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積乱雲に伴う突風は竜巻だけではない! ダウンバーストやガストフロントにも要注意

  • 2025.9.17

積乱雲に伴って発生する突風といえば「竜巻」をイメージする方が多いかもしれません。

しかし、実際には竜巻だけでなく「ダウンバースト」や「ガストフロント」と呼ばれる突風が発生することもあります。なかには竜巻と同等の強風により、大きな被害をもたらしたケースもあります。

特に、ダウンバーストは竜巻と異なり目に見えにくい現象であるため、回避しづらい点に注意が必要です。今回は積乱雲に伴って発生するダウンバーストやガストフロントについて紹介します。

ダウンバースト・ガストフロントの事例

ダウンバーストやガストフロントによって、過去に死傷者や建物被害が出たケースもあります。まずは、ダウンバースト・ガストフロントの被害事例を紹介します。

【ダウンバースト】

【ガストフロント】

積乱雲に伴って起こる突風の種類

積乱雲に伴って発生する、竜巻・ダウンバースト・ガストフロントについて、それぞれの特徴を解説します。

竜巻

竜巻は、発達した積乱雲に伴う上昇流によって生じる強い渦巻きです。

<竜巻の特徴>

・ 砂ぼこりを伴った漏斗状または柱状の雲、水上では水柱が発生

・ 細長く、帯状や楕円形などの形で現れる

・ 被害域は幅数十m~数百m、長さ数km~数十km程度

竜巻は渦巻きが大きな特徴で、発生すると視覚的な兆候が現れるため、事前把握がしやすい現象です。

ダウンバースト

ダウンバーストは、積乱雲から吹き降ろす下降気流が地表に衝突し、水平に吹き出す空気の流れです。

<ダウンバーストの特徴>

・ 円形または楕円形など面的に広がる

・ 竜巻と違って漏斗雲や水柱の発生はなく事前把握が難しい

・ 被害の範囲は数百mから十km程度

竜巻のように地面から風が吹き上がるのではなく、空から降りてきた空気が地面にぶつかって起こるため漏斗雲や水柱などの発生はなく、目視や事前把握が難しい現象です。

ガストフロント

ガストフロントは、積乱雲から吹き出した冷たく重たい空気が、周囲の暖かい空気とぶつかった際に発生する突風です。冷たい空気と暖かい空気の温度差によって生じます。

ダウンバーストも積乱雲から吹き出す冷たく重たい空気であるため、ダウンバーストの先端部がガストフロントになる場合もあります。水平方向の広がりは竜巻やダウンバーストよりも大きく、数十km以上に達するケースも。

なお、ガストフロントが起きている場所では、「アーチ雲」と呼ばれるアーチ状の雲が発生することがあります。

アーチ雲周辺では突風が吹きやすいため、十分に注意が必要です。

ダウンバーストやガストフロントの災害リスク

ダウンバーストやガストフロントは、竜巻と同程度の突風災害を起こすことがあります。実際に、風速50m/sを超えるようなガストフロントやダウンバーストが過去に発生しています。

風速50m/sは、普通自動車が横転し、コンクリートブロック塀が破損するほどの風の強さです。

また、竜巻と異なり視覚的にわかりにくく、一瞬で突風が起こることもあるため、無防備な状態のまま突風に巻き込まれる危険性があります。

ダウンバーストやガストフロントに関連する気象情報

ダウンバーストやガストフロントに特化した気象情報はありませんが、積乱雲に伴って発生した突風に関連する気象情報として「雷注意報」や「雷注意情報」、「竜巻注意情報」が挙げられます。

雷注意報や雷注意情報、竜巻注意情報は、雷や竜巻のほか、ダウンバーストやガストフロントへの注意喚起も含まれているため、これらの情報が発表された際には十分に注意が必要です。

なお、風に関する注意報・警報としては「強風注意報」「暴風警報」「風雪注意報」「暴風雪警報」もあります。

これらは台風や低気圧、西高東低の冬型の気圧配置などによって、広範囲で強風や暴風が吹く状況を対象としています。そのため、ダウンバーストやガストフロントへの注意喚起や警戒は含まれていません。

積乱雲に伴う突風に備えるために

ダウンバーストやガストフロントも、竜巻と同様に積乱雲に伴って発生する現象という点では共通しています。

そのため、「近くで雷鳴が聞こえる」「黒い雲が見える」「空が急に暗くなる」といった場合は、早めに頑丈な建物に避難することが大切です。

また、雷注意報や竜巻注意情報が発表されている際には、雨雲レーダーをこまめにチェックしましょう。豪雨をもたらす雨雲が接近する際に、ダウンバーストやガストフロントが発生する可能性が高まるためです。

豪雨をもたらす雨雲が近くにないか確認し、接近している場合は早めに避難しましょう。

〈執筆者プロフィル〉

田頭 孝志

防災アドバイザー/気象予報士

田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

 

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