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内田彩仍さんの「心が軽くなる」家仕事夫の連携プレーで生まれる豊かな時間

  • 2025.6.11

家族の人数や関わり方に変化が生まれる50 代は、家事の見直しをするタイミング。
今の自分にフィットし、ゆとりある暮らしを作るためのヒントを集めました。

今回お話を伺ったのは・・・
エッセイスト
内田彩仍さん
福岡県在住。夫、愛猫そらと暮らす。丁寧な暮らしぶりが人気で、『衣食住、暮らしに寄り添うもの選び』(集英社)など著書も多数。

少しずつルールを緩やかに暮らしを小さくする練習をしています

朝いちの家事を終えてひと息つくことも

朝いちばんにするのは洗濯。干したあと、少し疲れを感じたら次の家事の前にコーヒーを飲むことも。
「これまではすべての家事が終わるまで休むことなく続けていたのですが、今は無理をせず、ひと休みしています」

夫婦ふたりの食事の時間を何より大切に

「365日ほとんど家で食事をしています」という内田さん。
「夫婦ふたりで食事する時間が何より楽しみなので、そのための手間や時間は省いていません。好きな食器を使って支度をすると日々の気分転換になり、会話も弾みます」

寝る前のキッチンリセットは、朝に変更

以前は必ず夜、寝る前にしていたシンクの排水口のゴミ取りは朝に。
「疲れやすくなったので夜にしていた家事を朝にまわしました。朝食後にシンクを磨くとすっきり。おかげで、夜の自由時間が増えて、好きなことをして楽しんでいます」

庭の手入れは、年4回ほど植木屋さんに

庭仕事は日々の楽しみのひとつ。「今まではすべて自分で内田彩仍さんに聞いてみた
家事の現在地行っていたけれど、一軒家に越してきて大きな木が増えた
こともあり、季節ごとの剪定や虫がつきやすい時期の見極
めなど、難しいことはプロにお任せするようにしています」

ガラス磨きは汚れに気づいたらサッとやってしまう

以前は週に一度、家じゅうの窓を拭いていましたが、今は年に2 回に。
「ただ、寝室の掃き出し窓は、愛猫のそらが窓に鼻をつけて外を眺めていて、鼻あとがつくので、その都度掃除。そらが舐めてしまうことを考えて、洗剤は使いません」

“大切にしたい家事”は省かず丁寧に

埃や砂で汚れやすい玄関は、毎朝、さっと掃いて気持ちよく整えるのが習慣。
「けれど、ちりとりの中のゴミを毎回捨てるのは少し面倒なので、週に2 回のゴミの日にまとめて捨てるようにしました」

内田彩仍さんに聞いてみた 家事の現在地

Q. 家事の向き合い方は変化していますか?

暮らしを整えるのは気持ちよく過ごすため
結婚してもうじき40年。ずっと変わることなく「家族ふたりで心地よく暮らすこと」を何よりも大切にしている内田彩仍さん。
「夫と安心してくつろげる暮らしのためにするのが家事だと思っています。けっして強制ではなく、料理も洗濯も掃除をすることもすべて幸せに過ごすためにやっていることなので、苦ではありません。ただ、以前は体力も気力もあったので、まるで部活をするように動き続けて、1日の大半を家事に充てていました」
妥協することなく、楽しみながら暮らしを整えていました、と話す内田さんも60代を迎え、家事の仕方にも変化が訪れました。
「最近は、疲れやすさを感じるようになったり、面倒に感じることも増えました。さらに、家族の用事で忙しくなったりすることも。
自分自身や環境の変化を受け入れて、家事も以前より無理なくするようになった気がします」

家事を緩やかにして自分を癒やす時間を作る
洗濯や床磨き、お風呂掃除など毎日行う家事は決めつつも、窓の掃除は汚れが目立ってきたら拭くようにしたり、庭の手入れはプロに任せたり。家事のルールを体調に合わせて緩やかに。
「朝、洗濯を終えたらそのままほかのことをせず、コーヒーを飲むこともあります。夜にやっていたキッチンまわりの掃除を朝にまわして、寝る前に本を読んだり、YouTubeで動画を観るなど好きなことをする時間に充てて、自分をいたわるようになりました」

1日に必ずする家事は決めています

朝いちばんの家事は洗濯

洗濯は、朝起きてすぐに始めます。
「我が家はドラム式洗濯機ですが、気になる衿汚れなどは予洗いしています。セリアの使い捨てスポンジで洗剤を泡立てて、優しく擦ると、汚れが簡単に落ち、気持ちよく着られます」

“3つの掃除”は毎日します

ハンディワイパーで小物やテーブルの埃取り、掃除機をかける、クイックルワイパーのウエットシートで床磨き、この3つは毎日。
「毎日していると隅に埃が溜まらず、大掃除で床磨きをしなくて済みます」

お風呂のタイル掃除は私のこだわり

お風呂の床は掃除に手間がかかるとわかった上で好みのタイルを採用。
「石けんカスが残ると白浮きして目立ちやすいのが難点。気持ちよく使いたいので、磨いてすすいだ後、乾拭きしています」

Q. 家事で大切にしていることはどんなことですか?

がんばり過ぎずに家事の分担をスタート
結婚当初から家事が趣味で、自分の仕事だと思ってきたという内田さん。その考えが変わったのは40代後半くらいから。
「私が足の病気を患ったとき、同じペースで家事ができなくなりました。夫が代わりにしてくれようとするのですが、なかなかうまくいかなくて。ずっとひとりで懸命にやっていたせいで、私が夫を〝何もできない〟人にしてしまったんだと反省しました」
そこからひとりでがんばり過ぎず、分担するように。
「お互いが家事ができるようになったほうがいいよねと夫と話し合いました。でも当初は、アイロンがけをしてもらっていても〝やらせている〟という罪悪感があったり、食器を洗ってもらっても泡が少し残っているのが気になったり。見守りながら、何かしてくれたら〝ありがとう〟という感謝を伝え、少しずつ夫ができることを増やしていきました」

夫婦の老後を意識して得意なほうがやる
家事の分担を始めて10年以上たち、互いに得意なことをやるというのが自然なルールに。
「夫はどんなに朝が早くても、ごみを自分でまとめて出してくれますし、アイロンがけはすっかり私よりも得意に。気持ちよく暮らしていきたいという想いは夫婦ふたりの共通テーマで、家事の分担は老後の手習いのよう。歳を重ねていずれ無理がきかなくなったとき、互いがなんでもできて、笑いながら助け合っていけたらと思っています」

夫との家事の連携プレーもなじんできました

私が料理する傍らで夫が片付けを

「夫はキッチンに住みたいというほど食べることが好き。でも料理はできず(笑)。食事の支度をする横で、キッチンツールを洗ってくれるので助かっています」。
できあがる頃にはすべて片付いた状態に。

一緒に買い物をして我が家の愛用品を共有

週に1 回の食材や日用品の買い物は必ずふたりで。
「我が家で使っているものを夫に覚えてもらっています。そのおかげで買い忘れや足りないものが出てきたら、仕事帰りなどに買ってきてくれるように」

アイロンがけは夫のお得意に

互いに得意なことを分担。「部分洗いをしたり、ものによって洗剤を替えたり、洗濯は私がして、取り込むのとたたむのは夫です。
10 年ほど前からアイロンがけもしてくれるようになり、頼れる存在です」


photograph: Kyoko Omori text: Chie Sakuma
 
大人のおしゃれ手帖2025年6月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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