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まさかの御年90歳! 現役医師が自ら実践する【ホルモン補充療法】「筋肉強化の望みは…」

  • 2026.1.27

まさかの御年90歳! 現役医師が自ら実践する【ホルモン補充療法】「筋肉強化の望みは…」

57歳のとき、更年期障害に苦しむ女性たちを救いたいと、ホルモン補充療法のクリニックを開業した村崎芙蓉子さん。87歳からは、骨と筋肉と気力を支える新たなホルモン治療を開始。自らも実践するリアルな健康長寿法を聞いた。

お話を伺ったのは
村崎芙蓉子さん(90歳)医師

むらさき・ふよこ●1935年東京生まれ。
循環器内科医。東京女子医科大学卒業。
92年に57歳で「女性成人病クリニック」開業。日本の女性ホルモン補充療法の先駆者で、男性ホルモン補充療法も提唱している。
「女性ホルモンで骨を支え、男性ホルモンで筋力と気力を補って日々の活力を維持しています」

更年期のつらさを救った女性ホルモン

90歳の今も東京・銀座の「女性成人病クリニック」で週3日診療をしている。院長の村崎芙蓉子さんがクリニックを開業したのは57歳のときだった。

「52歳の閉経後、冷えや不眠、動けないほどの疲労感といった重い更年期症状に苦しみました。当時は新宿三井ビルにある診療所の循環器内科の医師として超多忙な毎日でした」

そんな村崎さんが、文献を読んでいて偶然出合ったのが「ホルモン補充療法」だった。おそるおそる自分に試してみると、あんなに苦しかった症状が一晩で雲散霧消。その衝撃の体験を女性たちの医療に生かすべきではないかという熱い思いで更年期専門のクリニックを開業した。

以来、女性ホルモン(エストロゲン)を補充するHRT(ホルモン補充療法)で、何千人もの女性たちを救ってきた。

「60代までは、HRTの力を借りて絶好調でした。ところが、70歳目前で思いがけず、うつにおそわれたんです」

薬に頼らず、運動療法で改善しようと考えた村崎さんは、ウォーキングを開始した。

「私はかなりの活字中毒ですが、うつになったとき、大好きな樋口一葉を思い出したんです。彼女は頭痛・肩こりがひどかったんですが、これは月経前症候群じゃないかと医療的にも関心がありました。彼女の日記によると、日によっては本郷から吉原まで1万数千歩を歩いていた。私も一葉に倣って日記と同じコースを歩くことを始めました」

一葉のおかげで、向精神薬を使わずにうつから無事に脱することができ、さらに、そのときに蓄えた筋肉のおかげで、70歳から85歳までは活動的に生活することができた。

しかし90歳の今、筋肉の衰えを実感しているという。きっかけはコロナ禍だった。

「2019年の年末から20年の年始にかけて、家族とエジプト旅行をしました。そのときは、自分の足で遺跡を歩き回れるほど元気だったんです。ところが、帰国して間もなくコロナが流行し始め、4月には緊急事態宣言も出て、外出がしにくくなりました。さらに、その夏は猛暑で、夏休みも含めて10日間くらい引きこもりの生活が続きました」

村崎さんは家とクリニックの往復に電車を使っていた。

「夏休み明けに、いつものように通勤電車に乗ろうとしたとき、ホームと電車のすき間をまたぐのが怖く感じたんです。今まではひょいっと乗れたのに。歩かなかったせいで、いわゆるサルコペニアになり、筋肉量が減り、筋力が低下していたんですね。その後も、ステイホームが続き、筋肉の衰えは一層進みました」

筋力の低下は男性ホルモンで補う

使わないとどんどん衰えてしまう筋肉。もちろん、村崎さんも筋力アップを試みた。

「でも、鍛えようにも猛暑で体力は衰える一方。ウォーキングなどは高齢者には危険ですし」

それまでは通勤で歩いたり、駅の階段を上り下りもしていたが……。

「暑さが極端に苦手で、家から駅まで7~8分歩くだけで熱中症のような状態に。タクシー通勤が続くこともありました。歩数もどんどん減り、歩けるときは歩くけれど、歩けないときは無理しません」

今、筋肉強化のために望みをかけているのは、男性ホルモン(テストステロン)だ。

「男性ホルモンを治療に使うと言うと驚かれる方も多いですが、男性ホルモンは女性の卵巣などからも分泌されています。筋肉や骨の形成、気力のアップに深く関わっていて、このホルモンも年齢を重ねると減少してしまいます」

男性ホルモンをまずは自分で試してみた。すると確かに気力が湧いてきた。

「実はそのとき、クリニックが入っていたビルの建て替えが決まり、それを機に引退も考えていたのですが……」

男性ホルモンに背中を押されて、同じ銀座に新たに小さなクリニックをつくってしまった。87歳のときだった。

【後編に続く】

撮影/神ノ川智早
取材・文/依田邦代

※この記事は「ゆうゆう」2026年2月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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