正面から見つめているのは、残された人がどうやって生きていくのか、その過程である。
葬儀を単なる別れの儀式としてではなく、人生を前に進めるための大切な時間として描く。その視点が、このドラマを特別なものにしている。

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(C)「終のひと」製作委員会

物語は、余命半年と宣告された破天荒な葬儀屋・嗣江宗助と、母の急逝をきっかけに葬儀の世界へ足を踏み入れる青年・梵孝太郎(西山潤)の出会いから始まる。銀髪にジャージ、ヘビースモーカーである嗣江は、一見とても葬儀ディレクターには見えない。しかし、亡くなった相手と向き合う姿勢だけは、誰よりも真摯だ。

言葉遣いは荒く、自身の意に反するような親族たちには、突き放すような態度も取る。しかしそれは、彼らの覚悟を試すため、そして現実を直視させるための厳しさであり、決して冷酷さではない。

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(C)「終のひと」製作委員会

第2話で描かれたDIY葬のエピソードは、その象徴だ。葬儀社を信用せず、マニュアル片手に自力で母の葬儀を行おうとする兄弟。その選択は一見、自立や節約のようにも映るが、現実は残酷だ。

亡くなった人の身体は思っている以上に早く変化し、適切な処置をしなければ、取り返しのつかない事態を招く。善意や“自分たちでやりたい”という思いが、家庭崩壊へと繋がっていく過程は、観る側に強烈な問いを投げかける。

死から目を逸らさない人物像

このドラマが誠実なのは、葬儀を美談にも、搾取の構造にも単純化しない点だ。
本編で言及されているように、コロナ禍以降、葬儀にお金をかける意味はないという感覚を抱く人は少なくない。しかし実際には、役所への届け出や搬送、火葬場の手配、宗教者や関係者との調整、仕出し料理の準備など、悲嘆の真っ只中にいる遺族が担うにはあまりにも過酷な作業が山積している。
葬儀社とは、その“どうしてもやらなければならないこと”を引き受ける存在なのだと、本作は淡々と、しかし確かに描いている。

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(C)「終のひと」製作委員会

そして、SNSで「この人のために観てる」と言われる理由は、やはり柿澤演じる嗣江宗助という人物造形にあるだろう。
自身の余命を自覚しているからこそ、彼は死そのものを遠ざけない。命を終えた人の人生をどう締めくくるかに、真正面から向き合う。その姿には、少々わかりにくいものの、職業倫理を超えた愛情が感じられる。

柿澤は、その矛盾だらけの人物を、過剰に感動的に演じることなく、むしろ軽やかに、ときにハードボイルドに体現してみせる。連続ドラマ初主演とは思えない存在感が、この人の演技を見続けたいと思わせる説得力に繋がっているのではないか。

命の終わりを、美化も否定もしない誠実さ

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(C)「終のひと」製作委員会

嗣江を支える存在として欠かせないのが、梵孝太郎と森文子(筒井真理子)だ。
母の死をきっかけに葬儀屋で働き始めた梵は、視聴者の目線にもっとも近い存在である。戸惑い、怖れ、ときに逃げたくなりながらも現場に立ち続ける姿が、葬儀という仕事の現実を伝えてくれる。嗣江との関係は師弟でも親子でもなく、どちらかというと兄弟のようだ。
そこに、長年支えてきた文子の静かな存在感が加わることで、嗣江葬儀店は疑似家族のような空間として立ち上がる。

『終のひと』では毎話、重たいテーマが扱われることが想像できる。しかし最後には、必ず小さな救いが用意されていることも、視聴者には伝わっている。逃れられない死を受け入れるしかない、そんな後ろ向きな強い言葉ではなく、それでも生きていける希望はあると示す、そっと背中を押すような優しさがある。

亡くなった人への愛、残された家族への愛、そして、見送るすべての人間たちへの愛。そのすべてが押しつけがましくなく、しかし確かに存在している。『終のひと』は、誰かを失った経験がある人にも、これからその現実と向き合う人にも、静かに寄り添う作品である。


TBS系 ドラマストリーム『終のひと』毎週火曜 深夜0時58分放送 ※一部地域を除く

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_