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“ムーミン”の世界を楽しむ映画3選

  • 2025.8.6

『TOVE/トーベ』© 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved
 
 8月9日は、世界中で愛されている“ムーミン”の生みの親、トーベ・ヤンソンの誕生日(1914年8月9日生~2001年6月27日没)です。ムーミントロール、ムーミンパパ、ムーミンママ、リトルミイ、スナフキン、そのほかにもたくさんの個性的な生き物たちが登場する不思議な物語は、いつ見ても楽しくて、新たな発見があります。そこで今回は、トーベ・ヤンソンの半生を描いた作品とムーミンのアニメーション映画を紹介します。

自由を渇望し愛に生きたアーティスト、トーベ・ヤンソン 『TOVE/トーベ』

『TOVE/トーベ』© 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved

ムーミンの原作者トーベ・ヤンソンの若い頃を中心に、その半生と創作の秘話を描いた映画。白くて丸っこくておっとりしたムーミンのイメージとは異なる、自由奔放で情熱的なトーベの姿に良い意味で裏切られる作品です。フィンランド出身の女性監督ザイダ・バリルートが監督を務め、アルマ・ポウスティがトーベ役を演じています。

『TOVE/トーベ』© 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved

第二次世界大戦下のフィンランド・ヘルシンキ。激しい戦火のなか、トーベ・ヤンソンは自分を慰めるように、「ムーミントロール」の物語を細々と描き始めます。父は有名な彫刻家で母は商業画家という芸術家の両親のもとに生まれたトーベは、自身も絵画に打ち込むものの、父との軋轢や保守的な美術界との葛藤のなかで、満たされない日々を過ごしていました。

『TOVE/トーベ』© 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved

若い芸術家たちとのパーティや恋愛に明け暮れていたトーベですが、1946年のある日、舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラーと出会い、恋に落ちます。当時のフィンランドでは禁じられていた同性愛に身を投じたことでさらなる葛藤を抱えますが、この激しい恋が彼女のその後の人生やムーミンなどの作品に大きな影響を及ぼしたことは間違いありません。
 
自立と自由を渇望し、自分に正直に生きようとしたアーティストの半生記として見ごたえのある作品です。

『TOVE/トーベ』

2020年製作

DVD ¥4,290
発売元:クロックワークス
販売元:ハピネット・メディアマーケティング

© 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved

若かりしパパの大冒険話にワクワク! 『ムーミンパパの思い出』

『ムーミンパパの思い出』© Filmkompaniet / Animoon Licensed by Filmkompaniet Moomin Characters™

トーベ・ヤンソン原作の「ムーミンパパの思い出」をもとに、いくつかのエピソードを加えた本国フィンランド制作のパペット・アニメーション。
 
ハチにしっぽを攻撃されて毛がなくなってしまったムーミントロールが、ショックを受けて半べそをかくところからして可愛い! 落ち込んだ我が子に、ムーミンママは月夜に薬草を探しにいき、パパは昔の思い出話を聞かせます。
 
みなしごホームで育ったムーミンパパは、ある日、ホームを抜け出して冒険に出ます。発明家のフレドリクソンとガラクタばかり集めているロッドユール(スニフの父親)と出会い意気投合したムーミンパパは、フレドリクソンが完成させた「海のオーケストラ号」という船に乗り込みます。船に勝手に忍び込んでいたヨクサル(スナフキンの父親)も一緒に、竜のエドワードの助けを借りながら、パパと仲間たちは大航海へ出発します。
 
ムーミンパパの生い立ちから大冒険、ムーミンママとのなれそめなどがいきいきと語られ、ムーミントロールと一緒に耳を傾けている気分になれます。日本語吹替版の声を務めるのは、平成版「ムーミン」シリーズのレギュラー声優である高山みなみ(ムーミントロール/ムーミンパパの若い頃役)、大塚明夫(ムーミンパパ役)らで、個性あふれるキャラクターたちに息を吹き込みました。
 
また、パペット・アニメーションならではのぬくもりのある質感と、大海原や森など自然の色彩の美しさにも魅了されます。

『ムーミンパパの思い出』

2021年製作

DVD ¥3,300
発売・販売:東映ビデオ

© Filmkompaniet / Animoon Licensed by Filmkompaniet Moomin Characters™

地球滅亡の危機!? 人気のエピソードを美しい映像で楽しむ 『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』

『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』© Filmkompaniet / Filmoteka Narodowa / Jupiter Film / Moomin Characters ™

トーベ・ヤンソン自ら監修し、1978 年から 1982 年にポーランドで製作された TV シリーズを、カラー修正・再編集し、長編映画としてよみがえらせた作品。美しくて素朴なパペット・アニメーションと地球滅亡の危機という物語のギャップがたまりません。
 
ある朝、ムーミントロールが目覚めると、ムーミン谷の何もかもが灰色になっていました。ジャコウネズミによると、「空から恐ろしい彗星が地球にやってくる前ぶれなのだ」とのこと。ムーミントロールとスニフは不安に怯えますが、彗星について調べるために天文台へ行くことに。
 
いかだで出発した二人は、河原でテントを張っていたスナフキンに出会います。三人はガーネットの谷の化け物を倒し、地下の川を下って岩を上り、天文台にたどり着きました。天文学者は、恐ろしい彗星はあと4日と4時間4分44秒後にやってくると予測。4日後までにムーミン谷へ帰らなければと、家路を急ぐ一行ですが……。
 
日本語吹替は、ムーミントロール役の高山みなみなど人気声優が集結。英語版では、洋画ファンにはおなじみの“北欧の至宝”ことマッツ・ミケルセン(スニフ役)、ステラン・スカルスガルド(ムーミンパパ/へムレン役)、ステランの息子であるアレクサンダー・スカルスガルド(ムーミントロール役)などが声優を務めています。両方の音声で楽しみたくなる豪華な声優陣も魅力です。

『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』

2010年製作

Blu-ray ¥5,280
発売元:TCエンタテインメント
販売元:TCエンタテインメント

© Filmkompaniet / Filmoteka Narodowa / Jupiter Film / Moomin Characters ™


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構成・文

ライター
中山恵子

中山恵子

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

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