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「注文していないのに届いた…」警察庁が“おもちゃ”に注意喚起…弁護士「知らなかったでは済まされない可能性」

  • 2025.11.22
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

クレーンゲームや通販サイトで「おもちゃ」を手にする機会は多いものです。銃をモチーフにした玩具は、コレクション目的としても人気を集めています。ところが今、そんな「おもちゃの銃」をめぐって、思わぬトラブルが発生しています。

警察庁は、海外製の玩具拳銃が、真正拳銃と同様の発射機能を有していることを確認したとして、回収と最寄り警察署への提出を呼びかけています。

さらに、銃刀法違反の疑いで書類送検された人物が「注文していないのに届いた」と述べているという報道もあり、SNS上では、「知らずに持っていたら逮捕されるの?」「届いたらどうすればいい?」と話題になりました。

はたして、こうした玩具銃を持っていたらどのような罪になるのでしょうか?身に覚えのない荷物が届いたらどう対処すべきなのでしょうか?気になる疑問について、弁護士に詳しく話を伺いました。

拳銃と同様の発射機能を持っている「おもちゃの拳銃」に注意

今回警察庁が注意喚起をしている海外製の玩具拳銃「REAL GIMMICK MINI REVOLVER(リアルギミックミニリボルバー)」は、プラスチック製で、パッケージには「対象年齢12歳以上」と記載されています。カラフルな子ども向けのおもちゃのような外見です。

しかし、弾を込める弾倉と銃身がつながっており、撃針が薬莢の雷管部を打って発射する仕組みになっています。真正拳銃と同様の発射機能を有していることが確認されていると警察庁は発表しています。

また、回収期間を2025年12月31日までと定めています。回収期限後に所持が確認されれば銃砲刀剣類所持等取締法に基づく処罰対象となる可能性があります。

「注文していないのに届いた」男性が書類送検

70代男性を銃刀法違反の疑いで11月19日に書類送検したという報道がありました。男性の説明によると、インターネット通販サイトで注文していないにもかかわらず、この玩具銃が送られてきたとのこと。送り先に連絡を取ろうとしたものの連絡がつかず、そのまま自宅で保管していたと述べているとのことです。

男性は、新聞で玩具銃の回収を呼びかける記事を読んで危険性を知り、自ら警察署に届け出ました。しかし、届け出たにもかかわらず書類送検に至ったことで、「知らずに持っていても罪になるのか」という不安の声がネット上で広がっています。

身に覚えのない荷物が届いたら?弁護士が詳しく解説

今回は、NTS総合弁護士法人札幌事務所の寺林智栄弁護士に詳しくお話を伺いました。

もし注文していない「玩具拳銃」が自宅に届いたらどうしたらいい?

---もし注文していないのに、このような玩具拳銃が自宅に届いたとしたら、まず受け取り側はどのような対応をすべきでしょうか?

寺林弁護士:

消費者契約法や特定商取引法では、注文していない商品を一方的に送り付けられた場合、まず、受け取り側に支払い義務はありません。以前は「14日間保管すれば処分可能」でしたが、2022年の法改正により、受け取った時点で自由に処分してよいことになりました。

玩具拳銃の見た目が本物に近い場合は「模造銃」として銃刀法に抵触する可能性があります。所持や持ち歩きが規制対象になるケースもあるため、安易に放置せず確認が必要です。

宅配便で届いた場合は「誤配送」か「悪質な送り付け」かを区別する必要があります。誤配送なら運送会社に連絡、悪質なら消費生活センターや警察に相談しましょう。

開封してしまったらどうなる…?

---その心当たりのない荷物を開封してしまった場合、所持扱いになる可能性はありますか?

寺林弁護士:

刑法や銃刀法における「所持」は、単に「持っている」だけでなく、支配・管理できる状態にあることを指します。開封=所持と直結するわけではありません。

開封したから「所持」になるのではなく、受け取って支配下に置いた時点で所持の可能性が生じます。

ただし開封によって「模造銃」と判明した場合は、法的評価が変わる可能性があります。本物に酷似している場合は「模造銃」として銃刀法の規制対象になることがあり、開封によって「危険性を認識したのに保持している」と評価されるリスクが高まります。

開封後に放置することは危険です。「知らなかった」では済まされない可能性があり、警察から「認識して所持していた」と見られるリスクもあります。

開封してしまった場合でも、送り状や開封状況を写真に残すようにしましょう。その上で、販売者・配送業者に連絡し、誤配送かどうか確認します。模造銃の可能性がある場合は警察へ相談しましょう。

「注文していない荷物が届いた」「開封したら玩具拳銃だった」と説明すれば、不当な所持とみなされるリスクを避けることが可能です。

「玩具」として売られていたものを買って所持していた場合は?

---コレクション目的で玩具の銃が欲しくて、玩具と表示されていたものを購入したが、実際に発射機能のあるものが届き、それと知らずに所持していた場合、どのような罪責が考えられますか?

寺林弁護士:

想定される罪責としては、銃刀法違反(不法所持)が挙げられます。

発射機能がある銃を所持していた場合、「銃の不法所持」に該当する可能性があります。罰則は重く、拘禁刑の対象となることもあります。

発射機能があると知らずに所持していた場合、故意がないため「刑事責任は限定的」になる可能性があります。

一方、発射機能があると知っていて保持していた場合は、明確に銃刀法違反となり、刑事責任が問われます。

購入時に「玩具」と表示されていた場合は、購入者に故意がないことを示す事情になります。しかし、発射機能があると判明した時点で保持し続ければ「認識して所持」したと評価されるリスクがあります。

「知らなかった」では済まされない、早めの相談がカギ

たとえ「おもちゃ」として売られていても、発射機能がある銃を所持していれば銃刀法違反に問われる可能性があるとのことです。そして重要なのは、「違法な銃だと知った時点で」どう行動するかという点。知らずに手元にあった場合でも、危険性を認識した後に放置すれば「認識して所持していた」と判断されかねません。

身に覚えのない荷物が届いた場合は、まず開封前に差出人や送り状を確認すること。開封してしまった場合でも、状況を写真に残し、速やかに警察や消費生活センターに相談することが大切です。

警察庁によると、「リアルギミックミニリボルバー」の回収期限は2025年12月31日まで。この期間中であれば経過措置として罰則の適用はありません。

お持ちの方は、速やかに回収期間までに最寄りの警察署まで届け出てください。

警察署一覧(警察庁)


参考:
玩具と称した真正拳銃について(警察庁)
新たに把握した玩具拳銃(警察庁)


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