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スマホ利用「2時間まで」は誤解?愛知県豊明市の10月施行“新条例”に賛否「助かる」「意味がないと思う」

  • 2025.9.30
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出典:photoAC(写真はイメージです)

子どもから大人までほとんどの人にとって、日々の生活になくてはならない存在となったスマートフォン。家でも外でも、少しの時間ができればスマホ片手に過ごすことも多いのではないでしょうか。

そんな中、全国から大きな注目を集めていた愛知県豊明市のスマホに関する条例案が2025年9月22日に可決され、10月から施行されることが決まり大きな話題となっています。

豊明市が発表したスマホ条例について、世の中の人はどのように考えているのでしょうか?SNSの声を中心に紹介します。

豊明市が制定したスマホに関する条例とは

今回、豊明市が制定した「豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」は、深夜までスマホなどの機器を使用することによる生活習慣の乱れや睡眠不足、特に子どもについては教育や心身の成長への悪影響を防ぐため、余暇時間のスマホ使用時間を2時間を目安に抑えてほしいなどとしたもので、対象は全市民です。

市民の適切な睡眠時間の確保や、子どもがスマホやインターネットと健全に付き合えるようにすることを目的としており、家庭内で利用時間や使用方法を話し合い、適切に管理するよう促すものです。罰則はなく、家庭や学校、地域が協力して子どもの健全な成長を支えるための指針として作られました。

SNSで広まった誤解と豊明市からの説明

豊明市が条例案を発表すると、SNSを中心に「スマホを2時間に制限されてしまうのはおかしい」「市に監視されるのでは」などの誤解や間違った情報により、不安の声が多く広まりました。そこで市は改めて公式HPのQ&Aを通じて条例案について誤解を解く対応をとっています。

最大の目的が市民の適切な睡眠時間の確保であることをはじめ、2時間という設定に関しても余暇時間での使用はあくまで目安であり、制限をかけるものではないことや罰則もないことなどを説明。市民の監視目的ではないこともしっかりと市長が説明しています。

賛成の声

制定された条例について肯定的に捉えている人も多いようです。

  • 努力目標ととらえれば別にいいと思う。
  • ついスマホを見てしまって時間が溶けていくから、むしろ条例があった方が助かるかも。
  • 使い過ぎに注意したいと思うきっかけにはなるのでは。
  • 少し意識するだけでもスマホ依存を防げるかもしれない。
  • 必要な場合は使えばいいと言っているわけで、スマホ依存を防止しようとする声かけだからいいのでは。

スマホをはじめとした機器の使い過ぎを防止しようと意識するようになるのでは、と期待する声も少なくないようです。

  • 子どもにいくら言ってもスマホに夢中だから「条例」と言えば制限しやすくて助かる。
  • 今の子どもたちのスマホ使用時間を見れば、ムダに長いことは確かだと思う。

子どものスマホ使用時間のコントロールに苦慮している親世代も多く、「条例がある」ということで説得力が増すのでは、との意見も。

  • この条例の本当の狙いは、各家庭や個人で考えてもらうことなんでしょうね。

条例が制定されることで、家庭内で改めてルールについて話し合ったり、自分自身の生活を振り返るきっかけになるのでは、という意見もありました。

反対の声

一方で、条例について納得できないという厳しい声も多く挙がっています。

  • 税金を使ってまで導入しないといけない条例だろうか。
  • 法的拘束力がない条例なら意味がないと思う。
  • 罰則がない条例なのに守る人がどれくらいいるのか。

条例は施行されるものの、罰則や規制があるわけではないことから、そもそも条例とする必要性に疑問を感じる人も多いようです。

  • もっと議論すべきことがあるのでは?
  • 歩きスマホやながらスマホを先に規制してほしい。
  • スマホなしで過ごせるような、子どもが自由に遊べる屋外の公園や施設を増やす議論を先にしてほしい。

市議会という貴重な時間を使って話し合われていることから、もっと優先して検討すべきことがあるのでは、という声も。

  • 親が躾するべき。
  • 個人の問題であって行政が関与すべきことではない。

スマホなどの機器の使用時間は個人によって環境も事情も異なることから、そもそも行政が関与すべきではないという意見もありました。また、子どもについては親が管理することであると考える人も少なくないようです。

香川県ではすでにネット・ゲームやスマホの使用に関する条例が

豊明市の条例については、令和2年に施行された「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」も引き合いに出されることも多いです。

香川県では、子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲームやスマホの使用時間を制限して予防するよう、保護者に対して努力義務を課した条例が定められています。

制定前に香川県議会が実施した意見公募では、県民個人から2615件の意見が出され、そのうち賛成は2269件、反対は334件、提言等が12件でした。また団体からは2件の意見のうち、賛成1・反対1という結果に。しかし一方で、事業者からは71件の意見のうち賛成は0件、反対は67件、提言等が4件という結果になりました。

当時の意見公募には、「県内で実生活に支障が出るほどのゲーム依存を患っている子どもの具体的な人数を把握していないのではないか」「ゲーム依存症についての原因や予防法が特定されてから、国と歩調を合わせて対策すべきでは」「ひきこもりや睡眠障害、視力障害などの問題まで引き起こすことなどについて十分な科学的根拠がない」などの意見が寄せられていました。

未だ残る課題点

そして、条例の施行から4年後に行われた県議会では、名称についての議論がされたことも報じられています。

「ゲームが好きで長くやりすぎてしまう子どもへの教育的な指導」と、「医療機関につなげる必要があるほどゲームに対する依存度が高い子どもへの支援」が条例ではしっかり分けられていない、との言及もありました。

「ゲーム依存」や「スマホ依存」に対する条例の制定には、十分な調査研究や原因の特定、科学的な根拠などがまだまだ不十分だという課題点があると言えそうです。

より良い付き合い方をするために

今回は、豊明市が制定したスマホに関する条例について、世の中の人がどのように考えているのかを紹介しました。

個人の嗜好や余暇時間の過ごし方に行政がどこまで関与するべきなのか、そもそも条例にしなければならないことなのか、という点に賛否の声が多く挙がっているようです。特に罰則や監視があるわけではないため、あくまで個々の考え次第ではあるものの、だからこそ条例としての効果があるのか疑問視する声も。

香川県の条例からも、「ゲーム依存」や「スマホ依存」に対する条例の制定にはさまざまな課題点があるようです。

今回の豊明市の条例を一つのきっかけとして、スマートフォンとのより良い関係とは何か、そして子どもたちに家庭や地域社会はどのように示していくのか、改めて考える時が来ているのかもしれません。


出典:

豊明市「豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」(https://www.city.toyoake.lg.jp/secure/31563/sumahojyoureibun.pdf 

豊明市「『豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例案』が、9月22日に可決されました。」(https://www.city.toyoake.lg.jp/22095.htm

豊明市「『豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例』Q&A」(https://www.city.toyoake.lg.jp/secure/31563/QA.pdf

香川県「ネット・ゲーム依存を予防するために」(https://www.pref.kagawa.lg.jp/kosodate/tiikikosodate/wvl90x200716114340.html


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