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【モバイルバッテリー選び】急増中の“リチウム電池発火事故”のリスクを回避したい!今注目の「リン酸鉄リチウムイオン」って何?どれくらい安全?

  • 2025.9.4

夏場に日本は一般的なリチウム電池の使用限界を超えている?日常に潜むリチウムイオンバッテリーの危険性

エレコムのリン酸鉄モバイルバッテリー「DE-C39-12000」シリーズ
エレコムのリン酸鉄モバイルバッテリー「DE-C39-12000」シリーズ

リチウムイオンバッテリー、なんにでも入っていますよね。スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、イヤホン、マウス、モバイルバッテリー。毎日持ち歩いているものだけで、いくつあるかわかりません。

ですが、これらに使われている一般的なリチウム(コバルト酸リチウム)イオンバッテリーの使用温度範囲がほとんどの場合、0~40度であることを知っていますか?真夏の日本はいまや気温が40度を超えることもありますが……。

そして、一般的なリチウムイオンバッテリーは45度を超えたあたりから、可燃性の電解液の揮発が始まるともいわれており、ここに急速放電や急速充電が加わると、各種化学反応で発熱、落下などでセパレーターが破損、ショートが起きて発火・爆発するといいます。

例えばですが、ある夏の日、車のなかでモバイルバッテリーを使ってスマートフォンを急速充電します。寄り道した際に、この2つをダッシュボードに置いて駐車。車を締め切って、ちょっと放置すれば、後はセパレーターが破損する落下などのトリガーがあれば、いつ燃えても仕方ないといえます。

実はあまりにも日常に溶け込みすぎて、危険性を認識していないリチウムイオンバッテリーですが、理屈的には日本の夏場はかなり簡単に燃えるはずです。普及率を考えると、事故率は低いといってもいいのでは?それでも東京消防庁の「リチウムイオン電池関連火災状況(最近10年間)」によると、ここ10年で10倍近く(19件から167件)、リチウムイオンバッテリーが原因の火災が増えているといいます。

燃えない・燃えづらいバッテリーという選択肢

コストパフォーマンスを無視してよければ準固体電池といった選択肢もあります。
コストパフォーマンスを無視してよければ準固体電池といった選択肢もあります。

そこで、燃えない、燃えづらいモバイルバッテリーを探してみたところ、現状での候補は3つ。ナトリウムイオンバッテリー、準固体バッテリー、そして、今回試したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーです。

ナトリウムイオンバッテリーと準固体バッテリーではなくリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを試した理由は、リン酸鉄リチウムイオンバッテリー以外は、世界初などここ1~2年程度でモバイルバッテリーとして市販化されており、実績という点でリン酸鉄リチウムイオンモバイルバッテリーが抜きんでていたためです。

なぜリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは安全性が高いのか?

リン酸鉄リチウムイオンモバイルバッテリーは、同じリチウムイオンバッテリーなのに、なぜ燃えづらく、安全性が高いのか?不思議ですよね。理由は正極にリン酸鉄リチウムを採用しているからです。これでは意味がわかりませんよね。

一般的なリチウムイオンバッテリーは正極にコバルト酸リチウムを採用しています。このコバルト酸リチウムを使うメリットはたくさんあるのですが、先ほどの発火・爆発の過程で高温になると分解し、可燃性の電解液に酸素を供給するのです。結果、揮発した可燃性の電解液+酸素で発火・爆発が起きます。

これに対し、リン酸鉄リチウムを正極に使用すると、安定した分子構造のため、高温でも分解しにくいうえに、分解しても酸素をほとんど放出しません。結果、急激に燃えたり、爆発したりするリスクが低いのです。

このため、テスラを抜いて、世界一のEV、PHEVの販売台数を誇るBYDは、多くのモデルに、このリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用しています。そして、このリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用したモバイルバッテリーとして、筆者はエレコムのリン酸鉄モバイルバッテリー「DE-C39-12000」シリーズを使ってみました。

エレコムのリン酸鉄モバイルバッテリー「DE-C39-12000」を試す

エレコム「DE-C39-12000」。容量の割に少し大きく感じますが、発火しづらいメリットは大きい。
エレコム「DE-C39-12000」。容量の割に少し大きく感じますが、発火しづらいメリットは大きい。

リン酸鉄モバイルバッテリー「DE-C39-12000」シリーズは、容量が12,000mAh。大きさは約78×17×159mm、重さは約310g。USB Power Delivery(PD)20Wに対応し、USB Type-CとUSB Type-Aのコネクタを1つずつ計2つ装備しています。

本体の充電時間は約3時間。エレコムの接続機器を自動で見分けて最適な出力で充電する「おまかせ充電」やモバイルバッテリー本体を充電ケーブルに接続したままでスマートフォンとモバイルバッテリーを充電できる「まとめて充電」、低電流モード、強制出力モードなどにも対応しています。「まとめて充電」はズボラな筆者にはとてもうれしい。

実際に使っていてもリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使っていることを意識するシーンはありません。いくつもモバイルバッテリーを使っている人なら12,000mAhの割りには大きいことに気付く程度でしょうか。これで安全性が高いなら言うことなしといえます。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのメリット・デメリット

リン酸鉄モバイルバッテリー「DE-C39-12000」シリーズは安全性も高く、コバルト酸リチウムイオンバッテリーに比べてメリットだらけというわけでもありません。厳密に言うならエネルギー密度が低いので、同じ容量だと1.5倍とまではいきませんが、ちょっと大きい。

さらにコスト的にも実勢価格で4500円前後なので、従来のリチウムイオンモバイルバッテリーに比べて割高です。ですが、充放電サイクルが約1000回と従来品に比べて2倍なので、実質のコストパフォーマンスは悪くないといえます。

現状、一般的なリチウムイオンバッテリーの使用温度範囲は0?40度。実は理論的には高温に強いリン酸鉄モバイルバッテリー「DE-C39-12000」シリーズもテストを行っていないため使用温度範囲は0~40度。そのため気にしても仕方ないのですが、高温に強く安全性の高いリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが低温での性能低下が弱点であることは頭に入れておくとよいでしょう。ただし、程度の差はあれ、すべてのリチウムイオン電池において低温下での性能低下は発生します。

まとめ:安全性を重視するならリン酸鉄がおすすめ

大きさをすごく気にする人以外は、これで十分で、しかも安心。
大きさをすごく気にする人以外は、これで十分で、しかも安心。

0度を下回るような寒冷地で使うことがなければ、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用した「DE-C39-12000」シリーズなどは、安全性の実績でも、コストパフォーマンスでも現在もっとも安心しておすすめできるモバイルバッテリーといえます。

温度管理の概念のない子どももモバイルバッテリーを使うわが家では安心感もひとしお。子どもに使わせるモバイルバッテリーとしても秀逸といえます。そういった意味でも、リチウムイオンバッテリーの発火・爆発などのニュースを見て、その安全性が気になる方は発火リスクの低いモバイルバッテリーの選択肢として、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを知っておくといいでしょう。

(千秋)

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