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「胃腸炎」には2種類ある? その原因と適切な対処法を医師が解説

  • 2025.8.21

胃腸炎

働く女性が気になる症状や疾患について解説。今回は、よく聞くけれどいまいちわかっていない「胃腸炎」についてひもときます。

出典:シティリビングWeb

教えてくれたのは…石岡充彬先生

日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック院長。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。年間5,000件の検査実績を持つ“内視鏡のプロフェッショナル”

Q.胃腸炎の原因は?

胃腸炎とは、胃や腸などの消化管に炎症が起きることで、腹痛、吐き気や嘔吐、下痢などの症状が現れます。さまざまな原因によって引き起こされる症状の総称です。ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入して起こる「感染性胃腸炎」、ストレスや暴飲暴食、アルコールやカフェインの過剰摂取など、日常生活に潜む要因によって起こる「非感染性胃腸炎」に分けられます。感染性では、夏場はカンピロバクター、サルモネラ、O157などによる細菌性胃腸炎、冬場はノロウイルスなどによるウイルス性胃腸炎が増えます。非感染性は慢性化しやすいのが特徴です。

Q.完治するまでの過ごし方は?

重要なのは脱水を防ぐこと。嘔吐や下痢によって水分と電解質が失われるため、食事よりも先に水分補給を優先しましょう。常温の経口補水液やスポーツドリンクなどを少しずつ、こまめにとるようにします。食事は無理して食べなくても大丈夫です。食べられるようになったら、おかゆ、うどん、具のないスープなど、消化の良いものから少しずつ段階的に再開しましょう。また、市販の下痢止めは自己判断で使わないこと。感染性胃腸炎の場合、下痢はウイルスや細菌を排出する体の防御反応でもあるため、無理に止めてしまうことで回復が遅れることがあります。

Q.感染性の場合の予防策は?

特にウイルス性胃腸炎は、感染力が非常に強く、早めの対応が必要です。接触感染・飛沫感染・糞口感染が中心で、感染を広げないために重要なのは、手洗いを徹底すること。症状が治まった後もしばらくウイルスを排出しているため、数日間は予防策を継続しましょう。一方、細菌性胃腸炎は、食品を介した経口感染が主なルート。調理や保存方法の衛生管理が感染予防の要です。肉や魚は中心部までしっかりと火を通す、生肉と他の食材でまな板や包丁を使い分けるなどの工夫が有効。食卓を囲む家族や同僚との食器やタオルの共用を避ける、体調が悪いときは無理せず休むといった、基本的な行動も感染拡大を防ぐ上で重要です。

Q.受診の目安は?

軽い腹痛や下痢、胃のムカつきなどは、一時的な疲れや食べすぎ、冷えなどが原因で起こることもあり、市販薬や休養で落ち着く場合も少なくありません。ただし、血便や黒っぽい便が出る、水分が取れない、尿が出ない、腹痛が強くなったり場所が移動したりする、市販薬を数日使っても改善しないというときは、他の病気が隠れている可能性もあるため、医師の診察を受けましょう。また、市販薬で症状が一時的に改善しても、頻繁に「なんとなくおなかの調子が悪い」と感じている場合は、ピロリ菌感染や機能性胃腸症などの疾患が隠れている可能性も。症状が長期化・重症化する前に一度しっかりと診断をつけることが重要です。

Q.普段からできる対策は?

胃腸炎を防ぐためには、症状が出てから対処するだけでなく、日頃から胃腸の調子を整えておくことが何より大切です。特に、ストレスや不規則な生活、外食や会食の多い働く世代の女性にとっては、胃腸が疲れやすい環境にあることを自覚しながら、日常的にいたわる習慣を持つことが予防の第一歩になります。まず避けたいのは、早食い・ドカ食い、夜食の習慣。消化に負担がかかり、胃もたれや腹痛の原因になります。また、油っこい料理や刺激物、カフェイン、アルコール、甘いものなども胃酸の分泌を促したり腸を刺激したりするため、空腹時や夜遅くの摂取は控えるのが良いでしょう。就寝の2時間前までには食事を終えるのが理想です。さらに、十分な睡眠、軽い運動、ストレスをためない工夫も、胃腸の免疫を保つためには重要です。ストレスや生活の乱れは感染性、非感染性どちらの胃腸炎にもなりやすい土台を作ってしまいます。小さな積み重ねで、胃腸トラブルを防ぎましょう。

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