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温暖化で感染拡大?致命率10~30%のマダニによる感染症SFTSが増加中

  • 2025.8.21

感染例が増加。北海道でも初確認

マダニにかまれることで感染する「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)の患者が2025年8月、北海道で初めて確認されました。感染した場合の致命率が10~30%に上る怖い病気ですが、これまでは西日本を中心に感染者が報告されていました。北海道で見つかったことで、全国どこでも警戒した方が良さそうです。症状や治療法、感染防止策についてまとめました。

どんな症状?

「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)は、SFTSウイルスというマダニが媒介するウイルスが引き起こす感染症です。主な初期症状は、発熱や全身の倦怠(けんたい)感、食欲低下、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛などで、意識障害や皮下出血、消化管出血などが起きることもあります。
2011年に初めて中国で報告され、日本では2013年に見つかりました。2020年までは毎年、60~100人の感染が報告されていたのですが、2021年以降毎年100人を超えるようになり、2025年は過去最高のペースで増え続けているということです。

感染地域が拡大

地球温暖化が原因?

命にかかわるダニによる感染症が全国に広がる、と聞くと恐ろしく感じてしまいますが、感染を媒介するマダニは、一般的に家で生息するダニとは種類が違います。植物の害虫であるハダニとも違う種類です。マダニ類は、主に草むらや森林で動物の血を吸って生息しており、種類にもよりますが、成虫で3~8mm、血を吸った状態では1~2cmにもなる比較的大型のダニです。
人間や犬、猫に感染すると重症化することがあるのですが、野生動物では感染しても症状が強くないことが多く、野生動物を通じてマダニが生息する地域も広がります。北海道での感染例は渡り鳥が運んだものではないか、とされていますが、動物由来の感染症を研究する国立健康危機管理研究機構獣医科学部の前田健部長は「温暖化でイノシシなどの野生生物の生息域が北上している。感染地域の広がりは、温暖化との関係があるだろうと考えています」と話しています。

対策は?

では、どう対策をしたら良いのでしょうか? マダニが多く生息するのは、シカやイノシシ、野ウサギなどの野生動物がいる場所です。民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道などにも生息しています。

こうした場所に入る時は、長袖・長ズボン、帽子、手袋を着用し、サンダルではなく、足を完全に覆う靴を履きます。首にかみつかれることも多いので、タオルを首に巻きます。シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れましょう。登山用スパッツを着用することも効果的です。連日の猛暑で大変ではありますが、マダニ対策をする場合は、肌の露出を少なくすることが大事です。

マダニは比較的大型なので目で見てわかることがあります。なるべく明るい色の服を着て出かけると目で見てマダニの有無を確認しやすくなります。
マダニに対する虫除け剤もあります。使うとマダニがつく数は減りますが、完全に防御することはできません。あくまで補助的な対策として使うのが良いでしょう。

帰ったら家に入る前に服をチェックし、マダニがついていたらガムテープなどで取ります。シャワーか入浴で体を洗い流し、マダニがついていないかチェックします。できもののように見えることもあるので注意して下さい。吸血中のマダニを無理に取り除こうとすると、マダニの口器が皮膚の中に残り、化膿することがあるので、皮膚科などを受診して取ってもらいます。
前田部長によると、SFTSウイルスをもっているマダニは感染が多い地域でも1%程度。マダニに刺されたから即感染というわけではありませんので、慌てないで下さい。
ただ、マダニに刺されたら数週間は体調の変化に注意し、発熱などの症状があればすぐに医療機関を受診しましょう。

SFTS の治療は、点滴などで全身の状態を改善したり、炎症を抑える薬を使ったりするなどして症状を抑える治療が中心です。ウイルスそのものに作用する薬としては、2024年、新型インフルエンザの治療用に開発された抗ウイルス薬「アビガン」に一定の効果があるとして、保険適用になっています。

ペットの感染にも注意

SFTSウイルスは犬や猫にも感染します。犬や猫は人間よりも重症化しやすく、また、犬や猫から人間に感染することもあるので注意が必要です。ペット用のダニ駆除剤がありますので、獣医師に相談してください。散歩した後はペットの体表をチェックして下さい。目の細かい櫛でブラッシングすることも効果的です。マダニが食い込んでいる時は、無理に取らず、獣医師に取ってもらうのがよいでしょう。過去には野良猫にかまれて感染した例もあります。過度に神経質になる必要はありませんが、動物と接する時は注意が必要です。

マダニは通常4月から10月までの春から秋にかけて活動が盛んです。レジャーやキャンプ、農作業などでマダニが生息しそうな場所に入るときは、秋になっても引き続き適切な対策をとって行動してください。

<防災ニッポン編集部>

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