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【大阪・関西万博】海外パビリオン食探訪~ハンガリー編~“イケオジ”シェフが創る洗練された美食にうっとり!

  • 2025.8.21

万博でハンガリーの美食を味わう

ハンガリー・パビリオン併設レストラン「ミシュカ」の総料理長(中央)が手がける、美しい料理の数々に注目。
ハンガリー・パビリオン併設レストラン「ミシュカ」の総料理長(中央)が手がける、美しい料理の数々に注目。

約160の国や地域などで構成されている大阪・関西万博(以下、万博)の海外パビリオンを取材した食レポをお届け。今回はハンガリー・パビリオンに併設されているレストラン「Miska Kitchen & Bar(ミシュカ キッチン&バー)」を訪ねました!

パビリオンのマスコットが出迎える心地よい空間

レストラン「ミシュカ」内観。ハンガリーの伝統的な水差し(ミスカ)にインスピレーションを得て、レストランの名前は付けられました。
レストラン「ミシュカ」内観。ハンガリーの伝統的な水差し(ミスカ)にインスピレーションを得て、レストランの名前は付けられました。

レストランがあるのは、ハンガリー・パビリオンの2階。店内ではパビリオンのマスコットであり、レストラン名の由来にもなっている「ミシュカ」の愛らしいオブジェが出迎えてくれます。自然光があふれる明るい店内いっぱいに、心地よい雰囲気が漂っています。

伝統とモダンが融合したスターシェフの料理

総料理長のヴィダーク・ゾルターンさん。笑顔と優しい眼差しが印象的で、ハンガリーの伝統的料理を繊細な創作料理へと昇華させています!
総料理長のヴィダーク・ゾルターンさん。笑顔と優しい眼差しが印象的で、ハンガリーの伝統的料理を繊細な創作料理へと昇華させています!

このレストランで腕を振るうのが、料理人歴40年のヴィダーク・ゾルターン総料理長。ハンガリーのホテルやテレビ番組などでも料理を手がけているスターシェフです。ハンガリー料理の伝統を尊重しながら、独自の創意工夫を加えた万博でしか味わえないオリジナルメニューにこだわっているそうです。

「昔は遊牧民だった民族的な背景から、ハンガリーでは東部の大平原地域を中心にパプリカを使った肉の煮込み料理がよく食べられてきました。私が大切にしているのは、伝統とモダンの融合です。ハンガリーの伝統的な食材を使い、調理法などに現代的なエッセンスを加えています。様ざまな食感と食味が織り成すハーモーニーを楽しんでいただけたら嬉しいですね」(ヴィダーク・ゾルターンさん)

シェフおすすめの4品を実食

ハンガリーで古くからお祝いの席などで使われてきた水差し(ミスカ)の底面がオーダー表に!本来はワインや水を注いだり、量ったりするためのものだそう。
ハンガリーで古くからお祝いの席などで使われてきた水差し(ミスカ)の底面がオーダー表に!本来はワインや水を注いだり、量ったりするためのものだそう。

「ミシュカ」の料理は、前菜3品、スープ2品、メインディッシュ6品、デザート2品から好きなメニューを選ぶアラカルトスタイル(単品オーダーもOK)。テーブルの上に置かれた愛嬌たっぷりの水差し底面の二次元コードをスマホで読み込むと、写真付きメニューを見ながら注文することができます。どのメニューも美味しそうで迷ってしまうほど。前菜、スープ、メイン、デザートから“シェフ推し”のメニューを1品ずつ実食してみました。

●鴨フォアグラ、レーズン、リンゴゼリー、ブリオッシュ(鴨肉)税込み4580円

運ばれた瞬間からテンションが上がる前菜。鴨のフォアグラ、世界三大貴腐ワインと称されるハンガリー産「トカイワイン」漬けレーズン、リンゴの白ワイン煮を刻んだゼリーが添えられています。
運ばれた瞬間からテンションが上がる前菜。鴨のフォアグラ、世界三大貴腐ワインと称されるハンガリー産「トカイワイン」漬けレーズン、リンゴの白ワイン煮を刻んだゼリーが添えられています。

鴨のフォアグラを使ったぜいたくな前菜。塩やヘーゼルナッツオイルをまとわせたフォアグラに添えられているのは、貴腐ワイン漬けレーズン、ゼリーに包まれた粒状のリンゴの白ワイン煮、丸いブリオッシュ。ブリオッシュにフォアグラ、レーズン、リンゴの粒ゼリーを少しずつのせて食べると、濃厚なフォアグラにレーズンとリンゴの優しい酸味と甘みが溶け合い、いつまでも食べ続けられそう。思わず、白ワインのフルッチ(ハンガリー流のワインの飲み方)を追加オーダーしました!

●ポロネギとポテトのクリームスープ、クリスピー野菜 税込み2480円

ポロネギとポテトのクリームスープ。緑色のアクセントはネギオイル。スープにクリスピー野菜をからめながら一緒にいただくと、満たされた優しい気持ちに包まれます。
ポロネギとポテトのクリームスープ。緑色のアクセントはネギオイル。スープにクリスピー野菜をからめながら一緒にいただくと、満たされた優しい気持ちに包まれます。

ひと口いただくと、爽やかな酸味が広がる夏にぴったりのスープ。ポロネギとジャガイモのポタージュに少量のレモンを効かせてあるそう。中心のクリスピー野菜は、酢漬けにしたシメジやパプリカなどの野菜を細かく刻んで丸く揚げたもの。なめらかなスープ、サクサクの衣、フレッシュな粒感も残る野菜の食感のコラボが楽しいスープです。出会ったことのない優しくて細やかな味わい!

●ホルトバージ風 肉入りクレープ(鶏肉) 税込み3280円

ハンガリー料理の伝統に、シェフオリジナルのモダンなエッセンスを融合したメインディッシュ。リピートしたくなる美味しさ!
ハンガリー料理の伝統に、シェフオリジナルのモダンなエッセンスを融合したメインディッシュ。リピートしたくなる美味しさ!

ハンガリー東部の代表的な伝統料理にシェフ独自の感性を加え、ハイセンスな一皿にブラッシュアップ。食欲をそそるパプリカの赤いソースが印象的で、クレープの中に鶏肉の煮込み×鶏のフライという異なる食感と食味の鶏料理を仲むつまじく包み込んであります。クレープの上には刻んだパプリカとケイパー、5時間以上かけて煮込んだミニトマト、サワークリームも。とても手が込んでいて、素材が持つ自然な甘みと酸味、さらに鶏肉のジューシーさが口の中で滋味深く広がります。

●ショムロー風デザート 税込み2980円

ショムロー風デザート。本場ハンガリーでは、3種類のスポンジケーキ、クリーム、ナッツなどで作る素朴なデザートだそう。
ショムロー風デザート。本場ハンガリーでは、3種類のスポンジケーキ、クリーム、ナッツなどで作る素朴なデザートだそう。

ハンガリーの伝統的なデザートを、おしゃれにドレスアップ。プチロールケーキのような見た目のしっとりしたスポンジケーキの層に、バニラクリームとホイップクリーム、貴腐ワイン漬けレーズン、クルミ、アプリコットなどが宝石のようにちりばめられています。チョコレートソースとクランチも添えられ、濃厚そうに見えますが、ペロリといただけてしまいます。

ワインの名産地ならではの「フルッチ」も

ワインを注いだグラスに炭酸水を勢いよく注ぎ入れ、「フルッチ」が完成!
ワインを注いだグラスに炭酸水を勢いよく注ぎ入れ、「フルッチ」が完成!

ハンガリーはフランスやイタリアに引けを取らないワインの名産地としても知られているそう。メニューのドリンクリストにも多彩なワインがラインアップされています。

レストランの壁に描かれた「フルッチ」の解説。さまざまなワイン:ソーダの割り方があるそうです。
レストランの壁に描かれた「フルッチ」の解説。さまざまなワイン:ソーダの割り方があるそうです。

ぜひ試してほしいのが、「フルッチ」と呼ばれるハンガリー特有のワインの飲み方。ワインのソーダ割りで、さっぱりと飲みやすく、暑い日にぴったり。ハンガリーはお酒好きの人が多く、一年中フルッチを楽しむそうです。

シェフが語る日本料理の魅力

最後にシェフへ日本料理の印象を伺ってみたところ、「大好き」とにっこり。特に、天ぷらと茶碗蒸しがお気に入りとのこと。天ぷらの衣×野菜や魚の食感の融合性、茶碗蒸しの異なる食材を一つにまとめる力は、シェフが創り出す細やかな料理の数々と共通するシンパシーが宿っているように感じました。万博閉幕後にハンガリーへ帰国したら、「日本のエッセンスも取り入れたフュージョン料理を試してみたい」と語ってくれました。日本を好きになってくれたみたいでうれしい!

レストランのみの利用も可能!行列覚悟で訪れたい美食体験

シェフの優しさと繊細さが、どの料理にも宿っていることが食べると実感できます!
シェフの優しさと繊細さが、どの料理にも宿っていることが食べると実感できます!

日本国内であまり接する機会がないハンガリー料理。しかも、万博会期中だけ味わうことができるハイクオリティな美食として楽しめるのが、「ミシュカ キッチン&バー」の魅力と言えそう。なお、レストランとパビリオンの入り口は分かれていて、レストランのみの利用も可能。席数が多くないため行列必須ですが、並んで食べる価値はあります!

続編記事では、ハンガリー・パビリオンの展示とワークショップをご紹介します!

※掲載情報は8月上旬の取材時点のものです。

(野村ゆき)

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