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『鬼滅の刃』上弦の参・猗窩座の“知られざる裏設定”に涙が止まらない理由…SNS「知らなかった」「エモすぎてゾッとした」

  • 2025.8.19
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(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

公開から25日間で興行収入が220億円を突破し、歴代の国内興行収入ランキングの第6位に早くもランクインした『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』。本作で描かれるのは、竈門炭治郎(かまどたんじろう)や柱たちと上弦の鬼の最終決戦だ。そして、原作漫画のおまけページにて明かされているのが、“上弦の参”である猗窩座(あかざ)の映画では語られていない“裏設定”である。

※以下本文にはネタバレの内容が含まれます。

猗窩座の技に秘められた“思い出”――涙が止まらない“裏設定”

猗窩座は、鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)から“上弦の参”という数字を与えられた鬼。武器を持たず、拳や蹴りによる戦法が特徴だ。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』では、炭治郎が慕っていた炎柱・煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)を殺し、猗窩座と炭治郎との間には大きな因縁がある。

そんな憎むべき相手である猗窩座だが、『無限城編 第一章』では彼が人間、つまり狛治(はくじ)だった頃の回想シーンが描かれた。狛治はずっと看病していた父親を亡くし、やけくそになっていたところを素流道場の道場主・慶蔵(けいぞう)に救われる。慶蔵の娘・恋雪(こゆき)の看病を任され、交流を深めるうちに、狛治と恋雪は恋に落ちた。だが、まっとうな人間として再スタートを切ろうとしていた狛治に、悲劇が襲う。

猗窩座にまつわる裏設定が読めるのは、原作漫画の第18巻のおまけページ。“設定こぼれ話”と題しており、作者・吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)による手書きの文字で書かれている。そして、設定こぼれ話によると、猗窩座の技は全て“思い出”が土台となっているのだ。

たとえば、猗窩座の技名は花火が由来となっている。子どもの頃の狛治と恋雪が、元気になったら見に行こうと約束していたのが、花火だった。年月が経ち、花火が打ち上がるなか「私と夫婦になってくれますか?」とプロポーズした恋雪に、「俺は誰よりも強くなって一生あなたを守ります」と猗窩座がこたえるシーンは、2人の幸せを願わずにはいられなかった。

また、猗窩座の術式展開の模様は、恋雪が着けていた雪の髪飾りがモチーフとなっている。猗窩座の構えや使っている技も、道場で慶蔵から教わった素手で戦う武術である“素流”からきている。猗窩座を構成する一つひとつが、人間だった頃の忘れられない思い出が元になっているのだ。つまり、慶蔵と恋雪は、猗窩座の人生においてかけがえのない人物だったということを意味する。鬼に堕ちてしまった猗窩座の人間味を感じるような裏設定だ。

これらの裏設定にSNSでは「知らなかった」「とんでもなく良い男」「エモすぎてゾッとした」「悶えている…」「涙が止まらない」と驚きと感動の声で溢れていました。

原作おまけページで明かされた“隣道場の跡取り息子”の存在

狛治の幸せな日々は、慶蔵と恋雪が毒殺されてしまうことで崩れ去る。「誰かが井戸に毒を入れた」「あいつら酷い真似を」というセリフが登場するくらいで、本編では毒殺犯について多くは語られなかった。しかし、おまけページの設定こぼれ話にて、隣の道場の跡取り息子が素流道場に恨みを持ち、井戸に毒を入れた詳細が書かれている。そのボリュームは2ページ分にわたり、吾峠呼も「長くて作者もびっくりしています」と付け足すほど。

猗窩座の思い出にまつわる裏設定からは、じつは彼が人間臭い一面を持っていることがよくわかる。そして、なによりも大切な慶蔵と恋雪を失ってしまった狛治の悲しみや絶望が、痛いほど伝わってくるのだ。また、毒殺事件にまつわるエピソードによって、猗窩座の悲劇的な過去編に“厚み”が生まれている。

『鬼滅の刃』は、敵である鬼にもストーリーがあり、感情移入できる点が大きな特徴だ。本編だけでも涙を誘い、『無限列車編』とはがらっと印象が変わる猗窩座だが、原作で描かれた“補完”によってさらに感情移入できるキャラクターになっている。猗窩座は、圧巻の作画で話題を集める『鬼滅の刃』の、もうひとつの魅力を象徴しているのではないだろうか。


ABEMAにて「鬼滅の刃」柱稽古編、劇場版「鬼滅の刃」無限列車編など多数配信中。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/26-75?s=26-75_s5&eg=26-75_eg0
【(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable】

ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari