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体は股関節が10割!【医学療法士監修】ストレッチ・筋トレ・整えるの3ステップで歩ける体の基礎づくり

  • 2025.7.1

歩いたりスポーツしたり、健康に動くための要となるのが股関節。
全身でいちばん大きい関節です。
この股関節まわりを整えて、強くしなやかにすることで、タフな体を手に入れましょう。

教えていただいたのは・・・
理学療法士
山口正貴さん
東京大学医学部附属病院リハビリテーション部理学療法士。医療・予防業務に携わりながら、腰痛について研究。著書に『骨盤・股関節の医学』(さくら舎)など。

股関節が硬くなると日常の動作が困難に

歩いたり座ったりの動きの要になる股関節。
「股関節は外からは見えません。膝を高く上げたときのズボンの折り目の奥のほうにあります」と、理学療法士の山口正貴さん。
年齢とともに、軟骨の摩耗や筋肉の老化によって股関節が硬くなります。すると、全身の動きに影響が。
 
「股関節を伸ばす動き(伸展)が悪くなると姿勢が前傾になり腰が曲がった状態に。曲げる動き(屈曲)が悪いと、立ったり座ったりが困難になり、膝や腰に負担がかかります。内や外に開いたりひねるのが難しくなると、浴槽がまたげない、靴下を履いたり着替えるのが困難になることも。転倒リスクも上がります」
 
股関節は、骨盤の中の寛骨臼に大腿骨の先がはまった部分です。そもそも日本人、特に女性は寛骨臼が浅い人が多く、加齢で軟骨がすり減ると痛みが出やすい一因になっています。
 
「股関節まわりの筋肉の柔軟性をあげると可動域が広がり、筋力が高まれば関節の負担が減ります。股関節のトレーニングで、年齢を重ねてもずっと、動ける体をつくりましょう」

脚と体幹をつなぐ最大の関節

体の中心に位置し、骨盤と大腿骨をつないでいるのが股関節。
体重を支えたり、歩いたりするのに不可欠な関節です。

大腿骨の先にある球状の骨頭が、骨盤にある寛骨臼のくぼみにはまってソケットになっています。
柔軟性や筋力が落ちると、軟骨がすり減ったり関節唇が挟まれて痛みが出ることがあります。

股関節について知っておきたいこと

⚫︎ 更年期に股関節が痛みやすいのはなぜ?
更年期前後から、痛みを感じる人が増える股関節。理由のひとつは、骨粗しょう症により骨盤や大腿骨の軟骨が減って骨同士があたりやすくなること。これが変形性股関節症です。
また、加齢によって筋力や柔軟性が衰え、姿勢が変わることで、骨が動いたときに股関節にある関節唇がこすれて痛みが出る場合もあります。
日ごろから筋肉をしなやかにし、筋力をつけることが股関節の痛みの予防になります。

⚫︎ 骨盤と股関節は仲よし
体の中心を支えているのが骨盤。中心部にある三角形の仙骨と左右に広がる寛骨からなります。寛骨のくぼみに大腿骨がはまった部分が股関節で、全身の重さをここでしっかり支え、前後左右どの方向にも動かせます。ただし、骨盤の角度や広さによって動かしやすさに個人差があります。股関節が硬くなると骨盤が前傾したり後傾したりして姿勢が悪くなるなど、ふたつは相互に影響しあっています。

⚫︎ 股関節がよくなるとメリットいっぱい
□ 筋肉の負担が減り動きやすくなる
□ 疲れにくくなる
□ 姿勢がよくなる
□ 血流がよくなって代謝もアップ
□ 肩こり、腰痛になりにくくなる
□ けがのリスクが低くなる

股関節が硬いとそれを補うために筋肉が力を使い疲労しやすくなります。股関節がしなやかになると、動作がスムーズになり疲労も軽減し、血流もアップ。肩や腰、膝の筋肉も疲れないので、コリや痛みが出にくくなります。

⚫︎ 股関節が硬いとソックスも履けない
□ 足の爪が切れない
□ ソックスを履けない
□ 立ったり座ったりするのが大変
□ しゃがんだ姿勢で後ろに転んでしまう
□ 膝や腰に痛みが出る
□ 姿勢が悪くなり腰が曲がる
□ 進行すると歩行困難に

股関節は、脚の上げ下ろしはもちろん、姿勢を保持する役割もあり痛みが出ると長時間座ることも難しくなります。脚が上がらないと転倒リスクが高まり、骨折につながります。

6つの動きでセルフチェック! あなたの股関節、かたまっていませんか?

股関節が6つの方向に動くことで、日常の動作が成り立っています。
内旋や外旋など硬くなりやすい方向もあるので、まずは自分はどの動きが苦手かチェックしましょう。

股関節をほぐす、鍛えるトレーニング

体づくりは順番が大切。まず、使いすぎて硬くなった筋肉をほぐすストレッチ。
可動域が広がったら、筋肉が力を発揮できるように筋力トレーニングを。
それから、普段あまりしない動きを体に覚えさせる整えるの順番で行い、股関節の動きを安定させましょう。

1. ストレッチ

普段使いすぎている筋肉は硬くなりそれによって股関節の可動域が小さくなっています。
前ページでチェックした苦手な動きを中心にまずはストレッチで筋肉をほぐしましょう。

〈コツ〉
・お風呂上がりや寝る前が伸ばしやすい
・はじめは10秒、慣れてきたら20~30秒
・最長60秒まで。それを超えると一時的に筋力がダウン
・硬さに左右差がある場合は、苦手なほうを少し長めに

1. 左膝をついて股関節と膝は、床と平行にし、背筋を伸ばします。

2. そのまま右足に体重をのせて重心を前に移動します。伸びるのは、左脚の股関節です。左右同様に。

1. あお向けに寝て左膝を立てます。

2. 左脚を右にひねります。右手は左膝にそえて、その重みで膝を床に近づけます。

3. 左手はバンザイして肩甲骨を床に近づけます。左右同様に。

1. 床に座って、左右の足の裏を合わせます。

2. 上半身を前に傾けます。肘で脚を押し広げてもOK。

〈あお向けで〉
1. あお向けに寝て両膝を立てます。

2. 左脚を上にして脚を組みます。膝裏が右の太ももにのるように。

3. 膝を抱えて左膝が右肩に近づくように抱き込みます。お尻の筋肉が伸びているところでキープ。左右同様に。

〈椅子に座って〉
1. 椅子に腰かけて、右膝は正面に左の脚は外側に外します。

2. 右脚を抱えるようにして内側に引き寄せます。左右同様に。

1. 床に座り、左膝を写真のように曲げます。右膝は立ててもOK。

2. 体を後ろに倒して、両手をついて床で支えます。左右同様に。
さらに倒せる人は肘をついてもOK。

日常生活で心掛けたいこと

歩くときは出す脚ではなく後ろの脚を意識
股関節は後ろに伸ばす動きが硬くなりやすい。歩くときは後ろになった脚の股関節を伸ばし、その反動で前に進む意識で。

座りっぱなしなど同じ姿勢を続けない
座り仕事の場合も、痛みや不調を感じる前、できれば10分ごと、最低でも30分に1回立ち上がったり、歩いたりすると◎。

運動中や日常の痛みの対処法
応急処置であるアイシングはしっかり冷やすこと。
「氷をあてるとだんだん痛くなり、そのあと温かくなって、最後にしびれた状態になります。そこまで冷やして初めて炎症が治まります」。
48時間を過ぎたら、少しずつ温め痛みが出ないか様子をみること。

2. 筋力トレーニング

普段使っていない筋力は力を出せなくなっているので、その出力を上げるのが筋力トレーニング。
特に歩くときに大切な、大殿筋と大腿四頭筋、ハムストリングスを鍛えて。

〈コツ〉
・呼吸は止めないこと
・自分なりに筋肉が疲れたなと感じる強度と回数で
・最初は5~10セットなど軽く行えばOK。毎日継続を!

1. 両脚を肩幅より大きく広げて立ちます。つま先はやや外側に、両手は前に伸ばします。

2. 腰を後ろに引くようにゆっくりと下げます。足の親指と膝の向きは揃えます。腰の角度は無理せず、効いているなと思ったらOK。ゆっくり戻し、膝が伸び切らないところで2回目に移ります。これを5~10回繰り返します。

3. 太ももと床が平行になるまで、腰を落とします。

1. あお向けに寝て膝を軽く立てます。

2. 胸から膝までが一直線になるようにお尻を持ち上げます。

できる人は、片方の脚をピンと伸ばして床から浮かせると強度アップします。

3. 整える

普段しない動きや意識していない動きをスムーズにするのが「整える」で、ボディイメージとも言います。
ここでは、骨盤を動かさずに股関節を使う動きを行います。

〈コツ〉
・鏡を見ながら行い、動画など自撮りでチェックするとベター
・なめらかな動きを意識し、左右の動きに差がないか確認しながら行う
・呼吸は止めないこと

1. 背筋を伸ばして立ちます。腰に両手を当てて骨盤が動かないように。

2,3. 片脚立ちになり、骨盤を動かさないまま、上げたほうの脚を水平に左右に動かします。5~10回繰り返したら、反対の脚も同様に。

1. 背筋を伸ばして立ちます。両手を腰に当てて骨盤が動かないように。

2. 片脚を、股関節が90度になるまで上げます。

3. そのまま脚を後ろに15度くらいまで伸ばしたら戻ります。5~10回繰り返したら、反対の脚も同様に


撮影/松橋晶子 モデル/Miyako Miyash[i mimozakai] イラスト/モリ ナオミ 文/田中絵真
 
大人のおしゃれ手帖2025年6月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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