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その揉み方では疲れはとれない…世界的トレーナーが断言「多くの人が知らない本当に揉むべき筋肉の部位」

  • 2025.11.13

身体を鍛えていれば、つらい肩こりや腰痛とは無縁でいられると考える人もいるかもしれない。だが、英国を拠点にして世界のトップアスリートと契約を結ぶ治療家トレーナーの木谷将志さんは、「肩こりや腰痛に悩む人は、筋肉の伸び縮みが自由にできていない。これはアスリートも一般の人の身体も同じ」だという――。

※本稿は、木谷 将志『世界が認めた神リカバリー』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

肘関節を握り、痛みの程度を確認している女性
※写真はイメージです
なぜバレリーナでさえ腰痛になるのか

多くの人が、腰痛を抱えている。

軽度な人から、深刻な人まで。

厚生労働省によると、腰痛の患者数は2800万人。日本人の8割以上が、生涯で一度は腰痛を経験するという。

読者の皆さんもご経験があるのではないだろうか。

「腰痛になったのは、運動不足で身体がガチガチになっているからに違いない。明日から、お風呂上りのストレッチを日課にしよう」

腰痛に見舞われた人の多くは、これまでの生活習慣をガラリと変えて、こんなツラい腰痛はもう卒業したいと改善策を試みる。

では、ストレッチすれば腰痛のような不調がすべて改善するのだろうか?

答えはノーだ。

私はたくさんのアスリートを診てきた。

だからこそ知っている。

最も身体が柔らかいと思われる「バレリーナたち」の多くでさえ、「腰痛」に悩まされていることを。

あるいは身近なところでも、ヨガやピラティスで先生と呼ばれる講師たちの多くが、腰痛に苦しんでいることを。

「筋肉の鎧」だけでも腰は守れない

もし十分に身体を動かしていて、身体がほぐれることで腰痛がなくなるのならば、バレリーナたちが腰痛になるはずはない。

一般人よりもはるかに身体が柔らかいヨガの先生たちにも、同じことは言える。

しかし現実には、彼ら彼女らの多くが腰痛を抱えている。

「それならば、筋トレで筋肉の鎧をつけて、腰を守ればいい」

そのような考え方もある。それで改善することは大いに有りうる。

だが一方で、筋肉の鎧をまとった「ボディビルダーたち」の多くも腰痛に悩まされているのは、なぜだろうか。

結局のところ、バレリーナは筋肉を「伸ばす」が得意で、ボディビルダーは「縮める」のが得意という“偏り”が関節をつまらせ、腰痛を招いている。

だから、読者の皆さんが身体の不調に悩んでいるならば、「どこの関節がつまっていそうか」、おおまかでよいので、まずは探し出すことから始めよう。

筋肉には3つのスイッチがある

それでは、関節がつまることなく、スムーズに動くためには、どうすればいいか。

それは関節まわりの「筋肉」にスイッチを入れることだ。

スイッチを入れる方法には3種類ある。

ひとつめは「伸ばす」。

これは主に、ストレッチで行われる。

ふたつめは「縮める」。

これは主に、エクササイズで行われる。

最後は、「ほぐす(緩める)」。

これは主に、指先を使って患部を押し込んだり、強めに圧力をかけたりして行われる。カチカチに硬くなっている筋肉に圧をかけて刺激を入れることで、筋線維をほぐして、緩めることができる。

本書で紹介するトリートメントの7割ほどが、この「ほぐす」タイプだ。

親指などで、グッグッグッとリズミカルに押したり、グーーーーーッと強めに押し込み続けながら手足を動かすことで、硬くなった筋肉を緩めてあげる。

重い荷物で腕がパンパンに。さあ、どう揉む?

たとえ話に少しお付き合いいただきたい。

スーパーマーケットで、たくさん買い物をした日を想像してほしい。

スーパーからの帰り道で、あなたは重い荷物を両手に抱えて、10分以上も歩いてきた。

あるいは、駄々をこねるお子さんを胸に抱っこしながら、

「重たい……腕がしびれる……」

と感じながら、なんとか買い物を終えて家に帰ってきた。

自宅に戻って買い物袋を床に置いた瞬間、腕がマックスまでパンパンに張って、疲れやしびれが……。

エコバッグに購入した食料品などを入れて持って歩いている男性
※写真はイメージです

なんとかしたいあなたは、とっさにパンパンに張っている腕をほぐしたいと思っている。

さて、そのとき、腕のどのあたりを揉んでほぐすだろうか?

知人のなかに“腕をブンブン振って血流をよくする”という回答者もいたが、できればここは「どこを揉むか」で考えてほしい。

おそらく多くの人は、疲れた腕の「真ん中あたり」、または「一番太くなっているあたり」を無意識に揉みほぐすのではないだろうか。

親指に力を込めて圧力をかける人がいたり、場所を変えながら左右から揉みほぐす人がいたり、揉み方についてはさまざまなパターンがあるはずだ。

しかし、「真ん中」や「太い部分」を揉むというこのアプローチは、じつは効率的な疲労回復にはならない。

本当に揉むべき場所は、筋肉の真ん中ではなく、筋肉の「端っこの部分」なのだ。

筋肉のなかでも「関節にかなり近い部分」と言えばわかっていただけるだろうか。

疲れを取るには筋肉の「起始」と「停止」を揉む

「筋肉」には、大きく分けると2つのエリアがある。

ひとつが「筋腹きんぷく」と呼ばれるエリアで、筋肉の真ん中あたりのこと。

もうひとつが「起始きし・停止ていし」と呼ばれるエリアで、関節に近い場所のこと。もっと言えば、筋肉が骨にくっついている部分だ。

私たち人間の身体には、約400もの筋肉がある。

そのうち主な骨格筋(骨に付着している筋肉)については、筋肉ごとに「起始」と「停止」の名称が付いている。

筋腹や起始・停止なんて聞いたことがない、という人がほとんどだと思うが心配は無用だ。医療や治療の関係者でも、相当マニアックな人間でない限り、普段から意識することはあまりない。

「起始」とは、筋肉の両端のうち、身体の中心に近いほうを指す。
「停止」とは、筋肉の両端のうち、身体の中心から遠く、手先足先に近いほうを指す。

そして最も大切なことだ。

痛覚の受容体は「起始・停止」に集中している。

痛覚というのは痛みのこと。

受容体というのは、刺激をキャッチするアンテナのようなものと思ってもらえばいい。

「痛覚が集中している」というのを言い換えれば、「ほとんどの痛みや疲れはココで感じている」とも言える。

経験上、筋肉の端っこにあたる「起始・停止」あたりには、少しさわっただけでビーンと電気が走るような痛点が密集している。この「痛み」はグッグッと揉んであげたり、圧をかけながら筋肉を何度か動かしたりすることで、少しずつ痛みが和らいでいく。

だから、身体のどこかに不調があるなら、まずはそこにある筋肉の「起始・停止」部分を揉みほぐすことが、最も効果的なアプローチとなる。

「数秒」の刺激で十分な効果が

疲労回復において重要な役割を果たすのは、この「起始・停止」だと断言できる。

ためしに、あなたの前腕(上腕二頭筋)をほぐしてみてほしい。

人によっては肩こりの軽減にも役立つはずだ。

まずは利き腕をグルグルと回してみて、「どれくらい動かしにくいか」覚えておこう。

図表1を見ながら、上腕二頭筋の「停止部」のあたりを確認する。

そして、力を入れやすい親指で、圧力をかけて押し込む。

少しだけ「痛みを感じる」程度に。

【図表】肩こり・腕の疲れ トリートメント
出典=『世界が認めた神リカバリー』(サンマーク出版)

そうして、そのまま刺激を入れている状態で、腕を曲げ伸ばししてみよう。「あててて……」と痛みや刺激を感じるようなら、きちんとトリートメントできているから安心して続けてほしい。

逆に、「別にそれほど刺激はない」と感じるならば、「停止部」にピンポイントで親指を押し込めていないかもしれない。

もう少し刺激を強く感じる場所を探してみよう。

木谷将志『世界が認めた神リカバリー』(サンマーク出版)
木谷将志『世界が認めた神リカバリー』(サンマーク出版)

ただし、腕の曲げ伸ばしが続けられないくらいに痛いようなら、指の圧力を少し弱めること。

本書でお伝えしていく私のトリートメントは、決して「やればやるほど良い」というわけではない。

むしろ「数秒」でも刺激を入れるだけで十分な場合もある。

また、痛い動作を続けすぎるとかえって筋肉が収縮して硬くなるので、数回やったら終えて、また次の日にやるくらいでいい。

大切なことは「どうほぐすか」以上に、「どこをほぐすか」がリカバリーの質を劇的に変える、ということだ。

木谷 将志(きたに・まさし)
国際治療家・My Natural Clinicディレクター
英国を拠点に欧州各国や米国に赴き、足も使う独自の施術でリカバリー治療に当たる。プレミアリーガーを筆頭に、世界中のサッカー代表選手とプライベート契約を結んでいる。そのほか、クライアントには欧州の代表チームのキャプテンや国民的人気選手も名を連ね、世界のトップアスリートから支持されている。日本では柔道整復師として、10年以上にわたりJリーガー、プロ野球選手、大相撲力士ら幅広いトップアスリートを施術。治療をきっかけに吉田麻也選手と出会ったことで後年、専属トレーナーに。2020東京オリンピックや2022カタールW杯などで、当時日本代表キャプテンの吉田選手を全面的にバックアップした。現在も多数の日本代表選手を陰で支えている。また、ヨーロッパ最大規模の日本人治療院「My Natural Clinic」を経営し、日本の治療技術の高さを発信しながら、日本人治療家が国際的に活躍できる環境づくりにも力を注いでいる。

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