4と1どっちが正解？！「10÷5(1+1)」→インターネットでも話題になった難問

算数や数学の問題は、ときに大きな話題になることがあります。数学上の難問というわけではなく、単純な計算問題がです。

今回は、一時インターネット上で大激論が行われたとある問題の類問についてみてみましょう。

問題

次の計算をしてください。
10÷5(1+1)

正解？

この問題、「4と答える派」と「1と答える派」に分かれたと思います。

実はこの式、4と答えることも、1と答えることもできてしまう不思議な計算問題なのです。

「正解はない」というのが正解とも言えます。

では、どうしてこのようなややこしい事態が起きてしまうのでしょうか？

解説

ポイントとなるのは、「5と(1+1)の間に省略されている×（掛け算）の存在」です。

数学では、「a×b」をabと書くように、掛け算記号は省いて書くという決まりがあります。そのため、まずは5と( )の間にも×が省略されていると考えておきます。

では、「4」と「1」、それぞれの答えがどのように導かれるのかを確認してみましょう。

4と答える派の場合

まずは、式を次のように書き直します。

  10÷5(1+1)
=10÷5×(1+1)

ここで、計算順序のルールは次のようになっていることを思い出してください。

<計算順序のルール>
次の順序で計算します。

1.( )の中
2.掛け算・割り算
3.足し算・引き算

※同じ優先順の計算がある場合は、左から計算します。

この式には( )が含まれているので、まずは( )の中から計算します。

  10÷5×(1+1)
=10÷5×2

割り算と掛け算の計算順序に優先順位はないため、左にある割り算から順に計算すると…

  10÷5×2
=2×2
=4

答えは4になりました。

1と答える派の場合

では、1と答える派の計算手順も見ていきましょう。

こちらでは、5(1+1)を5aのように一つのかたまりとして解釈します。

例えば、「10a÷5a」という式は「10×a÷5×a」と解釈して、答えを「2a^2」とすることはありません。5aをひとかたまりの割る数として考え、答えは2とするのが一般的です。

  10a÷5a
=10a/5a
=2

この考え方なら、今回の問題も次のように計算が行われるでしょう。

  10÷5(1+1)
=10÷5×(1+1)  ←まずは計算順序のルールに沿って( )の中を計算する
=10÷(5×2)  ←割る数をひとかたまりとみなし、10を5×2で割る
=10÷10
=1

この流れだと、答えは1になります。

文字式じゃないのに×を省略するのはアリ？

実はこの問題には「問題自体が成立しない」という指摘もあります。

答えを4とする場合も、1とする場合も、「5と(1+1)の間には×が省略されている」という立場は共通していました。

しかし、思い出してください。

数学で×の省略を習ったのは、文字を使った式の単元ではなかったでしょうか。文字が出てこない範囲の学習では、×を省略した式は登場しないはずです。

もし文字なしで数字間の×記号の省略を認めてしまえば、510と書いたときに、これは「510という三桁の数字」なのか、「5×10」なのか、あるいは「51×0」なのかあいまいになってしまいますね。

この問題は数字のみの式なのに×を省略しています。これは数式の書き方としては適していないため、解はないという立場をとることもできるのです。

まとめ

今回は、答えが一つに定まらない問題について紹介しました。

ちなみに、もともとインターネット上で議論になった式は「6÷2(1+2)」という形をしています。多くのインターネットユーザーを巻き込んだこの問題は「掛け算が省略されているときは先に計算する」という教科書でもあまり取り上げられていないようなルールをあぶりだしたり、国によって計算をどのように教えているかという文化的な話にまで発展し、大きく盛り上がりました。

「書き方が間違っている」という意見も含め、計算における様々な考え方を深堀りするきっかけになった式。あなたにとっての正解はどれか、考えてみるのも面白いですよ。

※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。

---

---

文（編集）：VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。

---

もう一問挑戦！