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『認知症になりづらい人』は“ある共通点”があった…毎日続けている“たった1つ”の習慣とは?

  • 2025.8.8
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毎年増え続ける認知症患者。誰もが心配するこの問題ですが、実は「認知症になりづらい人」にはある“共通点”が見つかっています。そのキーワードは“毎日続けているたった1つの習慣”。今回は、その習慣とは何か、そしてなぜ効果的なのかを科学的根拠とともにやさしく解説します。日々の生活に無理なく取り入れられるヒントが満載なので、ぜひ最後までご覧ください。

生活習慣が認知症リスクに与える影響とは?

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

認知症は加齢とともに発症率が高まりますが、単に年を取ったからなるわけではありません。実は、生活習慣や環境によってそのリスクは大きく変わることがわかっています。

認知症の中でも特に多いアルツハイマー型認知症は、脳内の神経細胞が減少し認知機能が低下していく病気です。食事・運動・睡眠・社交性といった日常の要素が脳の健康を左右します。たとえば、運動不足や喫煙、ストレスの多い生活は認知機能の低下を早める原因になるとされ、逆にこれらを改善することでリスクを減らせる可能性が高いと多くの研究が示しています。

そこで注目されているのが、毎日“続けること”が重要という点です。認知機能は数日や数週間で大きく変わるものではなく、長く続けることが健康維持のカギとなります。これにより「認知症になりづらい人」は日々の習慣の中で何か1つを継続して実践している点に共通性があることが明らかになっています。

脳の健康を支える“習慣”とは?毎日続けやすい取り組みのポイント

では、その“たった1つの習慣”とは何でしょうか?複数の専門機関や研究報告から見えてきた答えは、「適度な身体活動、つまり毎日のウォーキング」です。

厚生労働省や世界保健機関(WHO)も推奨する「中強度の有酸素運動」が認知症予防に効果的とされており、特にウォーキングは手軽で継続しやすいため、有効な方法として広く認められています。運動は脳の血流を改善し、神経細胞の成長を促す脳由来神経栄養因子(BDNF)の量を増やすことがわかっています。これが認知機能の維持や改善に寄与するのです。

さらに、定期的なウォーキングをしている人は、血圧やコレステロール値の管理もしやすく、糖尿病や心疾患のリスクも下げられるため、認知症の他にも健康的なリスクを同時に抑えられます。また、徒歩での移動は外出のきっかけにもなり、社交性や心の健康にもプラスの効果をもたらすことが多いのも大きなメリットです。

実際に、毎日30分程度のウォーキングを継続する人は、そうでない人に比べて認知症発症リスクが低いという統計データも存在します。

実際にはウォーキングを中心に、週合計150〜300分の中強度有酸素運動を目安にしましょう(速歩30分なら週5日が目安)。『中強度』とは、少し息が弾むけれど、おしゃべりなら何とか続けられる程度の速さです。軽く汗ばむくらいを目安にすると良いでしょう。体力や持病に応じて、プール歩行や自転車、軽い筋力トレーニングを組み合わせても構いません。

もしウォーキングが難しい場合は、膝への負担が少ない水中ウォーキングや、座ったままでできる足踏みやラジオ体操なども同様の効果が期待できます。運動を始める前には、特に持病のある方や体力に自信のない方は、かかりつけの医師に相談し、ご自身の体調に合った方法を確認しましょう。

さらに地中海食などのバランスの良い食事、社会交流、趣味や学習による脳刺激、質の良い睡眠、難聴の早期補聴といった多面的な習慣が加わると、リスク低減効果が高まることが最新研究で示されています。

また、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの「持病」のある方は、 適切な治療継続 が認知症リスク低減に寄与するともガイドラインには記載されています。

また議論はあるものの「睡眠による脳のデトックス」と言う考え方もあり、最新の研究では「質の高い睡眠が認知症リスクを下げる」ことが分かってきています。「ぐっすり寝る」ことも意識しましょう。

脳を守るシンプル習慣で未来を明るくしよう!

認知症を防ぐために特別な薬や高額なサプリメントは必要ありません。大切なのは、無理なく「毎日コツコツ続けられる習慣」を持つこと。それが、認知症になりづらい人が共通しているポイントです。

その中でも、普段の生活に簡単に取り入れられる「ウォーキング」は、脳だけでなく体全体の健康アップにつながり、気分転換やストレス軽減効果も期待できます。雨の日や忙しい日には室内での軽いストレッチや体操でも構いません。また、質の高い睡眠も重要な役割を果たします。重要なのは「毎日続けること」です。

今からでも遅くない、健康な脳を育てるための第一歩として、ぜひ今日から始めてみてはいかがでしょうか。


監修者:林裕章(はやし・ひろあき)
林外科・内科クリニック(https://www.hayashi-cl.jp/)理事長

国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。現在、外科医の父と放射線科医の妻と、全身を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域を支えている。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、また医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。
日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医



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