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高校生たちの葛藤…それが、オトナ視聴者にも “刺さる” ワケ  大ヒット漫画&映画の「オリジナルドラマ」好調

  • 2025.7.23

日テレ水曜22時「ちはやふる-めぐり-」

當真あみさん(2025年3月27日、時事)
當真あみさん(2025年3月27日、時事)

俳優・當真あみさんが主演のドラマ「ちはやふる-めぐり-」(日本テレビ系)が、“神ドラマ”として注目を集めています。「ちはやふる」は、原作漫画が累計発行部数2900万部超の大ヒットを記録し、2016年、2018年に3部作として実写映画化された作品。そして今作は、映画から10年後の世界を描くオリジナルストーリーのドラマで、過去作品のファンは必見の内容となっています。

SNSで話題となり、2025年7月9日(水)放送の第1話はTVerでの再生数が100万回を突破。回を重ねるごとに人気を集め、見逃せない夏ドラマとなります。

今回の主人公は高校2年生の藍沢めぐるで、舞台は廃部の危機にある梅園高校・競技かるた部。令和の高校生たちがさまざまな葛藤を重ねながら、競技かるたに打ち込む姿が感動的に描かれます。

まず、今作の目玉は映画シリーズに出演した上白石萌音さんが、梅園高校の競技かるた部顧問・大江奏として続投したこと。また、映画版で主軸だった瑞沢高校競技かるた部も登場し、作品が地続きであることを印象付けています。

第2話まで見た限り今作は、主人公・めぐるを演じる當真さんの演技がとにかく秀逸です。當真さんは、NHK大河ドラマ「どうする家康」に家康の長女・亀姫役で出演して話題を集めた注目の若手女優です。

今回演じるめぐるは、青春を謳歌することを諦め、将来のためにバイトと投資に精を出す冷めた性格の高校生。内申点に有利という理由で競技かるた部に在籍する幽霊部員で、クールな令和の女子高生を繊細に演じています。

そんなめぐるは、中学受験に失敗した際に両親が言った何気ない一言がトラウマとなり、楽しい高校生活を送ってはいけないと葛藤を続けるキャラです。この難しい性格のめぐるを、當真さんは目の動きなど表情をうまく使って表現しています。また、過去作を見た人は分かるでしょうが、めぐるは映画版の主人公である千早とは正反対のキャラ。今作は、何かに青春をかけることを否定するめぐるが、競技かるたに全てを捧げた千早を超えられるのかも、見どころの一つだと考えます。

そんなめぐるのライバルで、競技かるたに青春をかける月浦凪を演じる原菜乃華さんの演技もすばらしい。何でも器用にできて明るく元気な凪は、めぐるとは対象的な存在として描かれています。「漫画の主人公みたいな子」である凪は、主人公のライバルながら明るく元気な優等生キャラです。嫌味なく原さんが優等生の凪を演じることで、めぐるとの関係性がうまくドラマで表現され、作品に深みを与えています。今後、めぐるが千早だけでなく、凪という壁をどう乗り越えるのかも注目ポイントです。

当面はめぐると凪を中心に描かれることが予想される「ちはやふる-めぐり-」ですが、梅園高校競技かるた部にはほかにも個性豊かな生徒が集結しています。

まず、齋藤潤さんが演じる白野風希は、幼少期よりボクサーとして注目されながら、自分の将来に悩む青年。嵐莉菜さんが演じる村田千江莉は、野球一筋だったものの挫折し、高村佳偉人さん演じる奥山春馬は自分より優秀な弟にコンプレックスを抱くキャラです。

めぐるを含め、ほぼ全員が何かしらの挫折や葛藤を抱き、周囲に劣等感を抱く生徒ばかり。そんな生徒たちが、競技かるたを通じてどう成長するのか、そこが今回のドラマの大きなキーワードになっています。

よく考えれば、今回の梅園高校競技かるた部の生徒たちは、いろいろな人に当てはまる設定です。仕事がうまくいかない、家族とうまくいかない、周りは成功している人ばかり……など、めぐるをはじめ、かるた部の生徒たちが誰かと同じ境遇ではないでしょうか? 学生はもちろんのこと、社会人や主婦など、いろいろな人が登場人物に自分を重ねることができます。

そんな生徒たちが成長する姿を見て、多くの視聴者が自分のことのように喜べるのがこのドラマの魅力。高校生の青春ドラマでありながら、全世代の視聴者が共感できるストーリーになっている「ちはやふる-めぐり-」。映画版と同じく、迫力あるかるたシーンももちろん健在、絶対に見て損はない夏ドラマです。

(ゆるま小林)

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