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料理が美味しくなる塩加減の正解があった!『材料の総量に対して塩は1%』が鉄則です

  • 2025.5.20

調味する塩の分量、適当に量っていませんか? それこそが味が揺らぐ原因と大庭英子さん。
『ちょうどいい塩加減』に導く方程式がありました。

教えてくれたのは・・・
大庭英子さん
福岡県出身。料理家としてのキャリアは45年以上。食材の持ち味を活かし、身近な調味料で作る家庭料理が高く支持され、著書も多数。

ちょうどいい塩加減。 これが『シンプルでもおいしい』のコツです

材料の総量に対して塩は1%が目安
これを覚えておくと何でも味が決まります

料理本レシピでしばしば見かける、「塩適量」や「塩少々」といった表記。

大庭さんは、このあいまいな表記でおいしく仕上げるのは、至難の技だと言います。

「味の決め手となるのが塩気です。たとえ、小さじ1などと正確な分量が書かれていても、材料のじゃがいも1個、にんじん1本にも個体差があるので、レシピ通りに作っても完璧に味を再現するのは難しいと思います」

そこで大庭さんが提唱しているのが、「塩分は総量の1%」を目安にすること。

「塩気が決まれば何を作ってもおいしく仕上がり、味のブレもなくなります」。

ただ、えびなど淡泊な食材は1g より少なめに。豚バラのように脂の多い食材は、味が浸みにくいので1g 以上必要なこともありますが、基準を知って加減していくことが大切。

「肉や魚介などのたんぱく食材は旨味があるので炒めただけで十分おいしい。旬の野菜と組み合わせてサッと炒め、適正量の塩を振るだけで、素材それぞれの味が引き立ちますよ」

シンプルな組み合わせだからこそ、味がぼやけないよう総量を量り、最適解の塩気で引き締める―。大庭さんの方程式を覚え、料理の腕を上げましょう。

使う材料の総量を把握する

そら豆やえびは皮をむいた状態で正味量を量り、その総量の1%を目安に塩分量を計算します。

ひとさじで1gが量れる スプーンが便利

塩を入れているガラス瓶には「すりきり1杯で1g」を計測できる、小さなさじをセット。
「目分量ではなく、きちんと量ることから始めましょう」

LESSON: 01 素材2つ+シンプルな味付けで、絶品炒めもの

そら豆とえびの塩炒め

材料( 2人分 )
そら豆 … 800g( 鞘付き) ※薄皮をむいて120g
むきえび … 100g

[ そら豆 ]
油 … 大さじ1/2
塩 … 0.5gぐらい
水 … 大さじ1~2

[ えび ]
片栗粉 … 小さじ1
油 … 大さじ1/2
酒 … 大さじ1
塩 … 1g
こしょう … 少々

※ 材料(そら豆とえび)の総量は220gだから、塩は2g 前後が目安

作り方

1.

そら豆はさやから出して薄皮をむく。
むきえびは背ワタのあるものは取り、水で洗って水気をふき、ボウルに入れる。

2.

フライパンに油を熱してそら豆を入れて中火で炒める。
塩をふり、水を加えて混ぜ、ふたをして弱火で30 秒〜1 分ほど蒸し炒めし、水気がなくなったら、取り出す。

3.

むきえびに片栗粉をまぶし入れて軽くもみ込む。

4.

フライパンをキッチンペーパーでさっとふき、油を足してむきえびを入れて中火で炒める。

5.

表面の色が変わったら、2を戻し入れて、酒、塩、こしょうをふる。

LESSON: 02 すべての材料にちょうどよく火が通るよう、手順をふんで

定番おかずも、切り方の工夫で驚くほどおいしさに差がつく!

なじみのある家庭料理は、慣れでなんとなく作ってしまいがち。

たとえば肉じゃがの場合、にんじんが固かったり、じゃがいもが煮崩れたり、煮汁が多いわりにぼやけた味になってしまったり。

大庭さんの方程式に従えば、そんな失敗は起こりません。

「仕上がったとき、すべての材料の火の通りが同じになるよう考えて、それぞれの具材の大きさを違えて切るんです。肉じゃがだったら、じゃがいもは、やや大きめのほうが見栄えもよく、じゃがいものおいしさも引き立ちます。切って水にさらしているから、煮崩れもしにくくなります。そして、じゃがいもを基準にし、他の具材の大きさを調整します」

いちばん固いにんじんは小さく、火が入りやすい玉ねぎは大きめに。「にんじん1/2本など中
途半端に残ると、結局使い切れずに無駄になる」と、大庭さんは、材料も1個を使い切れるように分量を設定します。

「肉じゃがの場合は、野菜の水分が出てくるので、加える水分量は少なめにしています。水分が多いと塩分も多くなりますから」

大庭さんの煮物は、味、汁気の量も火の通りもすべてがちょうどいい。定番おかずがお店の味に格上げできます。

大庭さんちの定番肉じゃが

材料( 2~3人分 )
牛切り落とし肉 … 150g
じゃがいも … 大3 個
にんじん … 1 本
新玉ねぎ … 1 個
しょうが … 小1/2かけ
油 … 大さじ1
酒 … 大さじ3
水 … 1/2~2/3カップ
みりん … 大さじ2
砂糖 … 大さじ1
しょうゆ … 大さじ2 1/2~ 3

材料の総量は約800g。濃い口しょうゆ大さじ1の塩分量は2.7gなので、しょうゆは大さじ3程度が目安。
*薄口しょうゆのほうが塩味が強い(メーカーにより)

作り方

1.

牛肉は大きなものは4 ~ 5cmに切る。
じゃがいもは皮をむいて1 個を3 ~ 4 等分に切り、水(分量外)に10 分ほどさらして水気をふく。
にんじんは皮をむいて3cm四方の乱切りにする。新玉ねぎは縦4 等分に切る。
しょうがは皮をむいて薄切り、さらにせん切りにする。
火の通りにくいものを小さめに。

2.

フライパンに油を熱して牛肉を入れて強めの中火でほぐすようにして炒める。
肉の色が変わったらしょうがを加える

3.

にんじん、じゃがいもを入れて炒め、玉ねぎを加えてさっと炒める。

4.

3 に酒をふり、水を加えて煮立ってきたら、みりん、砂糖を加えて混ぜ、ふたをして弱火で10 分ほど煮る。

5.

しょうゆを加えて混ぜ、ふたをして弱火で8 ~ 10 分、柔らかくなるまで煮る。

POINT

煮ものは作りたてより、粗熱が取れてから再び温めると、味が染みておいしくなる。煮豚、筑前煮なども同様。


撮影/砂原文 文/坂口みずき
 
大人のおしゃれ手帖2025年5月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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