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オークラ東京で日本の美を感じるウエディングを── 時代に合わせて”継承”と”改革”を繰り返す名門ホテル

  • 2025.7.30
41階にある白い大理石のチャペル「スカイチャペル」。トップフロアから見渡す絶景に包まれながらのセレモニーは感動的。
41階にある白い大理石のチャペル「スカイチャペル」。トップフロアから見渡す絶景に包まれながらのセレモニーは感動的。

今年6月に歌舞伎俳優の中村七之助と妻・杏奈さんの挙式・披露宴を行ったことで話題になったオークラ東京。日本を代表する名門ホテルとして、多くの著名人たちが絶大なる信頼を寄せるホテルにはどんな魅力が隠されているのか。

実は、オークラ東京は、中村七之助だけでなく父の中村勘三郎、兄の中村勘九郎も披露宴を行った場所。本物を知る梨園の人たちが、人生で最も大事なシーンに選んだという事実は、自身のセレブレーションの会場選びにオンリストすべきなのは確かだろう。

披露宴のスタイルや人数に合わせて、多彩な宴会場の中から選ぶことができる。
披露宴のスタイルや人数に合わせて、多彩な宴会場の中から選ぶことができる。

人生の節目を委ねたくなる、オークラ東京の品格とホスピタリティ

ロビーのシンボル「オークラ・ランターン」も健在。古墳時代の首飾りに用いられた切子玉から着想を得た。
ロビーのシンボル「オークラ・ランターン」も健在。古墳時代の首飾りに用いられた切子玉から着想を得た。

正面エントランスに1歩踏み入った瞬間に、他にはない特別な空気が流れているのが感じられる。それはゲストを心から歓迎するムード。スタッフの細やかな気遣いはその瞬間からスタートしているのだ。世界のトップクラスのホテルが林立する東京においても、オークラ東京の品格やホスピタリティは別格。言葉だけがひとり歩きしているのではない、本物のおもてなしの精神が隅々まで息づいているのだ。人生の大事な節目をオークラ東京に委ねる気持ちも理解できる。

レセプションのフロアより一段下がり、落ち着いた空間のロビー。梅の花をイメージした丸いテーブルとチェアを配置。
レセプションのフロアより一段下がり、落ち着いた空間のロビー。梅の花をイメージした丸いテーブルとチェアを配置。

話は変わるが、2014年に老朽化に伴う本館の建て替えが発表されると、世界中からモダニズム建築の傑作を惜しむ声が寄せられ、SNSでは「#SaveTheOkura」のムーブメントが広がり、保存を訴える署名運動までも行われたのは有名な話。それほどまで、多くの人々の心に残る特別な場所だったのだ。オークラ東京のシンボルとも言えるロビーを含むホテルの再設計という重責を担ったのは、かつての設計者・谷口吉郎の長男で世界的建築家の谷口吉生。彼は閉館したばかりの本館ロビーに3日間、ただ一人で座り続け、そこにある空気感までをも自身に刻み込んだという。

「変わらないように変える」を具現化した館内

プレステージタワー28階~30階の「プレステージルーム」。和を強調したヘリテージウイングの客室に比べ、よりモダンな空間。
プレステージタワー28階~30階の「プレステージルーム」。和を強調したヘリテージウイングの客室に比べ、よりモダンな空間。

ただ、オークラ東京が今も名門ホテルとして君臨し続けているのは、伝統を守り続けているからではなく、時代の変化に合わせて、”継承”と”改革”を絶妙なバランスで行ってきたことに尽きる。新たなロビーについても、素材・光・プロポーションの絶妙な組み合わせによって生まれる「オークラらしさ」を丹念に継承し、ロビーの空気感そのものを現代に再構築した。時代による建築法規の違いなど困難な問題をクリアし、復元部分と新たに加えた部分はシームレスな連続性を持った。「変わらないように変える」を具現化したのだ。

大きな窓から都会の風景を眺めながら、優雅なバスタイム。バスアメニティはオーガニックスパブランド「バンフォード」。
大きな窓から都会の風景を眺めながら、優雅なバスタイム。バスアメニティはオーガニックスパブランド「バンフォード」。

ホテルとは人が集い、芸術文化が交流する場所

圧巻の眺望を誇る最上階41階のバーラウンジ「スターライト」。都心の高層ビル群の向こうに富士山の姿も。
圧巻の眺望を誇る最上階41階のバーラウンジ「スターライト」。都心の高層ビル群の向こうに富士山の姿も。

かつての本館の空気感まで再現した美しいロビーの風景は、これからここを訪れる人の胸にも強く焼き付けられるはずだ。そのロビーを有料のラウンジにはせずに、誰にでも開放してるのも、隔月25日に無料のロビーコンサートを行っているのも、“ホテルは人が集い、芸術文化が交流する場所である”という創業者の大倉喜七郎の理念を、今も大切に受け継いでいるためだ。

“継承”と“改革”は、ホテルのどこを切り取っても同様で、最新設備を揃えた客室にしても、快適性を抜群に向上させながら、日本の伝統美を尊び、随所に和の意匠を施している。大きな窓には、麻布台ヒルズ、虎ノ門ヒルズなど、新しい東京の象徴が広がっているが、ウェルカムメッセージともに折り紙の鶴や亀がそっと置かれているのは以前のままだ。

フランスのシャンパーニュメゾン「ポメリー」のカーヴ内には、なんとオークラ東京専用セラーがあり、そこで熟成されたブリュット。
フランスのシャンパーニュメゾン「ポメリー」のカーヴ内には、なんとオークラ東京専用セラーがあり、そこで熟成されたブリュット。

オークラ東京の食の素晴らしさは、いまさら言うまでもないが、フランス料理、日本料理、鉄板焼、中国料理に、オールデイダイニング、バーラウンジ、メインバーなど、錚々たるレストラン、バーが揃っている。もちろんそれぞれに魅力的だが、バーラウンジ「スターライト」も、実はディナーの場所として知る人ぞ知る存在だ。41階からの息をのむような眺望とともに、ふだんは「ヌーヴェル・エポック」でしか食べられない本格的なフレンチが、数品限定とはいえ気軽に楽しめるのだ。

本日の魚料理は、かんぱちの薄造りにキャビアを添えて。酸味の効いたキャロットラペがいいアクセントに。
本日の魚料理は、かんぱちの薄造りにキャビアを添えて。酸味の効いたキャロットラペがいいアクセントに。
毎年夏に登場する「スターライト」の人気メニュー。桃を丸ごと1つ使うアシェットデセール「ピーチメルバ」。
毎年夏に登場する「スターライト」の人気メニュー。桃を丸ごと1つ使うアシェットデセール「ピーチメルバ」。
「オーキッド」の朝食ブッフェ。一見おなじみのホテルブッフェの光景だが、一品一品のクオリティの高さは別格。
「オーキッド」の朝食ブッフェ。一見おなじみのホテルブッフェの光景だが、一品一品のクオリティの高さは別格。
列が絶えない大人気のオムレツコーナー。火入れが絶妙で、外見はふんわりきめ細やか、中はしっとり。
列が絶えない大人気のオムレツコーナー。火入れが絶妙で、外見はふんわりきめ細やか、中はしっとり。

スパのメニューを一新

スパに使う精油は、セラピストが選んだ3つの香りから1つをピックアップ。訪れた日は満月から新月に向かうデトックス期の精油から3種類。
スパに使う精油は、セラピストが選んだ3つの香りから1つをピックアップ。訪れた日は満月から新月に向かうデトックス期の精油から3種類。

滞在中にぜひとも足を運びたいのが、今年3月にメニューを一新したスパだ。フェイシャルには、フランスラグジュアリーブランド「ORLANE(オルラーヌ)」の最高級ライン、ボディには、古来より伝わる香(こう)、酒粕、米ぬかなどを取り入れた。月の満ち欠けや四季の変化など自然のサイクルと陰陽五行を調和させた和精油を使い、熟練のセラピストが個々の身体の状態に合わせた施術を施してくれる。

専用バスの付いたオークラ スパの特別ルーム。
専用バスの付いたオークラ スパの特別ルーム。

時にはゴージャスなセレブレーションが開かれ、世界の要人たちの重要な会議の場となる。世界中からさまざまなゲストが訪れる名門ホテルは、特別な時にだけに利用すると思っているのはもったいない話。例えば、伝説のフレンチトーストを目的にティータイムだけでも、リニューアルされたデリにケーキを買いに行くだけでもいい。もちろん“あの”ロビーラウンジでゆっくり過ごす時も、日常から脱出して1泊だけ癒されに行く時も、どんな時にも超一流のホスピタリティで、ゲストの人生に寄り添ってくれる場所なのだから。

大規模再開発で街の風景が一変した神谷町・虎ノ門エリアに位置する。正面がプレステージタワー、左側がヘリテージウイング。
大規模再開発で街の風景が一変した神谷町・虎ノ門エリアに位置する。正面がプレステージタワー、左側がヘリテージウイング。

オークラ東京

東京都港区虎ノ門2-10-4

Tel./03-3582-0111

https://theokuratokyo.jp/

Photos: Courtesy of The Okura Tokyo

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