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世界中で研究が進むケフィアを、毎日一杯飲んで気づいたこと

  • 2025.8.2

近年のスタンフォード大学の研究によると、腸内細菌フローラの多様性が豊かなほど有害な細菌から(人体が)より強く守られ、腸内環境健康であればあるほど、腫瘍など特定の炎症マーカーが低下する可能性が高まることが判明した。その一助となる食材として注目されているのが、かねてより腸内環境を整えるとされてきたケフィアだ。そこでこのケフィアについて、より深いリサーチをしてみたい。

ケフィアがもたらす健康効果

ケフィアとは、牛乳とバクテリアと酵母からなる「ケフィアグレイン」から作られる発酵乳製品で、実際調べてみると人体に必要な栄養のすべてが詰まっていると言っても過言ではないほどプロバイオティクスやビタミンB群、ビタミンC、カルシウムが豊富に含まれている。そしてこれら栄養素はすべて腸内環境を整え、ひいては免疫システムを強化することから未病対策にもなり、抗酸化物質も豊富で(体内における)栄養素の吸収を改善するとされている。

一般的にはケフィアはヨーグルトと同じジャンルに捉えられているが、ヨーグルトより幅広い種類の細菌と酵母を含んでいる。また、ヨーグルトやチーズを含むその他の乳製品とは異なり、ケフィアは乳酸菌酵母の2つで共生発酵させるのが特徴だ。つまり、乳酸菌で牛乳を発酵→プロバイオティクス飲料へと変化/酵母でケフィア中に乳酸+少量のアルコール+二酸化炭素を生む。

ケフィアの作り方

一見すると難しそうだが、実はケフィアは驚くほど簡単に日常生活に取り入れることができるものだ。当初は私もスーパーで買っていたのだが、自分でもケフィアを作るのが簡単だと知ってからはホームメイドオンリーとなった。作り方は、ケフィアグレインを牛乳に混ぜるだけ。そして発酵の準備も簡単で、作る量とその日の温度にもよるが、発酵には24~48時間かかる。ちなみに、ケフィアグレインはオンラインショップで入手したものを使った。では、実際の作り方を紹介しよう。

牛乳1Lあたりケフィアグレイン30gを容器に入れるだけ。たったこれだけだが、私はさらにここに総量の2%の牛乳を足した。それから瓶を密閉し、遮熱遮光効果の高いキッチンのカウンターの角に約24時間放置。ケフィアの発酵は、長ければ長いほどクリーミーで酸味が強くなるため、発酵時間を調整することで味と食感を変えることも可能だが、私個人的には24時間が一番良い感じに仕上がったと思う。

そして発酵後ケフィアをふるいなどで濾すのだが、この時金属製のふるいは絶対使用しないこと。なぜなら、ケフィアは発酵中に有機酸を蓄積するため、これが一部の金属に触れると腐食させて剥離を起こし、(その金属片が)ケフィアの中に混ざってしまうからだ。こうして濾したものをガラス瓶に移し、冷蔵庫で保存する。ふるいに残ったケフィアグレインも捨てずに新たな発酵のために”リサイクル”しても良いし、ケフィアグレインには様々なバクテリアや酵母、そして豊富な食物繊維が含まれているのでそのまま食べてもOKだ。

マイクロバイオーム科学者が語る、ケフィア

だが、ここで一つの疑問が浮かんだ。私はこうして手をかけて作った自家製ケフィアの味が一番好きだが、市販のものと栄養や健康への影響で何か違いはあるのだろうか?

「実は自家製ケフィアは、市販のケフィアに比べて、微生物の数と種類が豊富に存在します。市販のケフィアはどうしても”売る”ことを目的としているので、低温殺菌されていたり、菌株が少ない場合が多いからです」と、この疑問に回答してくれたのは、マイクロバイオーム(=腸内や体の表面に存在する”微生物コミュニティ”のこと)科学者・栄養士そして『Genius Gut: The Life-Changing Science of Eating for your Second Brain』の著者のエミリー・リーミング博士だ。「そのため、市販のケフィアを購入する際は、生きた菌が使われていて、不必要な砂糖が添加されていないものを選ぶことがポイントです」と先生は続ける。

また、ケフィアにはさまざまな種類があり、牛乳が苦手な人や体質的に牛乳が合わない、飲みたくないヴィーガン向けのものもあるが、これらはどうなのだろうか?「伝統的なミルクケフィアもありますが、ココナッツケフィアやウォーターケフィアなど、現在は種類も豊富です。また、これらは乳製品を含まないので乳糖不耐症の人やヴィーガンに適しています」。さらにメリットとして、ケフィアには乳糖を分解する酵素”ラクターゼ”が自然に含まれているため、乳糖不耐症の体質の人もケフィアを摂取可能だという点を挙げている。

ケフィアが与える脳への影響

さらに博士によると、ケフィアの人気にはもう一つ大きな理由があるという。「ケフィアは発酵食品の中で最も研究が進んでいる食品であり、発酵食品生活ビギナーにも最適な食材です。そんな中、近年の新たな研究で分かったのが、ケフィアが脳機能にもポジティブな影響をもたらす、ということ。特に鍵をどこに置いたかとか、人の顔を覚えるなど”記憶力”をサポートする可能性があることが示唆されているのです」

ケフィアを飲むベストタイミングは?

これに関しては、朝や空腹時にケフィアを飲むと、腸内環境が良くなるという人もいるが、私は朝から冷たいものを飲みたくないので、食後にデザート感覚でケフィアを飲んでいる。こうすると、なんとなく食後の胃の重い感じが解消され、消化がスムーズになり、牛乳の量が多いにもかかわらず膨満感もないため、腸に良い感じがするからだ。今は1日に約230~250mlのケフィアを飲んでいるが、ケフィアを初めて飲むビギナーは、体が徐々に慣れるまでその半分の量から始めることをおすすめしたい。

ケフィアを毎日飲んで気づいたこと

まず第一に感じたことは、確実に消化とお腹の張りが明らかに改善した、ということ。食事の吸収が良くなったように感じるし、食べ過ぎたり重い食事をしても、食後に胃が重たくなったり、痛くなることがなくなった。まさに、私の健康に劇的な変化をもたらしたと言えるだろう。今のところこれ以外の変化は感じていないが、毎日ケフィアを作るプロセスと味はとても気に入っている。私にとって、これからもケフィア生活を続けるベストなモチベーションだ。

だが腸内環境を整えるためにケフィアだけに頼っているわけではない。リーミング博士も指摘するように、ヨーグルト、キムチ、ザワークラウト(ドイツのキャベツの漬物)、紅茶キノコといった他の発酵食品にも生きた微生物が含まれており、その含有量はそれぞれ異なるが、健康効果を最大限に高めるには、(腸内微生物の)種類を増やすことだと博士は提唱する。「多様な発酵食品を摂取すると、腸内マイクロバイオームに異なる微生物の“コミュニティ”が形成されます。マイクロバイオームは多種多様な微生物から構成されており、それらが適度なバランスをとりながら周囲の環境に影響を与えているため、腸内の微生物を豊かにすることが、健康への効果を高めるためにも大切なこと。つまり、腸内にも多様性が重要だということです」

Text: Desireé Oostland Adaptation: Masami Yokoyama

From VOGUE.DE

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