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「日本でも採用して」台湾新幹線、乗客の迷惑行為を受け“厳格な新ルール”導入「当然だと思う」「実運用できるか疑問」

  • 2025.9.22
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

公共交通機関の車内環境は、快適さを大きく左右する要素のひとつです。静かな時間を望む人がいる一方で、スマートフォンの利用や会話による騒音などは日本のみならず、さまざまな国で問題視されてきました。

そうした中、台湾の新幹線を運行する「台湾高速鉄道」が導入した「車内でのスマホ利用ルール」の強化が話題を集めています。

動画や音楽の視聴にはイヤホン必須、通話はデッキのみ許可といった新ルールに、多くの人々がコメントを寄せています。

こうした取り組みは日本にも必要なのでしょうか?

今回は、この施策をめぐる世の中の反応をご紹介します。

台湾新幹線が導入した新ルール

台湾の新幹線を運行する台湾高速鉄道(高鉄)は、「車内でのスマホ利用ルール」として、動画や音楽を視聴する際はイヤホンやヘッドホンを使用すること、スマートフォンでの通話はデッキに移動して行うことなどを義務化する新たなルールを設けました。

注意喚起の車内放送の頻度は減らし、車内係員の説明や座席ポケット、駅構内のテレビなどを通じて「より静かで快適、そして高品質な乗車体験の実現」を目指すようです。

また、車内係員が巡回時にヘッドホンなしで音楽を聴いていたり、大声で話したりしている乗客を見つけた際は注意喚起をし、車内で通話をしている乗客には、デッキへ案内するほか、テキストメッセージにて案内するとのこと。

さらに、乗務員の指示に従わない場合は「強制的に列車から降ろす」ことも可能となり、従来に比べてかなり厳しい措置が盛り込まれています。「静かな環境」を作るための徹底さがうかがえます。

この制度について、高鉄の史哲董事長(会長)は、「車内では本来、乗客に休息や読書を楽しんでもらいたいものの、実際には小声での通話ルールが守られず、イヤホンを使わずに動画や音楽を再生するケースが多発していた」と説明。「注意喚起の放送がかえって騒がしさの原因になることもあった。そこで今回、運送契約の内容を改め、静かな車内づくりを制度として位置づけることに踏み切った」と報じられています。

また、9月16日には李逸洋・駐日代表が高鉄の史哲董事長と面会したことも報じられており、社会的にも注目度の高いテーマとなっています。

台湾でも多くの人が利用している

では、台湾において新幹線はどれくらい利用されているのでしょうか。

台湾高速鉄道の公式HPで掲載されている「財務報告書」の2024年度を確認すると、1日平均利用者数が「21万4,000人」に達しています。この規模は、東海道新幹線の下りにて、ゴールデンウィーク中で一番利用者数の多かった2024年5月3日の「24万8,900人」に迫ります。

つまり台湾では、平均利用者数が日本の大型連休ピークに匹敵するほどであり、新幹線はすでに国民の主要な移動手段として定着しているようです。

日本でも導入すべきという声

多くのSNSユーザーは「日本も見習うべきだ」と歓迎の立場を示しました。静かな車内環境を望む声は強く、具体的な意見も見られます。

  • 新幹線や特急でも、強制下車ルールを導入して欲しい。迷惑行為は名前を記録して再乗車禁止にすべき。
  • バスや地下鉄まで含めて、日本の公共交通機関にも採用して欲しい。

また、単に「導入してほしい」というわけではなく、日本の現状への不満も相まっているという背景もあります。

  • 最近、新幹線でも大声で騒ぐ人が目立つ。注意しても聞かないなら降ろしてほしい。
  • 新幹線で録画をしたり、踊っている人などがいた場合には、強制的に「乗車拒否」できるシステムにしてほしいものだ。

このように、台湾の姿勢に「日本もこうあるべき」という願望を重ねるコメントが多く見られました。

日本では「不要」と感じる声も

一方で、「日本にはそこまでの規制は不要」とする意見もありました。ルールの曖昧さや過剰な規制への懸念が背景にあるようです。

  • 電車内で複数人の会話は許されるのに、電話は声の大きさにかかわらず注意される。基準があいまいなままでは規制強化は必要ない。
  • 日本の新幹線ではイヤホンなしで動画を見たり、大声で通話をする人はほとんどいない。実情に合わない規則は不要。

こうした意見は、すでに一定のマナーが浸透している日本で、台湾ほど厳しい措置をとる必要があるのかといった疑問を投げかけています。

高鉄利用者の声

海外の掲示板型ソーシャルサイト「Reddit」では、現地利用者のリアルな声が寄せられています。

新ルールを歓迎する前向きな反応から、運用の難しさや誤解を懸念する声まで、日常的に高鉄を使う人ならではのリアルな声が寄せられています。

  • 至極当然なルールだと思う。
  • 高鉄にはよく乗るけど、必ず大音量で動画を流す人がいる。今回のルールは当然だと思う。
  • 年配の方が音量全開でテレビ番組を見ているのをよく見かける。これまで注意しづらかったからルール化されて良かった。
  • 親が子どもにスマホを渡して、大音量で動画を見せている光景をよく目にしていたので、今回のルールは大歓迎。

一方で、厳しいルール設定に「本来の意図とは違った効き方をしてしまうのでは」といった懸念も。

  • 「静かな車内」という言葉が、子どもまで黙らせる方向に解釈されそうで不安。
  • 実際にルールを運用できるのか疑問。ルールを作るのは簡単だが、取り締まれるかは別問題だと思う。
  • マナーというのは理解できるけど、健康上の理由で守りにくい人もいる。
  • 「小声通話はダメで隣に大声で話すのはOK」というような変な状態にならなければいいが…。

携帯電話の使用マナー向上は日本でも

 

一方、日本の新幹線でもマナー啓発は行われています。

JR東海では、「よくいただくご質問(FAQ)」内の「携帯電話の使用マナーの向上については、どのように取り組んでいますか?」という質問に対し、以下のように回答しています。

・JR東海では、お客さまに安心して快適に鉄道をご利用いただけるよう、駅構内及び列車内におけるマナーの定着に、お客さまのご協力を得ながら、取り組んでおります。車内放送によりあらかじめマナーモードに切り替えるなど、周りのお客さまのご迷惑とならないようご協力をお願いしております。
出典:JR東海「よくいただくご質問(FAQ)」

また、JR西日本公式HPでも、新幹線での携帯電話のご使用はデッキを推奨しています。

特急列車の車内では、携帯電話のご使用はデッキでお願いいたします。
出典:JR西日本「マナー関連」

このように、日本でも「注意喚起」という形で新幹線内のマナー啓発が行われています。

日本の公共交通に必要なルールとは

今回は、台湾高速鉄道の「新ルール」について、世の中の人の声をご紹介しました。

「日本も導入すべき」「そこまで必要ない」といった両極端な意見が見られたのが印象的です。「強制下車も必要だ」と歓迎する声がある一方で、「現状のマナーで十分」と冷静に受け止める意見もありました。

日本の公共交通機関が目指すべきは、ただ厳しくすることではなく、文化や利用者の行動に即した形で「快適な車内環境」を守ることかもしれません。

今回のルール導入を通して、迷惑行為から乗客をどのように守っていくのか、鉄道会社の今後の取り組みに注目が集まります。


出典:台湾高速鉄道プレスリリース(https://www.thsrc.com.tw/ArticleContent/0c58829f-8f9a-424c-90ed-f45329b3e37f)、台湾高速鉄道「財務報告書」(https://www.thsrc.com.tw/corp/e12c0774-d30f-49bd-8541-f1d70a6a161f


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