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『介護が始まっても慌てない人』はやっていた…“先回りのお金の準備”とは?【お金のプロが解説】

  • 2025.10.8
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

親や家族の介護が必要になったとき、多くの人が「どうしよう…」と不安に襲われます。とくにお金のことは、何から手を付ければいいのか分からず慌てがち。ですが、介護が始まる前から「お金の準備」を進めている人たちは、実際の負担が大きくなっても落ち着いて対処できています。

この記事では、介護に備え「先回りのお金の準備」とは具体的に何か、そしてなぜそれが重要なのかをお金のプロの視点でわかりやすく解説します。

お金の準備は“待ったなし”の介護リスクに備える第一歩

介護が必要になったとき、まず頭をよぎるのは「費用」の問題です。介護サービス利用者の年間平均自己負担額は数十万円から数百万円を超えることも少なくありません。さらに介護期間は長期化しやすく、医療介護を含めたトータルコストは家計に大きな負担をかけます。そんな中「介護が始まってから準備しよう」と考えても、時間的な余裕がなく、慌てて借入や生活費の切り詰めに追われるケースも多いのです。

また、介護の開始は、家族の働き方や収入にも影響します。介護が必要な家族を支えるとなると、仕事量を減らさざるを得なかったり、転職や休職を余儀なくされたりすることも。介護が始まる前に「資金繰りだけでなく、働き方も含めた総合的な備え」が大切なのです。

具体的には、公的介護保険の自己負担額やサービスの種類、利用料の相場把握、生活費の見直し、さらには将来の医療費や介護費用を想定した貯蓄や資産管理が挙げられます。加えて、介護の進行によって収入が減る場合に備えて、生命保険や医療保険の見直しも検討すると良いでしょう。

知っておきたい準備方法と制度

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

介護の費用問題に備えるためには、知っておきたい具体的な準備方法がいくつかあります。まず多くの専門家が推奨するのが「公的制度の理解と活用」です。介護保険サービスは原則として40歳以上の人が加入対象で、保険料を支払うことで介護サービスの自己負担が軽減されます。介護の種類やレベルによって利用できるサービスや補助金も異なるため、自治体の福祉窓口で早めに相談することがポイントです。

次に、家計の現状把握と見直しも欠かせません。毎月の収支を明確にし、無駄な支出を減らすことで、貯蓄に回せるお金を増やせます。さらに「介護費用の予備費」を別に積み立てることも有効です。生活費とは別に積み立てることで、急な支出にも慌てず対応できるようになります。

また、住宅ローンの残債や債務の状況もチェックしましょう。介護が始まると収入が減る可能性があるため、返済計画の見直しや借り換えの検討を早期に行えば、負担の軽減につながります。

最後に、金融商品の活用や資産運用も選択肢の1つ。低リスクの商品を中心に無理のない範囲で積み立てたり、必要に応じて生活資金の一部を流動性の高い資産に変えることで、急な支出にも対応しやすくなります。

介護に備えてお金の準備を進めるうえで最も重要なのは「早めに始めること」と「家族全員で情報を共有すること」です。介護は突然始まることもありますが、健康状態や家族の状況を日頃からよく話し合っておくことで、必要なタイミングを見極めやすくなります。

また、先回りしたお金の準備は「貯める」だけでなく、「使い方を考える」ことも含まれます。例えば、介護が始まったらどういうサービスをどこまで利用するのか、どのような優先順位でお金を使うのかを検討してシミュレーションしておくと、実際に必要な費用が明確になりやすいでしょう。

いざというときに慌てない!今すぐ始めたいお金の準備まとめ

いざとういときに慌てないためには、早めの準備こそが安心のカギです。公的介護保険の内容を理解し、自治体のサービスを上手に活用すること、家計の見直しと貯蓄計画を立てることが第一歩。さらに、将来の収入減に備えた家計の再構築や、専門家への早期相談も忘れずにしておきましょう。

これらの「先回りのお金の準備」をしておくことで、介護が始まっても動じず、最適な選択ができるでしょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。