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“ふと漏れた一言”と“不可解なワンシーン”に注目 木曜ドラマ史上、“最速記録を更新”した話題の一作

  • 2025.7.28
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『しあわせな結婚』第1話(C)テレビ朝日

阿部サダヲが主演、松たか子が共演する木曜ドラマ『しあわせな結婚』第1話のTVer再生数が、木ドラ史上最速で208万回再生を突破する好調な滑り出しを見せている。190以上の国と地域で配信されているNetflixでも、1位(今日のTV番組TOP10(日本))を獲得。特にX(旧Twitter)を中心にしたSNSで好評を得ている印象だ。

※【ご注意下さい】本記事はネタバレを含みます。

クロワッサンにかぶりつくネルラ=松たか子が最高

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『しあわせな結婚』第1話(C)テレビ朝日

その面白さの理由は大きく2つある。その一つが、ミステリアスな雰囲気の中で、随所にインサートされるコミカルな笑い。ネルラ(松たか子)がクロワッサンにかぶりつくシーンを筆頭にして、ネルラが思い出したかのようなタイミングで「シャバシャバのビーフシチューってどういうの?」と幸太郎(阿部サダヲ)に聞く場面、「幸太郎さんも好きよ。レンコンより好き」と家族の前で平然と言いのけたりと、どこか変なネルラ、だがいいと幸太郎にも視聴者にも思わせる不思議な魅力が、ネルラにはある。それは大石静による脚本の流れやワードチョイスが大きいかもしれないが、笑顔をあまり見せないネルラを愛らしく演じる松たか子、それを受け止める阿部サダヲやネルラの家族である鈴木家の面々による絶妙なテンポ間、世武裕子の劇伴が織りなす世界観など、全てが噛み合っているように思える。

考察要素は、ネルラのイタリア語での寝言、もう一つの不可解な位牌

もう一つの面白さが、本作の肝となっているサスペンス要素。ネルラが抱えている秘密が、第1話のラストで明らかになった。ネルラは15年前、元恋人の布勢夕人(玉置玲央)を殺害した容疑にかけられていた。警視庁捜査一課の黒川竜司(杉野遥亮)がこの事件を再捜査し始めたことをきっかけにして、幸太郎も初めてネルラの過去を知ることになる。

弁護士である幸太郎が「困ってることあるんじゃないの」と問いかけるが、ネルラは「ある、でも今は言えない」とキッパリ。しかし、ネルラは寝言で「Sono innocente(ソノイノチェンテ)」と「私は無実です」を意味するイタリア語をつぶやき、本心を露わにするのだ。ネルラにはイタリアへの留学経験があり、その過去の記憶も今後事件を紐解くヒントになっていくのだろうか。

第1話で話題になっているのは、イタリア語の寝言とネルラが手を合わせていた仏壇にある位牌。左側にあるのは亡くなったネルラの母であることは間違いないが、それでは右にあるのは誰のものなのだろうか。位牌にある「法空日五信士」は、男性の戒名を示しており、ネルラの母が亡くなった翌年の平成12年=2000年の記述がある。レオ(板垣李光人)ともう一人弟がいたとするのが有力だが、この辺りの伏線も事件に絡んでくるのだろうか。

『光る君へ』キャストが再集結

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『しあわせな結婚』第1話(C)テレビ朝日

また、一部で話題になっているのが、大石が脚本を務めた大河ドラマ『光る君へ』のキャストが一部再集結していることだ。ネルラの父・寛(段田安則)に、ネルラの元恋人で亡くなっている布勢夕人(玉置玲央)、幸太郎の弁護士事務所で働く今泉憲資(金田哲)。役どころから今後共演シーンはなさそうではあるが、『光る君へ』の縁もあってのキャスティングであることは間違いなさそうだ。先述したもう一人の位牌の人物など、さらなる『光る君へ』キャストに期待する楽しみ方もありかもしれない。


テレビ朝日系『しあわせな結婚』毎週木曜よる9時
TVerで見逃し配信中
https://tver.jp/live/simul/le4dymrn4o

ライター:渡辺彰浩
1988年生まれ。福島県出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』展、『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。