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無意識に“不快感”を与えていることも… 元CAが語る「眠れない」乗客からのSOSの裏にあった“意外な理由”に驚き

  • 2025.6.17
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

「機内ではしっかり休んで、到着後すぐに観光したい」「時差調整のために機内で睡眠をとって、現地での仕事に備えたい」。

このように考えていたのに、いざ飛行機に乗ったら他の乗客に休息を邪魔されてしまったら、ストレスを感じてしまいますよね。

今回は、機内で他の乗客に睡眠を妨害されてしまい、お客様が「どうにかしてほしい」とSOSを出されたエピソードをご紹介します。

つい無意識にしてしまいそうな行動が、座席トラブルの原因になるケースについてもお話ししますので、ぜひ参考になさってください。

お客様の我慢も限界......クレームの対象は小学生!?

お食事のサービスも終わり、照明も落とされて薄暗くなった機内を巡回していた時です。

「すみません。ちょっといいですか?」と、ビジネスマン風の男性のお客様から呼び止められました。

そして、後ろの座席を指差しながら小声で「寝ていても後ろから座席を揺らされて、目が覚めちゃうんだよ」と訴えられてきたのです。

このお客様の後ろの座席には、小学生の男の子が親御さんと一緒にお座りになっていました。

この状況から、男性が小学生のお子様に対して不満をお持ちなのは明らかです。

クレームの対象が小学生ということもあり、この場でお話を伺うのは避けたほうが賢明だと判断し、男性のお客様には客室後方のギャレー(キッチン)に来ていただいて、詳しいお話を伺うことにしました。

男性の眠りを妨げたまさかの原因とは?

お客様によると、男の子が座席モニターでゲームをしながらテーブルを叩いたり座席を揺らしたりするので、後ろの座席からの振動でお休みになっていても起こされてしまうとのことでした。

飛行機のエンターテイメントシステムは、前の座席の背面がモニターになっており、テーブルも前の座席についています。

そのため、モニターを押したりテーブルを叩いたりすると、前の座席に直接振動が伝わってしまうのです。

しかも、男性のお客様は男の子に「揺らさないで」と何度か声をかけてくださったそうですが、ゲームで興奮すると同じことの繰り返しだったようで、不快感を訴えられるのも無理ありません。

「時差調整のためにも寝たかったのに、何度も起こされてしまって......」と語るお客様の表情には、お疲れの様子が滲み出ていました。

CAが取った解決策と機内マナーのお願い

幸いにも、このフライトでは客室後方にいくつか空席があり、座席が客室後方になっても問題ないとのことだったので、男性のお客様には座席を移動していただきました。

きっと、小学生の男の子は飛行機の旅のワクワク感があるうえに、見慣れない座席モニターでのゲームに熱中しすぎてしまったのでしょう。

もちろん、悪気があってのことでないのは明らかですが、機内でのマナーや不注意で他の方へ迷惑をかけてしまったことは事実です。

この男の子と親御さんには、テーブルや座席モニターを叩いたり押したりすると、前のお客様の座席に直接振動が伝わってしまい、不快感を与えてしまうことを説明し、ご理解いただきました。

気づかぬうちに誰かを不快にさせているかも?

意外にも、飛行機では後ろに座る方の次のような行動から、前に座る方が不快感を覚えるケースが少なくありません。

  • テーブルの開け閉めの振動
  • シートポケットに物を出し入れしている時の圧迫感
  • ヘッドレストを掴まれた際の振動

皆さんが思っている以上に、振動や圧迫感は座席の背面を通して伝わってしまうものなのです。

私自身も乗客として飛行機を利用した際に、後ろの方が私の座席(ヘッドレスト)を掴みながら立とうとされると、グイッと背もたれが後ろに引かれる感じがして、目が覚めてしまう経験が何度もあります。

ついつい、無意識に前の座席を掴んでしまったり、シートポケットに物をグイグイ出し入れしてしまいがちですが、前にお座りの方への配慮も忘れないようにしましょう。

思いやりの心で快適な空の旅を

座席のリクライニング問題はよく話題になりますが、今回のケースのように、後ろの座席からの振動などもトラブルの原因となることがある、と頭の片隅で覚えておいていただけると幸いです。

機内という限られた空間だからこそ、お互いへの思いやりの心を大切にしたいものですね。

それでは、機内マナーを大切に、快適な空の旅をお過ごしください!


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、コラム記事からSEO記事まで幅広く執筆中。