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「めろすぎる」「やはり沼」仮面ライダー俳優、“リアルなズルい男“を演じる姿に相次ぐ絶賛の声【水曜プラチナイト】

  • 2025.7.29

中京テレビ・日本テレビ系 水曜プラチナイト『海老だって鯛が釣りたい』(毎週水曜24時24分)は、タイトルの可愛らしさとは裏腹に、恋愛や自己肯定感にまつわる“ちょっと痛くてリアル”な感情を真っ直ぐ描いた一作だ。主演は田辺桃子。恋にちょっと臆病な「海老女」こと海老原唯子を演じている。衣料品メーカーに勤める25歳の彼女は、仕事に追われながらも恋愛はどこか受け身のまま。そんな彼女が、フラれたことをきっかけに「ハイスペックな“鯛男”を釣ってやる!」と奮起する…という、王道のようでちょっとひねりの効いたラブコメだ。

※【ご注意下さい】本記事はネタバレを含みます。

自信がない。でも、恋はしたい。唯子の姿に映る“自分”

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水曜プラチナイト『海老だって鯛が釣りたい』第2話より(C)中京テレビ・日本テレビ

唯子は、自分のことを「みみっちい小エビ」と称するほど自己肯定感が低い。でも、彼女のなかには確かな理想と、変わりたいという願いがある。そのギャップが、とてもリアルなのだ。

フラれた夜、ワンピース姿で街を歩きながら「次は絶対、鯛男を釣る!」と誓う姿は、涙ぐましくもどこか可愛らしい。けれど、その“鯛男”って一体なんなのだろう。顔?収入?地位?身長? 唯子の恋の冒険は、いつしか「スペックジャッジ合戦」になっていく。

でも、それって本当に恋なんだろうか? 本当に“釣りたい”ものは何だったのか? そんな問いが、じわじわと彼女自身に、そして観ている私たちにも返ってくる。

魚の名前で呼びたくなる、4人の“鯛男”たち

このドラマの醍醐味のひとつは、個性豊かな男性キャラたちとの出会いと別れだ。

まずは“沼男”こと水沼脩(演:中川大輔)。アクアリウムショップ店長という肩書からしてすでに“沼感”たっぷりだが、その気さくな笑顔とやわらかい物腰に、唯子はあっという間に引き寄せられてしまう。一夜の関係を持つも、その後の距離感に戸惑う姿は、まさに“ズルい男”の王道。けれど、4話の終盤で発された水沼のある一言が、物語の軸を大きく変えることになる。

「鯛とか海老とかって、人を見てるじゃん。それって、見られるほうは結構イヤだよね?」

このセリフが突き刺さる。いままで「釣る・釣られる」という目線で恋愛を見ていた唯子が、はじめて相手の気持ちを想像しはじめるきっかけになるのだ。

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水曜プラチナイト『海老だって鯛が釣りたい』第4話より(C)中京テレビ・日本テレビ

ほかにも、おそらく5話以降で登場する穏やかで優しい“幼なじみ”三浦拓未(草川拓弥)、夢を追う“韓国男子”パク・ジョンス(EJ / &TEAM)、そしてハイスペックで完璧な“鯛男”こと上司・鯛島亮介(桜田通)と、バリエーション豊かな“魚たち”が唯子の前に現れる。

彼らそれぞれが魅力的で、でもどこか決定打には欠ける。「この人となら幸せになれそう」と思っても、唯子のなかにはいつも「この人で本当にいいの?」という迷いがあるように思えるのだ。その葛藤こそが、このドラマのおもしろさにも繋がっている。

中川大輔の“沼男”っぷりに要注目

本作がただのキラキララブコメで終わらない理由は、唯子の成長にある。第4話の終盤、水沼の一言をきっかけに、彼女は初めて「自分が人をスペックで判断していたかもしれない」と気づく。

好きになるってことは、その人を“釣る”ことではない。恋愛は「勝ち負け」でも「損得」でもない。そんな当たり前のようで見落としがちな価値観を、唯子はほんの少しずつ言葉にし、行動にしていく。

そんな唯子を演じる田辺桃子の演技が素晴らしい。自信がなさそうに俯いたかと思えば、不意にキラリと目を輝かせる。その表情の変化ひとつひとつが、唯子というキャラクターにリアリティと愛しさを与えている。

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水曜プラチナイト『海老だって鯛が釣りたい』第1話より(C)中京テレビ・日本テレビ

中川大輔演じる水沼脩は、まさに“沼”そのもの。ふわっとした空気感、ちょっと抜けた笑顔、でも妙に色気がある……。優しいのに無責任な言葉を投げる絶妙な距離感が、観ていてモヤモヤする。でもそのモヤモヤこそが、リアルだ。

しかも中川はそのズルさだけでなく、時折見せる真剣な眼差しや、ふとした弱さの表現もうまい。決して一面的ではない沼を演じきるバランス感覚に、役者としての奥行きを感じさせる。SNS上でも「めろすぎる」「やはり沼」「モデルでライダーで沼男!」と絶賛の声が多い。

ゴールは「海老のままでも愛されたい」

『海老だって鯛が釣りたい』は、一見軽やかな王道ラブコメに見える。でも、その実はかなり丁寧に「他者を見ること」と「自分を知ること」が描かれている。

スペックで人を測っていた自分に気づき、そこからどう変わっていくか。人の魅力は「鯛」か「海老」かではなく、その人自身の姿にこそある。唯子は、恋を通してそれを少しずつ学んでいく。

その成長の過程を見守るのが、なんとも愛おしい。笑えるのに切なくて、ちょっと胸が痛くて、でも最終的に自分も一歩前に進めそうな気がしてくる……。そんな温度感のあるラブコメだ。


中京テレビ・日本テレビ系 『海老だって鯛が釣りたい』毎週水曜24時24分〜

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_