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「サッカーファンは仲間意識が強い」「うちわは長期間持ってもらえる」意外と知らない!?スポンサーから見たJリーグ事情

  • 2025.11.21

サッカーに限らず、あらゆるジャンルのスポーツチームに欠かせない “スポンサー”。

資金面からクラブを支える各企業は、サポーターと並んで「12番目のプレイヤー」の一員と言えるだろう。

とはいえ、多くのサポーターにとって、スポンサーという存在は少し縁遠いものだ。

そんなスポンサー活動の実態を明らかにするために、本記事では、ヴィッセル神戸のスポンサー(オフィシャルパートナー)を務める株式会社LIFULLに話を伺った。

画像: 株式会社LIFULL エントランスの様子(筆者撮影)
株式会社LIFULL エントランスの様子(筆者撮影)

数多くのプロスポーツ競技の中で敢えて“Jリーグ”をスポンサーとして選ぶ理由。そして一社会人としての『好きなチームとのかかわり方』の新たな形にも迫る。

株式会社LIFULLは住宅・不動産情報サービス『LIFULL HOME'S(以下、「ホームズ」)』の運営などを行う会社で、2007年から2013年までの6年間、J1ヴィッセル神戸の本拠地であるノエビアスタジアム神戸(当時はホームズスタジアム神戸)の命名権を有していたほか、2020年から同クラブのスポンサーに復帰している。

LIFULLのTさんも、現在所属している会社を旧ホームズスタジアムのネーミングライツ時代に知ったという。

――担当者の方もヴィッセル神戸サポーターなのですね。

「祖母の家が近く、(ノエビア)スタジアムができる前、(神戸市立)中央球技場のころから知っていて。それもあって、2002年からヴィッセル神戸サポーターをやっています」

――ホームズスタジアムのネーミングライツは2013年に終了しましたが、2020年からは8年振りにスポンサーとして復帰しました。その背景について教えてください。

「2020年に会社の企画の一つとして、プロモーションの一つとして、『どこかのチームのスポンサーをやるのはどうだろう』というのを自分のほうから立案しました。

私はヴィッセルサポーターですが、別に会社を使って好きなことをしているわけではないので、フラットな形で他のチームとも比較させていただきました。

その中でヴィッセルさんとネーミングライツをしていたときの関係性がX(旧Twitter)上でも結構見られました。ホームズの公式アカウントのフォロワーにも、一定数サポーターの方に残っていただいていて、サポーターの方々が弊社の(ヴィッセルとは)関係ないキャンペーンにも参加いただいていました。

スポンサーに復帰した2020年ごろは、当時スポーツ界は(コロナ禍で)結構厳しい状況にあったと思います。これからスポーツ、サッカー、Jリーグはどうなっていくんだろうと、皆さん不安に思っていらっしゃった段階だったかなと思う。そこでどこかのチームと一緒にやっていくなら、いままでの関係性とストーリーを生かして、ヴィッセルさんと一緒にやらせていただくのが一番いいのかなというのが思いました。

また、前年の天皇杯で優勝していて、ヴィッセルさんが上り調子だったこともありました。

――LIFULLさんはヴィッセル神戸のスポンサーの中でも、比較的神戸と縁遠い企業ですね。チーム選定の際に(本社を置く)東京など他地域の検討はされましたか。

「神戸のチームを応援するメリットとして先ほど話した過去のストーリー、弊社のサービスに対して好意的に思ってくださる方が神戸にたくさんいるというのが一番神戸を選ぶメリットです。

デメリットとしては、大阪・神戸で仕事をしている社員
は少ないことですね。大阪拠点の営業メンバーで、神戸の不動産会社様をクライアントとして担当しているメンバーが一部いるくらいです。大きく社内を巻き込んでいくとなると、こちら(東京)から行きやすい関東のチームを選んだ方が、メリットがあります」

――たくさんの種類のスポーツがある中で、特にサッカーを選ばれた理由は何でしょう。例えば、プロ野球はメディア露出も極めて多いですが、それら他競技と比較してJリーグを選んだ特別な理由はありましたか。

「これは明確な理由があります。

スポーツの中に“一緒に応援する”という立場として入っていき、それによってスポーツファンの仲間内に入れていただく。そのファンの中で、うちのサービスのことを好きになってもらい、家を探す・家を売却するという段階になったときに、競合他社よりもうちを選ぼうと思っていただくことが、スポンサーをした狙いです。

それを考慮したときに、ファンベースが強固にあるという点は大切だと考えています。その点でサッカーはすごく連帯が強い、仲間意識が強いという特性があると思います。

サッカーファンはチームに対する帰属意識やスポンサーを仲間と思ってくれるといったチームを支える意識がとても強いかなと思っています。そこに魅力を感じています」

――SNS上などを中心に、スポンサーとして様々な活動を行っていますね。その効果を教えてください。

「スポンサー施策をやっていく、特に社内の立場でやっていく中で『本当に効果があったのか』という点は、同じ仕事をされている方々にとって共通で思っている“困る・証明しづらいポイント”だと思います。

弊社としては、毎年サポーターの方々にアンケートをとらせていただいています。その中で、弊社に対して好意的な印象を持っていただいているか、住宅を探したり売ったりという場面になった際に弊社のサービスを使いたいと思うか、実際に直近の期間で使ったか、そういったアンケートの結果を毎年蓄積しています。ホームズが好きでホームズを使いたいと思っている、実際に使ったという声をいただいているので、ここで効果を測っているという感じですね」

――スポンサー施策を行うにあたってはどのようなことを意識していますか。

不動産を借りる・買う・売却する場面って人生でそんなにないですよね。なので、長期的に弊社のことを好意的に思ってくださって、本当に必要になった場面でうちのことを使ってもらうというのは必要かなと思っています。

例えば、これ(ぬいぐるみ)とかサポーターの方にお配りしていて、実際にこれを持って遠征に行ってくださる方もいます。ぬいぐるみをそんなに邪険に扱う人はいないと思います。手元に長く置いていただけるという観点を考えて、「一緒に行こう」とどこかへ行ったり、そういう使い方をしていただければと考えています。

画像: 神戸サポーター向けに配布しているうちわ、ぬいぐるみ。うちわの裏側にはヴィッセル神戸の選手たちの姿が(筆者撮影)
神戸サポーター向けに配布しているうちわ、ぬいぐるみ。うちわの裏側にはヴィッセル神戸の選手たちの姿が(筆者撮影)

これ(うちわ)もその観点です。

先日アウェイ岡山戦を見に先日岡山に行ったら、去年配ったこれを使っている方がいらっしゃったんですよ。普通にチラシを配って、そのチラシを1年後まで保管している人ってあまりいないと思います。こっち(表 ヴィッセル神戸の選手が写っている)の効果が大きいと思うんですけど、うちのこの部分も1年後、手元に置いてくださっているということです。そういった長いスパンで手元に置いてもらえるという点は、企画としてはわりと重要視しています。

――うちわが大量にあるのは心当たりがあります(笑)

「僕もそうなんですけど、スタジアムで貰ったものって捨てられなくて。ずっと昔のやつが残っています。

例えば、実家に帰ってうちわを見たら「あ、ボッティ(2007年~2011年まで神戸に在籍)がいる」とかそういうことがある。手元で大事にしてもらえるというのは、うちわのすごくいいところですよね」

――先ほど、Jリーグの良い点として「サポーターのコミュニティ性」を挙げられていましたが、スポンサー活動の中でそうした点を強く感じたことはありましたか。

「去年の秋にも須磨海岸で清掃活動をしていました。そのときに、サポーターの方がたくさん来てくださいました。

画像: 昨年秋の須磨海岸清掃活動の様子(株式会社LIFULL提供)
昨年秋の須磨海岸清掃活動の様子(株式会社LIFULL提供)

ちょうど天皇杯決勝の前だったんですよ。前の週とかだった。

そのときサポーターの方がおっしゃっていたことは『徳を積む』というか(笑)。善い行いをして応援しているチームの勝利に貢献しようみたいな思いは、(サポーターには)すごくあると思いますが、その意識で須磨海岸の清掃に来てくださった。

団体で来てくださっているわけではなく、ひとり、ひとりのサポーターがたくさん集まってくださっています。そこでサポーターとして神戸の海をきれいにして、今後につながればいいなという思いで皆さんが来てくださった。そういうところも良かったのかなと思います」

――Tさんはスポンサーとしてnote(ブログ)も書かれています。サポーターのコミュニティに個人としても一企業人としても関わっていくスタイルですね。

「そうですね。(私が)発信したいことは二つあります。

一つ目はサポーターの方に対して、弊社がこういう意図・熱意でスポンサーをやっているということを知ってもらい、応援の輪を広げたいという点。

チーム側でスポンサーの権利を売っている方、代理店の方やスポンサー企業内の担当者。いろんな立ち位置の方々に『うちはこういうことをしていて』というような、情報交換みたいなことも出来ればいいなと思っています。

もう一つはサッカー、スポーツに対して、『こういう関わり方もあるんだよ』というものを自分の仕事から示していければいいなと少し思っています。ぼんやりサッカーの仕事をしたい人は、学生さんにもいらっしゃると思います。そして、いわゆるチームに入って職員として働くという姿が一番イメージしやすいのではないでしょうか。

でも、全然そうじゃない。『一般企業の中でもサッカー、Jリーグ、スポーツに関わることってできるよね』と考えています。それを実際にやっていって、仲間が増えたらいいなと思っています。

取材・編集:久保村輝彦

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