1. トップ
  2. 「転売ヤーからは絶対買うな!」Switch2をめぐる“転売のグレーゾーン”弁護士に聞いてみた

「転売ヤーからは絶対買うな!」Switch2をめぐる“転売のグレーゾーン”弁護士に聞いてみた

  • 2025.6.29
undefined
※ChatGPTにて作成(イメージ)

6月5日に発売された「Nintendo Switch 2」。近頃は一部の店舗では店頭に並ぶようになったものの、事前予約に落選する人が続出したほどの大人気商品です。

任天堂がしっかりとした転売対策を講じているにもかかわらず、フリマサイトを中心に、定価を大幅に上回る価格での出品が後を絶ちません。

SNS上では「転売ヤーからは絶対に買うな」「転売屋など滅びればいい」という厳しい声が多数を占める一方で、「転売もひとつのビジネス」と擁護する意見も少数派ながら存在するようです。

こうした状況の中で気になるのは、転売行為そのものが法的にどのような扱いになるのかという点です。感情的な議論が先行しがちな転売問題について、法的な観点から整理してみる必要があるのではないでしょうか。

そこで今回は、この転売問題について弁護士さんに詳しくお話を伺いました。

転売に対する世間の声は?

まず、弊社が行なった「転売品を買っても良いと思うか、良くないと思うか?」というアンケートの結果を紹介します。

今回は、300件(有効回答数)中「良いと思う」が71人、「良くないと思う」が229人という結果になりました。

良くないと思う主な意見としては、
「絶対にダメ。市場価値をおかしくするし、流通もおかしくなる。転売でいいことは何もないので反対です(20代女性・会社員・千葉県)」
転売品を買おうと思う人がいるから、一向に転売しちゃう人が減らないんだと思います。一人ひとりの意識を変える必要がある(20代男性・会社員・東海地方)」
という声が、

良いと思う主な意見としては、
「どうしても欲しいのなら、転売屋から買うことも最終手段としてはしょうがないと思います(20代男性・会社員・東京都)」
「個人的に転売に対して悪いとは思いません。個人で購入して、それを売ったところで買う人間がいる以上、転売だけが非難されるのはおかしいと思うからです(30代男性・カスタマーサポート・兵庫県)」
という声が、寄せられました。

およそ76%の方が「転売品を買うことは良くない」と回答。「一人ひとりの意識を変えていく必要がある」というコメントは、多くの方から見られました。

転売の法的グレーゾーンを専門家が解説

今回は、NTS総合弁護士法人札幌事務所の寺林智栄弁護士に詳しくお話を伺いました。

---Switch 2に限らず、フリマサイトやSNSなどで出品されている高額の転売品を買うことは、法的に問題ないのでしょうか?

一般の人がフリマサイトやSNSで高額な転売品を購入することは、原則として違法ではありません。

景品表示法・古物営業法・不正競争防止法などの法律は、転売行為の「売る側」を規制するものであり、買う側の個人に違法性を問うものではないのです。

ただし、ライブやスポーツイベントなどのチケットに関しては、チケット不正転売法違反となり、購入自体が無効となる危険性があるので注意が必要です。

---チケットはまた別の法律があるのですね。入手した商品を、高額をつけて転売することは、法的に問題ないのでしょうか?

一部のケースを除き、一般的な高額転売は違法ではありませんが、状況によっては違法・違反行為になることもあります。例えば、先ほど述べたライブやスポーツイベントなどの興行チケットの転売は、チケット不正転売禁止法により禁止されており、罰金や拘禁刑の対象となります。

また、転売行為を繰り返し行うと、無許可で営業行為をしているとみなされ、古物営業法違反になる危険性があります。

医薬品や化粧品の転売は薬機法違反に問われる可能性が高く、偽物やコピー品の転売は、商標法、不正競争防止法違反となります。ゲームのチートアイテムの転売も、不正競争防止法違反となります。

---転売によって、逮捕されたり企業から訴えられる可能性はありますか?

結論をいうと、チケットや偽ブランド品、盗品などを売ったり買ったりした場合には、逮捕される可能性があります。また、転売により企業から商標法違反で訴訟を起こされたケースもあります。

具体的な事例としては以下のものがあります。STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所)やAKB48などのチケットを定価の数倍で繰り返し転売した男性が、2019年にチケット不正転売禁止法違反で逮捕されたことがありました。

Yahoo!オークションやフリマアプリで、シャネルやルイヴィトンの偽物を販売した人が、商標法違反で逮捕されたという事例も報告されています。

転売問題との向き合い方を考える

転売品の購入は原則として違法ではないが、転売行為自体は状況によって違法になる可能性があるとのこと。特に、チケット類や偽ブランド品、繰り返し行う営業的転売については、明確に法的リスクが存在します。

景品表示法(消費者を守るため、誇大広告や不当表示を規制する法律)や古物営業法(中古品売買を規制し、盗品流通を防ぐ法律)などの法律は、消費者保護や市場の健全性を保つために設けられているものです。これらの趣旨を理解することが重要でしょう。

一方で、購入者側も「違法じゃないから大丈夫」と安易に考えるのではなく、転売問題が市場や他の消費者に与える影響を理解することが大切です。高額転売が横行することで、本当に商品を必要としている人が適正価格で購入できなくなる状況は、決して健全とは言えません。

最終的には、販売企業の転売対策、法的整備の充実、そして私たち一人ひとりのモラルある行動によって、より良い消費環境を作っていくことが何より重要なのかもしれませんね。



※本記事は媒体独自に募集したアンケートを元に構成しています

・調査方法:インターネットサービスによる任意回答(記述式)
・調査期間:2025/06/20〜2025/06/21
・調査対象:全国/18歳以上/性別不問
・有効回答数:300


undefined