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ウー・ウェンさんのシンプルで美味しい極意

  • 2025.5.19

シンプルだからおいしい、シンプルなのにおいしい……。
「シンプルな料理」と言ってもその勘どころはさまざまです。
料理家・ウー・ウェンさんの「おいしい極意」をのぞかせてもらいました。

料理家
ウー・ウェンさん
中国・北京生まれ。’90 年に来日、’97 年よりウー・ウェンクッキングサロンを主宰。医食同源に根差した中国家庭料理を伝える。『10 品を繰り返し作りましょう』をはじめ著書多数。

家庭料理は「作り続けられる」ことが大切 新鮮な旬素材に基本の調味料でシンプルに

「毎日の料理は、材料も味付けもシンプルに。基本の調味料があれば十分」とウー・ウェンさん。
 
「昔は基本の調味料しかなかったけど、十分においしかった。今はいろんな調味料があり過ぎて振り回されていませんか?」
 
ウーさん曰く、「料理は人間関係と一緒」。
材料や調味料が多いとひとつひとつの良さが分からなくなり、手間が増え、複雑になるといいます。
素材と味つけを必要最小限にそぎ落とすには、それぞれの良さを引き出す『ていねいな仕事』が必要に。
 
一例が、『豚肉とキャベツの炒め』。
具材はともにベストな状態で均等に火入れをするため、それぞれ下ゆでし、豚肉にしっかり味を絡ませてからキャベツと炒め合わせます。
 
「下ゆですることで雑味をなくし、素材のきれいな味を楽しめます。日本料理と同じですね」また、ウーさんにとって『フライパンは加熱できるボウル』。
 
和えるようにさっと炒め合わせ、野菜にはあまり味をつけないことで、味わいにリズムが生まれるといいます。そして、仕上げの盛り付けもていねいに。
 
「〝映え〟は必要ありません。冷めにくく、最後までおいしく食べられるように盛るんです」
 
一切の無駄のない洗練された手順。
おいしさを追求し続けてきたウーさんならではの極意です。

毎日の食事は汁物、おかずにごはんで満足です

〈本日の献立〉
・豚肉とキャベツの炒め
・グリーンピースの卵スープ
・五穀米のごはん

昼食は黒米ごはん、肉野菜炒めと葛粉でとろみをつけたグリーンピースと溶き卵のスープ。「がんばりすぎず、食べたいおかずと汁物程度の献立で十分。栄養バランスも取れて胃の負担が少なく、次のごはんが楽しみに」

素材は「鮮度」を買いましょう

素材は鮮度が命。おいしさだけでなく、栄養価も違ってくるので旬のものを買って新鮮なうちに食べきって。
「人と同じで年を取ると劣化してしなびてくる。そうしたらいろいろ手をかけないとダメでしょ(笑)」

太白ごま油を旨味として使って

「油は天然の旨味調味料。ごま油は東洋人の味覚に一番なじみ、扱いやすいんです」。ウーさんは、クセのない「マルホン胡麻油」を使用。
肉や魚の臭みを消してコクを足す、「純玄米黒酢」も欠かせません。

ウー・ウェンさん流 「豚肉とキャベツの炒め」

このひと皿に〝シンプルでおいしい〟のコツが詰まっています!

「炒めものは下準備が大事」。キャベツはさっと湯通しし、豚肉も下ゆでしてから炒めて調味。あとはキャベツと炒め合わせ、味を絡ませるだけ!
“ シンプルな手順をていねいに”を実践すれば、いつもの味が見違えます。

材料( 2人分 )

豚肩ロース肉(厚めの薄切り肉)… 200g
キャベツ200g

[ 下味 ]
こしょう … 少々
粗塩 … ひとつまみ
片栗粉 … 小さじ1/2

太白ごま油 … 大さじ1

[ 合わせ調味料 ]
しょうゆ … 大さじ1
黒酢 … 大さじ1
はちみつ … 小さじ1/2~ 1

作り方

1.

豚肉は半分に切る。キャベツは大きめのひと口大に切る。
材料は火の通りが均等になるよう同じ大きさにする。

〈POINT〉
春キャベツは芯の固い部分の真ん中に包丁を入れ、食感を楽しめるようやや大きめに切る。

2.

キャベツは下ゆでして火を通しておく。
鍋に湯を沸かし、キャベツを1枚ずつ入れてサッとゆで、すぐにざるに引き上げて水気をきる。

〈POINT〉
少量ずつ入れることで、湯の温度を下げず、ゆでムラを防ぎます。

3.

2と同じ湯で豚肉をゆでて、水気とアクをきる。
豚肉はしっかり火を通すのがコツ。

〈POINT〉
豚肉とキャベツを下ゆでして、ふたつの素材のスタートラインを同じに。こうすることで、炒めても余分な水気が出ません。

4.

3 の豚肉に[下味]をつけておく。
片栗粉をよくもみ込むようにまとわせて。

5.

炒め鍋に太白ごま油を入れて火にかけ、4 の豚肉を入れて油をなじませるように炒め、
[合わせ調味料]をからめる。

6.

5 にキャベツを入れて炒め合わせる。

〈POINT〉
ふたつの材料を“ 和える”ように。炒め鍋は加熱できるボウルと考えて

7.

キャベツと豚肉を交互に重ねて盛り付ける。こうすることで冷めにくくなる。

撮影/砂原文 文/坂口みずき
 
大人のおしゃれ手帖2025年5月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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